ダブルケアに関する調査(全国の大学生以下の子どもを持つ父親・母親対象) 

2017年03月17日
ソニー生命保険と横浜国立大学 大学院国際社会科学研究院 相馬 直子准教授、ブリストル大学(英国) 社会・政治・国際学研究科 山下 順子講師は、2016年10月29日~11月6日の9日間、全国の大学生以下の子どもを持つ父親・母親に対し、昨年に続き2回目となる全国規模での「ダブルケアに関する調査」をインターネットリサーチで実施し、2,100名の有効サンプルの集計結果を公開しました。(調査協力会社:ネットエイジア株式会社)

<調査結果概要>

【『ダブルケア』 と仕事の両立】

・有職者の1割半が「介護や育児を理由に仕事をやめたことがある」
 女性ダブルケア経験者では4割近く、男性でも2割が
 「介護や育児を理由に仕事をやめたことがある」と回答
・ダブルケアと仕事の両立で苦労した点 「ダブルケアという問題が職場で認知されていない」が3割半
 未経験者が苦労すると思う点では「介護サービス利用と仕事の両立がしにくい」がトップに
・ダブルケアと仕事の両立の理想像 「子育て・介護・仕事のバランスをよく」が4割
 しかし、現実はバランスが上手く取れず、「子育てと仕事が中心」が3割半で最多
・ダブルケアと仕事の両立のために職場に必要なこと 「休暇の取りやすさ」「柔軟な出社時間」

【『ダブルケア』の金銭的負担】

・ダブルケアに関する毎月の負担額 平均負担額は81,848円
 親の医療・介護関連の費用 全て「親の年金や預貯金」から出している人が2割
・女性の7割は「親の年金・預貯金」からと予想も、「自身の世帯収入」からを予想する男性が4割

【『ダブルケア』に対する備え・支援】

・やっておいたほうがよかったダブルケアの備え 「親が元気なうちに話し合う」が3割半で最多
 男性では「家族の要介護リスクの整理」が最多、女性では「ダブルケア費用の準備」が最多
 ダブルケア未経験者の6割が「ダブルケアの備えを何も行っていない」

【全国初 地域別『ダブルケア』実態調査】

・ダブルケアを経験6.5%、ダブルケアが自分事の問題13.5%
 ダブルケアが自分事の問題である人の割合 最も高かったのは九州・沖縄、次いで近畿

・≪『ダブルケア』 認知度調査≫『ダブルケア』という言葉を聞いたことがある人の割合 経験者では4割
 昨年調査と比較 自身のダブルケアの状況に関わらず言葉を聞いたことがある人の割合は上昇

・女性のダブルケア経験者が実感した負担 「精神的しんどさ」7割半、「体力的しんどさ」6割半
 男性のダブルケア経験者では「経済的負担」や「仕事との両立」の問題が重荷になる傾向
 ダブルケアの負担 経験者の実感と未経験者の予想には大きな開き

<調査結果>

・ダブルケアを経験6.5%、ダブルケアが自分事の問題13.5%
・ダブルケアが自分事の問題である人の割合 最も高かったのは九州・沖縄、次いで近畿


“子育て”と“親(または義親)の介護”が同時期に発生する状況を表す言葉として『ダブルケア』という言葉がありますが、どのくらいの人がダブルケアに直面したことがあるのでしょうか。

全国の大学生以下の子どもを持つ親2,100名(父親1,050名、母親1,050名)に、“ダブルケアとは『子育てと親・義親の介護が同時期に発生する状況』である”と説明をし、自身のダブルケアの状況について聞いたところ、全体では、「ダブルケアを経験した人」(「直面中」と「過去に経験」の合計)は6.5%、「ダブルケアが自分事の問題である人」(「経験」と「数年先に直面」の合計)は13.5%になりました。 地域別に、「ダブルケアを経験した人」の割合をみると、九州・沖縄が最も高く9.7%と約1割になり、また、「ダブルケアが自分事の問題である人」の割合をみると、九州・沖縄が17.0%で最も高く、次いで、近畿が16.0%と僅差で続きました。 男女地域別にみると、関東では、「ダブルケアを経験した人」(男性9.4%、女性4.0%)と「ダブルケアが自分事の問題である人」(男性16.1%、女性10.7%)は男性の方が高くなりました。また、男性では、「ダブルケアが自分事の問題である人」は近畿でも16.6%と1割半となりました。一方、女性では、「ダブルケアを経験した人」と「ダブルケアが自分事の問題である人」は九州・沖縄が他の地域に比べて高く、それぞれ12.7%、22.7%でした。 (図1)

