2016年下半期クロスデバイス・コマースレポート 

2017年02月28日
パフォーマンスマーケティングのテクノロジー企業であるCriteo S.A.(Criteo)は、2016年度下期クロスデバイス・コマースレポート(H2 2016 State of Cross Device Commerce Report)を発表しました。

本レポートは、2014年第4四半期以来、主にモバイルコマースを対象に分析を行ってきましたが、今回のレポートよりクロスデバイス取引におけるユーザを単位としたEC環境も分析範囲に含め、レポートのタイトルを「モバイルコマースの現状」から「クロスデバイス・コマースレポート」に変更しております。

本レポートでは、全世界で3,300社を超えるオンライン小売ビジネスの広告主の、デスクトップとモバイルサイトを横断した年間約17億件の取引データを分析対象としております。この調査データは、自社のモバイルブラウザ、モバイルアプリ、クロスデバイスチャネルのKPI設定において、パフォーマンスのベンチマーク比較に活用することができます。

■日本の小売業界におけるモバイルコマースのトレンド

①スマートフォン利用率はデスクトップとほぼ同等
 日本でのオンライン購入の2件に1件は、モバイルで完了しています。また、日本ではスマートフォンが小売業界におけるオンライン売上のほぼ半分を占めており、デスクトップと肩を並べつつあります。
  日本の小売業界のEC取引でスマートフォンおよびタブレットが占める割合は、それぞれ対前年比成長率+2%、+7%の増加となり、モバイル全体では+4%の結果となりました。

②スマートフォンでの平均購入額、他デバイスと比べて高額であることも判明
 ユーザによるスマートフォンからの支出額が、他のどのデバイスよりも大きいことが明らかになりました。
 日本の小売業界のモバイルコマースにおけるデバイス別の平均購入金額は、デスクトップでの支出を100円として基準にした場合、スマートフォンによる取引1件あたりの平均額はデスクトップを超える103円となっており、対前年比でも4%の成長を見せています。 また、タブレットもそれに迫る勢いで、取引額においても、デスクトップと同等になりつつあります。

③モバイル取引における商品別シェアは、ファッション・ラグジュアリーが引き続きトップ
 日本の小売業界のEC取引でモバイルが占める割合は、昨年に引き続きファッション・ラグジュアリーが最大のシェアを占め、対前年比成長率+17%の63%の結果となりました。
 また、第2位の健康・美容も対前年比30%、モバイル取引シェア60%と大幅な成長を見せ、ファッション・ラグジュアリーに急速に迫りつつあります。

④iPhoneがリードする国内の取引シェア
 日本では、iPhoneによる取引が徐々に増えつつある一方で、Androidによる取引は対前年比で14%も減少しています。同様に、デスクトップからの支出100円を基準にした場合の平均取引額は、Androidでは5円低下しているのに対しiPhoneでは11円増え、デスクトップを抜いています。

■クロスデバイスコマースにおけるトレンド

①新たな購入ルートには新たな視点が必要
 ユーザは、検索や閲覧から購入に至るカスタマージャーニーの中で、複数のデバイスを利用します。デバイス単体の行動を基準にした従来型の分析手法は、マルチデバイスのカスタマージャーニーにおいて、ユーザの行動を部分的に、かつ不完全な形でしか把握することができません。しかし、高度なクロスデバイス測定手法を用いることで、はじめてデバイス横断で購入者を正確に特定し、カスタマージャーニーにおける行動や意図を包括的に把握することができます。

②失うには大きすぎる”55%”のパイ
 オンライン取引全体の過半数は、最初のウェブサイト訪問から購入に至るまでに複数のデバイスが利用されます。クロスデバイス測定を行わなければ、重要な指標やROIを算出する際に、例えばPCで商品を閲覧した後にスマートフォンで購入した場合、1件の取引を2件と数え間違える可能性があります。

③コンバージョン率は見かけより1.3~1.9倍高い
 日本では、コンバージョン率をクロスデバイス測定によるユーザ単位のアプローチで測定した場合、デバイス単位のアプローチの時よりも1.3倍高いという結果が出ています。正確なクロスデバイス測定を行わなければ、小売業者はユーザを過小評価し、投資のチャンスを取り逃してしまうことになります。

④あらゆる段階で精度を改善
 クロスデバイス測定を行うことによって、ユーザのコンバージョン率が高まるだけでなく、従来のアナリティクスツールよりも多くの商品を表示・提案でき、カート投入率が向上するなどの効果ももたらされます。クロスデバイス測定を行うことで、小売業者はどこにボトルネックがあるかを正確に特定し、それに基づいてユーザ体験やマーケティング支出を最適化することができます。

⑤41%の誤差
 デバイス単位の測定では、実際には同じユーザが別のデバイスを使って訪問している場合でも、1回の訪問で購入したと誤認されることがあります。 適切なクロスデバイス測定を適用すると、購入プロセスは部分的な視点による測定結果よりも41%長くなることがわかりました。この事実をもとに、マーケターは以下の対策を行うことができます。

•あらゆる段階で、提案する商品などのユーザ体験を最適化
•デバイスの種類を問わず、すべてのサイト訪問でコンバージョン率を高める

⑥クロスデバイスショッピングの傾向があらゆるデバイスに浸透
 購入に使用される3種類のデバイスに関して、クロスデバイスでの購入者はほぼ均等に分散しています。つまり、いつどこで発生するかもしれない購入のチャンスを逃さないためには、あらゆるデバイスを横断してシームレスなユーザ体験を提供することが重要です。

⑦商品購入プロセスに終始スマートフォンが介在
 「スマートフォンで閲覧し、デスクトップから購入」という従来のモデルは忘れるべきです。
ユーザはいまや、検索でも購入でもスマートフォンを活用するようになっています。 クロスデバイス取引全体のうち、24%はスマートフォンで開始してデスクトップで完了、30%はデスクトップで開始してスマートフォンで完了しています。また、購入時のデバイスに関係なく、クロスデバイス取引の約5件に2件はスマートフォンから開始されています。つまり、小売業者はデスクトップとモバイルを横断して、ユーザ体験を同期させることが不可欠となっています。

⑧すべての小売カテゴリーに浸透するクロスデバイスショッピング
 米国では、すべての小売カテゴリーで少なくとも23%の取引が複数のデバイスを使って行われています。どの小売業者もクロスデバイス測定を導入することで、購入者の行動と意図をデバイス横断で正確に評価し、ROIを最大化することが重要です。

⑨好みのデバイスは1日の中でも変化
 日本では、デスクトップでの購入がピークとなるのは日中の勤務時間帯で、それ以外の時間帯ではモバイルデバイスが多く利用されています。ユーザへの訴求力を最大限に高めるためには、彼らの購入サイクルをデバイス横断で理解してキャンペーン戦略を調整し、時間帯に応じてユーザの使用頻度が高いデバイスを通じてリーチする必要があります。

⑩モバイル売上のピークは週末
 日本では、タブレットとスマートフォンによる売上は週末に増加する傾向があります。デスクトップ、スマートフォン、タブレットの各デバイスの平均週次シェアを100とした場合、モバイル売上は土曜日から日曜日にかけて110まで上昇してピークを迎えた後、火曜日以降に90台まで急速に減少します。一方で、デスクトップの売上は曜日による変動が少なく、安定した売上推移となっています。

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[Criteo]
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