「会員企業の防災対策に関するアンケート」2016年調査(東京商工会議所会員企業対象) 

2016年05月25日
東京商工会議所は、震災対策特別委員会において、会員企業における帰宅困難者対策やBCPの策定状況等の防災対策の実態を把握するために標記アンケート調査を実施し、このたび調査結果がまとまりましたのでお知らせします。

【調査結果のポイント】

● 帰宅困難者対策条例の認知度は67.2%で、2014年調査の62.0%、2015年調査の66.4%に引き続き上昇した。認知度は従業員規模が小さくなるほど低下するものの、過去の調査との比較では、従業員数10~29人の企業における認知度が2014年調査から11.1%上昇するなど、従業員規模が小さい企業において認知度が顕著に上昇している。
(従業員数10~29人の企業における認知度:2014年調査38.6%⇒2016年調査49.7%)

● 条例の努力義務である「全従業員分の3日分の備蓄」を行っている企業は約半数で、過去の調査と比べて状況は変わらない。また、都が呼びかけている「外部の帰宅困難者向けの10%余分の備蓄」をしている企業は2割に届かない。

● 従業員に対する安否確認手段は「メール」が約6割、「通話」が約5割。
災害時は通信規制や輻輳によりメール・通話が利用できない可能性が高いが、災害時の安否確認に有効な「災害用伝言サービス」や「独自に整備した安否確認システム」はそれぞれ約3割にとどまる。

● 家族との安否確認手段として、「災害用伝言サービス等、通話以外の手段を確保するよう従業員に周知している」企業は36.2%にとどまり、約6割の企業が有効な手段を周知していない。

● 首都直下地震時に必要な行き場のない帰宅困難者の一時滞在施設は約92万人分と想定されているが、現状は約25.5万人分の確保にとどまり大幅に不足している中で、「災害時の損害賠償責任が事業者に及ばない制度」の創設が民間の一時滞在施設の増加に有効だと考える事業者は93.6%と大宗を占める。

● 首都直下地震の被害想定の認知度は45.5%と半数に届かない。また、荒川右岸低地氾濫の被害想定の認知度は28.0%と、首都直下地震の認知度よりも大幅に低下する。

● 水害に備えて行っている事前対策は「備蓄の確保」(54.4%)と「データや書類等のバックアップ」
(41.0%)が多いものの、4社に1社は「特に対策はしていない」(25.9%)。

● BCPの策定率は25.9%で低水準にとどまる。また、従業員規模が小さくなるほど策定率は低下する。

● 強化・拡充を望む行政の防災対策は、「インフラの耐震化」(65.3%)に次いで「帰宅困難者対策」が55.9%、「水害対策」が26.1%となった。

● 過去の調査に引き続き、帰宅困難者対策への関心は高いものの、備蓄をはじめ、企業の取り組みは進んでいない実態が明らかとなった。


<調査概要>
調査期間:2016年4月12日~4月28日
調査対象:東京商工会議所会員企業10,000社
調査方法:FAX送付/返送
回答数:1,570
回収率:15.7%(回収数/発送数)

詳しいリサーチ内容はネタ元へ
[東京商工会議所]
 マイページ TOP