ニールセン グローバル・プレミアム化調査 

2016年12月19日
ニールセンは、「ニールセン グローバル・プレミアム化調査」の結果を発表しました。

・プレミアムセグメントは力強い成長を続け、多くの市場でカテゴリ全体の売上を上回る。消費者の購買力と消費が世界中で上昇するとともに、継続的な成長の可能性は高くなっている。

・消費者の高級志向は高額商品だけに留まることなく、日用品でもプレミアム商品が選ばれている。パーソナルケア、美容、ホームケア、そして各種食品・飲料のカテゴリも、世界中の多くの市場で力強い成長を見せている。

・プレミアム商品の特徴として最も回答が多かったのは、高品質(54%)と優れた性能(46%)。最も成功しているプレミアム商品は、従来のソリューションでは不十分だった、またはこれまでソリューションが存在していなかった課題に対して、意義のある働きをする商品。

・世界の回答者のうち約4割が、有機製品または完全自然食品(42%)や、環境志向または持続可能な材料の商品(39%)により高い金額を支払っても良いと回答。

・消費者は合理的・感情的両方の理由からプレミアム製品を購入するが、新興市場では社会的地位と成功への願望が強いので、感情的理由がより強く作用する。


世界中で、消費者は良い生活の体験を求めています。そして、それは裕福な消費者に限られたことではありません。「プレミアム」層の商品の売上(ニールセンの定義では、同カテゴリの平均価格を20%以上上回る商品)は急速に成長しています。実際、世界の多くの市場で、プレミアム部門の成長は日用品(FMCG)の多くのカテゴリ全体の成長を上回っています。2012年から2014年の間に、プレミアムセグメントは東南アジア地域で21%成長し、メインストリーム及びバリュー層の成長率(それぞれ8%及び10%)の2倍以上となりました。プレミアム製品は、同期間中に中国で23%成長しました。中南米地域では、メキシコとベネズエラを除く全市場で2016年6月までの12カ月で、プレミアムセグメントの成長率は日用品カテゴリ全体の成長率を上回りました。

供給・需要両サイドの要因が、プレミアムセグメントの成長を牽引しています。第一に、多くの消費者はかつてなく高い購買力を有しています。可処分所得が増えれば、多くの消費者がそれまで手が出なかった商品やサービスに支払う金額を増やすようになります。さらに、グローバリゼーション(これにより消費者はより多くの製品にアクセス可能になります)と、多くの市場で製品の品質と買い物体験に対する関心が高まっていることは、消費者の高級製品志向に拍車をかけてきました。

プレミアム化は、成長中の市場だけのトレンドではありません。アメリカでは、プレミアム商品はパーソナルケアとホームケア製品のカテゴリにおける売上高の約4分の1を占めています(それぞれ26%及び23%)。2016年4月2日までの1年間におけるプレミアムセグメントの成長率は、パーソナルケア(全体2%に対して8%)、そして食品(全体3%に対して8%)で、カテゴリ全体の成長率を上回っています。複数のヨーロッパ市場でも同様の状況が見られます。2014年から2015年で、複数のカテゴリにおけるプレミアムセグメントの成長率は、カテゴリ全体を上回りました。例えば、イギリス、ドイツ、フランス、イタリアのシャンプーとビスケット菓子、ドイツとイギリスのソフトドリンク、そしてフランスの洗濯用品などです。

新しく革新的なブランドの提供も、プレミアムセグメントの成長を促進しています。新鮮な製品やサービスは、あるカテゴリに刺激と市場消費の増加をもたらすことができるからです。これまで、プレミアムセグメントは、非常に困難な小売環境にあって一条の光明となっていました。そして、ブランドは意識的にイノベーションを行い、このトレンドに投資しようとしています。例えば、ニールセン・セールス・トレンドによれば、プレミアム商品は東南アジア地域の新製品開発の約20%を占めており、一部のカテゴリでは40%にも上ります(洗顔料、化粧水、インスタント麺など)。

プレミアム化が堅固なトレンドである一方で、一部の大手メーカーは、小規模のプレーヤーとの競争で苦戦してきました。例えばアメリカでは、上位25位の食品・飲料企業が2011年から2015年のカテゴリ全体の成長に占める割合はわずか3%であるのに対し、100位未満の企業が約半分(49%)を占めています。これらの数字は、多くの新製品開発で大企業が課題を抱えていることを示していますが、収益可能性が高いプレミアム製品ではとくに問題は深刻です。


この調査では、消費者がプレミアム製品やサービスに求めている性質を特定するとともに、購入理由の裏にある感情を明らかにしました。また、消費者にとって「プレミアム」が何を意味するかを精査し、消費者が高額を支払っても良いと思うカテゴリを特定しました。さらに、プレミアム価格を支払っても良いという意思は、自身の財政状況に対する消費者感情に大きく左右されるため、消費能力の認識にも着目しています。最後に、プレミアム商品分野で競争する際に考慮すべき最良の戦略を提案しています。


グローバル・プレミアム化調査レポートについて
小売セールスデータは、主要な小売チェーンから売上及び価格データを収集するニールセンのリテール・メジャメント・サービスデータに基づくものです。レポートは、ヨーロッパ、中南米地域、アジア太平洋地域、北米地域の63ヵ国のオンライン消費者30,000人を対象に、2016年3月1日から23日にかけて実施された調査に基づきます。オンライン調査は莫大な規模と世界的範囲の調査を可能にしますが、総人口ではなく既存のインターネットユーザーの行動にのみ基づいています。オンラインが完全に普及していない発展途上国では、調査対象者はその国の一般集団より若く経済的に裕福である可能性があります。さらに、調査の回答は回答者の自己申告に基づく態度や行動であり、実際に計測されたデータではありません。感情を報告する際の文化の違いは、各国の調査結果を左右する要因のひとつです。レポートの結果は、こういった差異をコントロールまたは修正していないため、各国や各地域を比較する際、特に地域的な境界を越えて比較する場合には注意が必要です。

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