2016年度 「メセナ活動実態調査」 

2017年03月08日
公益社団法人企業メセナ協議会が全国の企業・企業財団を対象に毎年実施する、「メセナ活動実態調査」の最新結果がまとまりました。

2016年度調査では企業398社(うちメセナ活動実施企業345社)、財団 192 団体より回答が得られました。活動総件数は企業 1,873 件、財団 663 件の計 2,536 件、企業・財団ともにメセナ活動費総額はやや増加し、総額は計約 850 億円(※注)と安定して推移しています。
※注:アンケートに回答が寄せられた企業計 241 億 7,805 万円、財団計 578 億 8,203 万円のほか、財団公開情報、協議会保有データをあわせた額。

<調査結果の主なポイント>

■「社業との関連・企業にとっての価値創造」重視が上昇(72.2%)。各社専門部署が社内工夫凝らす
・ CSR の浸透など企業を取り巻く社会状況の変化にともない、社業・経営との結びつきがより求められる中、各社はさまざまな経営資源を活かし、独自性を高めつつ活動を実施しています。
【実施目的:社業との関連・企業価値創造 前年度 60.2%⇒72.2%、「自主企画」実施企業 56.7%⇒58.3%】

・ 各社で活動目的と職制に応じた専門部署が恒常的に活動を担っています。他部署・支店等社員の巻き込み、社内の独自評価軸によるプログラム評価、参加者・受益者アンケート、外部機関を用いた効果測定等による事業評価などさまざまな工夫が実践され、企業活動としての成熟化が伺えます。【担当部署:総務 18.3%、広報 15.7%、CSR15.4%、社員参画 100 人以上:前年度 14.4%⇒16.8%、事後評価の観点:社会的意義 72.5%、妥当性 56.9%、達成度 52%】

■「地域との関係づくり」(58.3%)、「地域文化の振興」(45.2%)、事業実施地域での存在感を高める
・ 活動の重視点として常に多く挙げられる「地域との関係づくり」。地域の窓口でもある総務部署等で、地域文化助成、お祭りへの協力・参加などを通じて地域との関係を育み、自社ブランドの向上にもつなげています。

・ 事業展開を行う海外地域でのメセナ活動を 57 社が実施。現地社会との関係を育みながら、現地の芸術・文化支援、日本文化発信、国内外文化関係者のネットワーク拡大といった成果を生んでいます。
【海外実施企業 16.5%、海外での活動重視点:国際交流・相互理解 63.2%、現地の芸術文化振興 54.4%、現地との関係づくり 50.9%】

■「10 年以上継続」活動は全実施活動の 30%超。地道な芸術文化振興のなかで多彩な成果
・ 企業による地道な芸術・文化支援は各地で実を結んでいます。アンケート回答には、新人アーティストの登竜門として話題を集めたり、アーティストとの協働により創造的な地域活性に寄与する活動、次世代育成、社内のクリエイティビティ向上につながったといったエピソードが多数寄せられています。
【メセナ継続実施企業 86.7%、活動継続年数:新規 22.1%、10 年以上 31.2%(平均継続年数 15.5 年)】

■ 東北被災地 3 県では約 60 社が文化を通じた支援を継続。熊本・大分でも
・ 東日本大震災直後から多数の企業がメセナを通じた復興支援に取り組んできました。現在も活動は続き、「地元子どもたちのための図書館兼ふれあいセンターが竣工した」「自社コンサートプログラムの一環として、福島の学生や地元合唱団で編成されたアマオケ連盟を結成。300 名以上の方が本番にむけて練習を重ねた」といった新しい展開も生まれています。熊本・大分ではのべ 19 社が現地で活動を実施しました。
【メセナ実施地域:東北被災地 3 県のべ 57 社、熊本・大分のべ 19 社】


【調査概要】
「企業によるメセナ活動実態調査」「企業財団によるメセナ活動実態調査」
全国の企業や企業財団・公益信託を対象に 1991 年より実施。調査の企画・分析・研究は協議会会員企業のメセナ担当者で構成する調査研究部会が行っています。
■調査内容:
 企業・・・2015 年度(2015 年 4 月 1 日~2016 年 3 月 31 日)のメセナ活動実施状況・実施内容・体制等
 財団・・・2015 年度(各財団の事業年度に順じた期間)の活動理念・活動実績・事業体制等
■調査対象:
 企業・・・日本国内企業 1,911 社 (全国上場企業、非上場売上高上位企業、企業メセナ協議会会員企業、当協議会認定・顕彰事業「This is Mecenat/メセナアワード」応募企業等のうち、過去に本調査にご回答をいただいた企業約 1,600社、およびその他協議会調べ企業 約 400 社。)
 財団・・・事業内容に芸術文化(支援)活動を含む企業財団・公益信託など 312 団体。
 ※企業本体の出捐だけでなく企業オーナー個人が拠出している財団・公益信託も含む。
■調査方法:郵送、インターネット、電子メール等によるアンケート調査。
 ※分析にあたっては、協議会が保有するデータ、電話ヒアリングや企業財団の公開情報も活用した。
■アンケート実施期間: 2016 年 6~9 月

*本調査は平成 28 年度文化庁「次代の文化を創造する新進芸術家育成事業」として委託を受け実施しました。

詳しいリサーチ内容はネタ元へ
[メセナ協議会]
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