第15回出生動向基本調査(結婚と出産に関する全国調査) 

2016年09月15日
国立社会保障・人口問題研究所は、平成27(2015)年に実施した「第15回出生動向基本調査(結婚と出産に関する全国調査)」の結果概要をとりまとめ、平成28年9月15日に公表しました。

【調査の概要】

 出生動向基本調査は、わが国の結婚と夫婦出生力の動向ならびにその背景を定期的に調査・計量し、 関連諸施策ならびに人口動向把握等に必要な基礎データを得ることを目的とした調査で、独身者調査と 夫婦調査から構成されています。

 調査対象は、独身者調査では「平成27年国民生活基礎調査」で設定された調査区から無作為に選ばれた 900調査区に居住する18歳以上50歳未満の全ての独身者で、夫婦調査では独身者調査と同じ900調査区に居住する50歳未満の有配偶女性です。

 独身者調査では調査票配布数11,442票に対して有効票数は8,754票、有効回収率は76.5%でした。 また、夫婦調査では調査票配布数7,511票に対して有効票数は6,598票、有効回収率は87.8%でした。

【調査結果の概要】

第Ⅰ部 独身者調査の結果概要


1.結婚という選択
・ いずれは結婚しようと考える未婚者の割合は男性 85.7%(前回 86.3%)、女性 89.3%(同 89.4%)で、依然として高い水準にある。<p.4>
・ 結婚の利点として「経済的余裕が持てる」ことを挙げる未婚女性が増える傾向にある(前回 15.1 → 20.4%)。<p.6>
・ 独身生活の利点としては「行動や生き方の自由」が安定的に多数を占めている(男性 69.7%、女性 75.5%)。<p.7>
・ 結婚への障壁としては「結婚資金」が最多となっている(男性 43.3%、女性 41.9%)。<p.8>

2.異性との交際
・ 異性の交際相手をもたない未婚者は引き続き増加し、男性 69.8%(前回 61.4%)、女性 59.1%(同 49.5%)となった。<p.11>
・ 性経験のない未婚者の割合が 2000 年代後半より増加傾向にある(男性前回 36.2 →42.0%、女性同 38.7 → 44.2%)。<p.12>
・ 30 代前半の同棲経験割合は男性 10.4%、女性 11.9%。<p.13>

3.希望の結婚像
・ 未婚者の平均希望結婚年齢はほぼ頭打ちで、男性 30.4 歳(前回 30.4 歳)、女性 28.7歳(同 28.4 歳)。男性で同い年志向の増大が続く(前回 35.8 → 41.8%)。<p.14>
・ 未婚女性の予定ライフコースは専業主婦コースの減少が続き(前回 9.1 → 7.5%)、代わって両立コースと非婚就業コースが増加した(両立前回 24.7 → 28.2%, 非婚就業前回 17.7 → 21.0%)。 <p.15>
・ 結婚相手の条件で考慮・重視するのは、「人柄」が最も多く(男性 95.1%、女性 98.0%)、次いで「家事・育児の能力」(男性 92.8%、女性 96.0%)。<p.16>

4.未婚者の生活と意識
・ 親と同居する未婚者の割合は安定して推移(男性 72.2%、女性 78.2%)。<p.17>
・ 未婚者男女とも「一人の生活を続けても寂しくない」の割合が増加(男性 41.5 →48.3%、女性 28.7 → 36.2%)。結婚意思がないと7割超(男性 75.0%、女性 71.7%)。<p.18>

第Ⅱ部 夫婦調査の結果概要

1.夫妻の結婚過程
・ 夫妻の平均出会い年齢は、夫 26.3 歳、妻 24.8 歳で、ともに上昇(前回 夫 25.6 歳、妻 24.3 歳)。平均交際期間も 4.3 年と伸長が続き、晩婚化が進行。<p.20>
・ 戦前7割を占めた見合い結婚は戦後を通じて減少傾向にあり、1990 年代半ば以降は一桁台で推移(最新 2010~2014 年 5.5%)。<p.21>

2.夫婦の出生力
・ 夫婦の完結出生児数(最終的な出生子ども数の平均値)は、前回調査に続き2人を下回った(前回 1.96 → 1.94 人)。半数を超える夫婦が2人の子どもを生んでいる一方で(54.1%)、子ども1人の夫婦が増加している(前回 15.9 → 18.6%)。 <p.22>
・ 出生過程途上の夫婦でも、結婚後5年以上経過した夫婦では出生子ども数に低下傾向が見られる。<p.23>

