子供の生活実態調査【都内の15~23歳の若者(青少年)調査】(中間のまとめ) 

2017年02月23日
東京都では、今後の子供・子育て支援施策の参考とするため、子供と子育て家庭の生活状況などに関する「子供の生活実態調査」を実施しました。15~23 歳の若者(青少年)を対象とした調査結果の概要(中間のまとめ)は、以下のとおりです。

【調査結果】

1 生活困窮の状況

(1)所得の状況

若者の属する世帯の約 15%が低所得層

[低所得層の割合]
○ 若者の属する世帯の 14.9%が低所得層である(図表 1-1)。世帯タイプ別では、「ひとり暮らし」の若者の約 6 割が低所得層であり、他の世帯タイプに比べ割合が高くなっている(図表 1-2)。

(2)公共料金等の滞納経験

金銭的な理由から、公共料金や家賃の支払いができなかった世帯は、低所得層とひとり親世帯に多い

[公共料金や家賃の支払い状況(過去1年間)]
○ 全体の約 3%から約 5%の世帯において、公共料金や家賃の滞納経験があり(図表 1-3)、この割合は低所得層で高くなっている(図表 1-4)。世帯タイプ別では、ひとり親世帯において割合が高く、三世代世帯とひとり暮らし世帯において低くなっている(図表 1-5)。

(3)所有物の状況

低所得層の若者の勉強に必要な場所や手段が確保されていない

[所有物の状況]
○ 若者が「持ちたいが、持っていない」とした項目のトップ3は、「自分に投資するお金」「自分の部屋」「インターネットにつながるパソコン」である(図表 1-6)。
低所得層の若者の約 2 割が「自分の部屋」「インターネットにつながるパソコン」、約1割が「家の中で勉強ができる場所」を「持ちたいが、持っていない」状況にある(図表 1-7)。
「インターネットにつながるパソコン」「家の中で勉強ができる場所」については、特に 15-18 歳の低所得層において、「持ちたいが、持っていない」割合が非低所得層に比べて高くなっている(図表 1-8)。

2 食事・栄養の状況

低所得層の若者の約 5%が「ほぼ毎日1食」、約 30%が「ほぼ毎日2食」で、野菜や果物を食べる機会が少ない

[食事の回数]
○ 若者の 1.8%は、平日の食事回数が「ほぼ毎日1食」であり、24.9%が「ほぼ毎日2食」である(図表2-1)。19-23 歳男性においては、34.9%が「ほぼ毎日2食」である(図表 2-1)。低所得層の若者では、5.3%が「ほぼ毎日1食」であり、29.4%が「ほぼ毎日2食」である(図表 2-2)。ひとり暮らしの若者の 11.8%が、平日3食食べない主な理由として、「食費を倹約」をあげている(図表 2-3)。

[食品群ごとの摂取頻度]
○ 若者の 18.3%が野菜を毎日摂取しておらず、低所得層ではこの率は 29.1%である(図表 2-4、5)。

3 健康

経済的な理由によって医療受診を控えている若者がいる

[公的健康保険の加入状況]
○ 低所得層とひとり親世帯の若者の 1 割弱は、自分が公的健康保険に「未加入」と答えている(図表 3-1)。

[医療の受診抑制]
○ 若者の約4%が、「あなたは、自分が必要と思う時に、医者(歯医者)にかかることができますか」という問いに対し、「できないことがある(経済的理由)」と答えている(図表 3-2)。低所得層とひとり親世帯では、この割合が約1割である(図表 3-3,4)。

4 進学状況

(1)進学した高等学校の種類

低所得層の若者の約 55%は公立高校に、約 42%は私立高校に進学している

[進学した高等学校の種類・理由]
○ 所得階層による高校の設置主体(公立、私立など)の有意差は確認されず、高校選択に所得は
大きな影響を与えていない(図表 4-1)。高等学校に進学した低所得層の若者の 41.9%は、私立
高校に進学している(図表4-1)。高校選択の理由についても、「私立高校の方が教育の質が高い
と思った」「公立高校の入試に合格しなかった」には所得階層による有意差は確認されていない
(図表 4-2)。なお、課程についてみると、低所得層の方が全日制以外の学校を選んでいる割合
が高い(図表 4-3)。

(2)高等学校卒業後の進路

低所得層の若者は、非低所得層の若者より大学に進学する割合が低い

[高等学校卒業後に進学した学校の種類]
○ 低所得層の若者の約 3 割が短大・専門学校に進学している(図表 4-4)。また、大学に進学する割合が非低所得層と比べて低い。国公立の大学に進学する割合は、低所得層より非低所得層が高い(図表 4-4)。

(3)今後の進学希望

現在、学生でない若者の約 2 割から約 3 割は、将来進学したいと考えている

[今後の進学希望]
○ 現在、学生でない若者のうち、19-23 歳の約 2 割、また、サンプルは少ないものの 15-18 歳の約 3 割は、今後、進学したいと考えている(図表 4-5)

