世界トップ300の年金基金の資産総額 

2017年01月16日
世界トップ300の年金基金の資産総額は、2015年に3%超減少して14兆8,000米ドルとなったことが、ペンション・アンド・インベストメンツ(P&I)紙とウイリス・タワーズワトソンの調査で明らかになりました。

2008年の世界金融危機以来、初めての資産残高の減少となりましたが、この間に資産総額は累計で19%近く増加しています。米国有力投資情報誌であるP&Iと共同で行った『P&I / ウイリス・タワーズワトソン グローバル 300』の調査では、トップ20基金全体の資産額が2015年に2%減少したのに対し、アジア太平洋地域のトップ6基金はおよそ1%増加しました。ランキングでは、アジア太平洋地域のトップ6基金の合計資産は、トップ20基金の資産総額の41%を占めています。

また本調査では、2015年にアジア太平洋地域の政府系および公的セクターのトップ30の年金基金の合計資産が3兆4,000億米ドルとなり、資産総額の23%を占めることが明らかになりました。加えて、その他の政府系(1)および公的セクター基金(その他の地域の112基金)の合計資産は6兆6,000億米ドルで、資産全体に占める割合は44%でした。民間セクターのインダストリー・ファンドは58基金、企業基金は100基金で、調査対象となった資産全体に占める割合はそれぞれ14%と19%でした。

本調査によると、トップ300の地域別では、北米が過去5年間の増加率がおよそ6%と最も高く、対して欧州がおよそ4%、アジア太平洋地域がおよそ1%でした。過去5年間に新たに27基金がトップ300にランク入りしており、ネットベースで見ると、米国が最も多く(10基金)、次いで英国、韓国、オーストラリア、フランス、ペルー、ベトナム、イタリアの順となっています。同期間のネットベースで、ランキングからはずれた基金数が最も多かったのはメキシコ(4基金)で、スイス、ドイツ、日本(3基金)が続きます。トップ300にランク入りしているのは米国の基金数が最も多く(131基金)、次いで英国(27基金)、カナダ(19基金)、オーストラリア(16基金)、日本(15基金)、オランダ(12基金)の順となっています。

2015年に実施した調査によれば、唯一増加したのはハイブリッド型の資産のみ(ほぼ14%)で、その他のファンドタイプはすべて減少しました。確定給付型(DB)の資産はほぼ5%減少、確定拠出型(DC)では2%超、リザーブ・ファンド(2)は0.3%減少でした。確定給付型がランキングの資産総額に占める割合は66%です。

また、国別年金資産では米国が引き続き最大のシェアを有し、全体のおよそ38%を占め、一方日本はおよそ12%で2番目に大きな市場であることを本調査が示しています。オランダは6%超で3番目に大きなシェアを占め、 ノルウェーと英国がそれぞれおよそ6%と5%で、4番目、5番目に大きな市場です。現在、世界のトップ300の年金基金が世界全体の年金資産総額(3)に占める割合はおよそ42%に相当します。


(1) 国・政府が年金債務に備えて設立した基金。他にも多くの国家が支援する基金が設立されているが、本調査では特に国や政府がスポンサーとなっているファンドに限定した。

(2) リザーブ・ファンドとは、国・政府が年金の支払いを保証するために準備しているものであり、明確に債務として特徴づけられるものではなく、 DBや DCに分類されるものでもない。

(3) P&I / Willis Towers Watson global 300 rankingおよび Willis Towers Watson Global Pension Asset Studyに基づく推定値。

詳しいリサーチ内容はネタ元へ
[ウイリス・タワーズワトソン]
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