3.妊娠・出産をめぐる状況
・ 夫婦の 40.4%が避妊を実施しており、これは第7回(1977 年)調査以降で最も低い実施率となる。<p.24>
・ 不妊を心配したことがある夫婦は増加(前回 31.1 → 35.0%)。子どものいない夫婦では 55.2%で半数を超えている(前回 52.2%)。不妊の検査や治療を受けたことがある夫婦は全体で 18.2%(同 16.4%)、子どものいない夫婦では 28.2%(同 28.6%)である。<p.25>
・ 流死産を経験したことのある夫婦の割合は全体で 15.3%。<p.26>

4.子育ての状況
・ 子どもの追加予定がある夫婦でも 52.9%の妻が就業。追加予定がない夫婦では、末子が0~2歳のとき 47.6%、3~5歳になると 61.0%の妻が就業している。 <p.27>
・ 第1子出産前後の妻の就業継続率はこれまで4割前後で推移してきたが、2010~14年では 53.1%へ上昇。<p.29>
・ 第1子について、何らかの子育て支援制度・施設を利用した夫婦の割合は 80.3%。
出産後も妻が継続して正規雇用の場合には 98.1%。<p.31>
・ 第1子について、約半数の夫婦が夫方、妻方いずれかの母親(子の祖母)から子育ての手助けを受けている(2010 年以降の出生で 52.9%)。<p.32>

第Ⅲ部 独身者・夫婦調査共通項目の結果概要

1.子どもについての考え方
・ 未婚者の平均希望子ども数は、男女ともに低下し、男性では初めて2人を切った(男性前回 2.04 → 1.91 人, 女性同 2.12 → 2.02 人)。<p.36>
・ 夫婦の平均理想子ども数、平均予定子ども数はいずれも低下し、過去最低となった(理想子ども数前回 2.42 → 2.32 人, 予定子ども数同 2.07 → 2.01 人)。<p.37>
・ 夫婦の予定子ども数が理想子ども数を下回る理由として最も多いのは、依然として「子育てや教育にお金がかかりすぎる」(56.3%)、次いで「高年齢で生むのはいやだから」(39.8%)。<p.40>
・ 夫婦が女の子に受けさせたい教育の程度は、第 10 回調査(1992 年)では「短大・高専」が最多だったが(38.5%)、今回は「大学以上」が増え(34.3 → 59.2%)、「短大・高専」(10.7%)を大幅に上回った。<p.42>

2.生活経験と交際・結婚・出生
・ 出会いのきっかけは、未婚者・夫婦ともに「職場」、「友人やきょうだいを通じて」、「学校」が7割を占める(未婚男性 66.9%、未婚女性 66.2%、夫婦 70.6%)。<p.44>
・ 子どもとの「ふれあい経験」が多かった未婚者の希望子ども数は多い傾向にあり、とくに女性で差が大きい(「経験多」平均希望子ども数 2.14 人、「経験少」同 1.89 人)。<p.46>
・ 結婚後 10 年未満の夫婦の平均理想・予定子ども数についても「ふれあい経験」の多い妻で高い傾向が見られた(「経験多」理想 2.45 人・予定 2.32 人、「経験少」理想 2.36人・予定 2.21 人)。<p.46>

3.結婚・家族に関する意識
・ 妻では「婚前交渉はかまわない」(87.5%)、「女らしさ男らしさは必要」(85.3%)、「結婚しても自分の目標を」(85.0%)、「最初の子どもを産むなら 20 代で」(81.9%)に対して支持が高い。<p.49>
・ 結婚・家族に関して伝統的な考え方の妻(結婚持続期間0~4年の夫婦)は、平均理想・予定子ども数が高い傾向にある。<p.51>
・ 結婚することや子どもを持つことについては、妻よりも未婚女性の方が伝統的な考えを支持する傾向がある。一方、結婚後のあり方や出産に適した年齢については、妻の方が伝統的な考えを支持している。<p.52>

詳しいリサーチ内容はネタ元へ
[国立社会保障・人口問題研究所]
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