5 学校生活での困難

若者の 4 割弱は「学校をやめたくなるほど」悩んだことがあり、この割合は低所得層で高い

[学校生活の悩み]
○ 若者の 36.4%は、「学校をやめたくなるほど、悩んだことがある」としており(図表 5-1)、この割合は特に 19-23 歳の女性において高い(図表 5-2)。所得階層別、世帯タイプ別には、低所得層とひとり親世帯で悩みを抱えている割合が高くなっている(図表 5-3,4)。

[悩みの理由]
○ 15-18 歳について、悩みの理由をみると、学業については 29.8%(図表 5-5)、人間関係については 14.7%(図表 5-6)、心身の健康については 12.3%(図表 5-7)、経済的な理由は 7.0%(図表5-8)となっている。経済的な理由による悩みは、低所得層とひとり親世帯の若者に多い(図表5-9,10)。

6 就労状況と就労にかかわる困難

若者の約 3 割が就労上のトラブルを経験している

[就労状況]
○ 就労(アルバイトを含む)している若者の割合は、15歳で 8.0%であり、年齢が上がるとともに高くなる傾向にある。18 歳では 52.6%と過半数となり、19 歳で 61.1%、20 歳で 76.9%、21 歳で 81.5%、22 歳で 78.6%となる(図表 6-1)。19-23 歳の非正規雇用(アルバイトをしている学生を除く)の割合は、非低所得層では 8.9%であるが、低所得層では 17.5%となっている(図表 6-2)。

[職場でのトラブル経験]
○ 若者の 29.3%(勤労学生の 43.3%)が、職場で何らかのトラブルを経験している(図表 6-3)。具体的な内容をみると、「短期間で辞めていく人が多い」(15.2%)が最も多くなっており、「直前まで勤務スケジュールがわからない」(13.2%)、「休憩時間を取らせてもらえないことがある」(10.0%)、「長時間労働を日常的に強いられる」(9.3%)といったトラブルを経験している(図表 6-4)。

7 社会的孤立

若者の約 5%は、他の人とのあいさつや会話が 2~3 日に 1 回以下

[会話の頻度]
○ 若者の5.3%が電話、メール、LINEも含めて、毎日他の人とあいさつや会話をしておらず、2~3日に 1 回以下となっている(図表 7-1)。特に、19-23 歳の低所得層の男性では、他者との会話が 4~7 日に 1 回以下の若者が 1 割弱存在する(図表 7-2)。

8 精神状況

低所得層の若者は、非低所得層の若者に比べて幸福度が低い傾向にある

[幸福度]
○ 非低所得層では、幸福度が「高い」(上位 3 段階の 8-10 を選択)若者は 50.5%であるが、低所得層においては 33.6%である(図表 8-1)。また、幸福度が「低い」(下位 3 段階の 0-3 を選択)若者は、非低所得層では 4.3%であるが、低所得層では 11.8%となっている(図表 8-1)。
世帯タイプ別では、ふたり親世帯と三世代世帯の若者の幸福度上位 3 段階(8-10)が約 5 割であるのに対し、ひとり暮らしの若者は 29.4%、ひとり親世帯の若者は 41.4%と少なくなっている(図表8-2)。

9 親の状況

若者の保護者のうち、約 2 割が抑うつ傾向にある

[抑うつ傾向]
〇 保護者のうち、19.5%が抑うつ傾向を示した(図表 9-1)。低所得層は非低所得層よりも抑うつ傾向がある保護者の割合が高く、世帯タイプ別にはひとり親世帯の保護者の抑うつ傾向の割合が高くなっている(図表 9-2)。父親・母親を就労形態別にみると、非正規雇用の父親の 24.3%、正規雇用の母親の 28.9%が抑うつ傾向にある(図表 9-3)。

10 支援制度の利用と周知

(1)支援制度の認知度

ひとり親世帯における支援制度の認知度が低い

[支援制度を知らない割合(ひとり親世帯対象の制度)]
○ ひとり親世帯を対象とする制度であるにもかかわらず、ひとり親世帯の保護者の 6.7%が児童扶養手当を、6.4%が児童育成手当を、24.6%が母子及び父子福祉資金を知らない(図表 10-1)。

(2)支援制度を認知していない保護者の相談先

約 1 割の保護者が「相談する相手や場所がない」

[支援制度を一つも知らないとした保護者が困った時の相談相手]
○ 公的支援制度を認知していない保護者の相談先は「家族・親族」が最も多く 49.7%、次いで「友人・知人」が 12.4%となっている(図表10-2)。また、10.5%が「相談する相手や場所がない」と答えている(図表 10-2)。


【調査概要】
・調査対象:都内の3自治体(新宿区・足立区・八王子市)に在住の 15~23歳の若者(青少年)*本人とその保護者
*平成 28 年 4 月 1 日から平成 29 年 3 月 31 日の間に 16~23 歳になる者
・調査対象数:2,200 世帯
・抽出方法:住民基本台帳による層化二段無作為抽出
・調査方法:訪問留置訪問回収法
・有効回答数:
 若者 1,056 票 (有効回答率 48.0%)
 保護者 1,022 票 (有効回答率 46.5%)
・調査期間:平成 28 年 5 月 14 日から 6 月 13 日まで

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