・『ダブルケア』という言葉を聞いたことがある人の割合 経験者では4割
・昨年調査と比較 自身のダブルケアの状況に関わらず言葉を聞いたことがある人の割合は上昇


では、どのくらいの人が『ダブルケア』という言葉を耳にしたことがあったのでしょうか。

全回答者(2,100名)に、『ダブルケア』という言葉を聞いたことがあるか質問したところ、全体では、「ある」12.6%、「ない」87.4%となりました。 『ダブルケア』という言葉を聞いたことがある人の割合を男女別にみると、男性では12.5%、女性では12.8%となり、ほとんど男女差はみられませんでした。また、自身のダブルケアの状況別にみると、経験がある人では39.9%、数年先に直面する人では25.9%、直面していない人では9.5%となりました。 (図2) さらに、男女地域別に、『ダブルケア』という言葉を聞いたことがある人の割合をみると、男性では、関東が16.7%と他の地域の男性より高く、女性では、中国・四国が16.7%と他の地域の女性より高くなりました。 (図3)

また、母親(1,050名)の回答結果を昨年の調査結果(『ダブルケアに関する調査2015』)と比較(※)をすると、『ダブルケア』という言葉を聞いたことがある人の割合は2015年8.1%→2016年12.8%と4.7ポイント上昇しており、『ダブルケア』という言葉が広まっている様子がうかがえました。 ダブルケアの状況別にみると、経験がある人では2015年20.7%→2016年26.9%(6.2ポイント上昇)、数年先に直面する人では2015年13.9%→2016年21.2%(7.3ポイント上昇)、直面していない人では2015年5.7%→2016年10.9%(5.2ポイント上昇)と、いずれの状況においても昨年よりも上昇していることが明らかになりました。『ダブルケア』という言葉は、自身のダブルケアの状況に関わらず広まっているようです。 (図4)

※昨年の調査は、全国の大学生以下の子どもを持つ母親を対象にした調査のため、母親の回答結果で比較をした ダブルケアに関する調査2015

・ダブルケア未経験者の4人に3人が「親・義親の介護の相談先を知らない」

ダブルケアを経験したことがない人が多いものの、『ダブルケア』という言葉が広まっている様子がうかがえましたが、親・義親の介護が必要になった場合の相談先を知っている人はどのくらいいるのでしょうか。

ダブルケアを経験したことがない1,962名(数年先にダブルケアに直面する147名・ダブルケアに直面していない1815名)に、親・義親に介護が必要になった時の相談先を知っているか聞いたところ、「相談先を知らない」が75.0%、「相談先を知っていると思う」が25.0%となりました。親・義親に介護が必要になった場合、どこに相談をすればいいのかを知らないというダブルケア未経験者が多数のようです。 地域別に「相談先を知らない」という人の割合をみると、北海道・東北は71.2%と全体より若干低くなったものの7割を超え、その他の地域においては、7割半(関東74.6%、北陸・甲信越75.9%、東海76.8%、近畿73.9%、中国・四国77.1%、九州・沖縄75.6%)となりました。親・義親の介護の相談先を知らないという人が多いのは、全国的な傾向のようです。 (図5) さらに、男女地域別に「相談先を知らない」という人の割合をみると、男性では、近畿(66.2%)が他の地域に比べて低くなり、女性では、北海道・東北(67.6%)が他の地域に比べて低くなりました。 (図6)

・女性のダブルケア経験者が実感した負担 「精神的しんどさ」7割半、「体力的しんどさ」6割半
 男性のダブルケア経験者では「経済的負担」や「仕事との両立」の問題が重荷になる傾向
・ダブルケアの負担 経験者の実感と未経験者の予想には大きな開き
 未経験者の予想では「精神的」より「体力的」、「子育て」「介護」への影響でも異なる結果に


次に、ダブルケアの負担について聞きました。

まず、ダブルケアを経験したことがある人(138名)に、ダブルケアで何が負担に感じるか(感じたか)を聞いたところ、「精神的にしんどい」が最も多く59.4%、次いで、「体力的にしんどい」55.8%、「子どもの世話を十分にできない」51.4%、「親/義理の親の世話を十分にできない」47.8%、「経済的負担」47.1%が続きました。
男女別にみると、女性では、「精神的にしんどい」が73.1%、「体力的にしんどい」が65.7%となり、男性(精神的にしんどい46.5%、体力的にしんどい46.5%)より高くなりました。精神的しんどさや体力的しんどさを感じるのは、特に女性のようです。また、「遠距離の世話」(男性22.5%、女性32.8%)と「兄弟や親戚間での認識のズレ」(男性12.7%、女性26.9%)でも女性のほうが高くなりました。
結婚などで家を出た後に、実家にいる親の介護をしなければいけないというケースは女性のほうが多いのではないでしょうか。一方、男性では、「子どもの世話を十分にできない」が50.7%で最も高くなりました。子育てが十分にできないことに負担を感じた男性が多いようです。また、「経済的負担」(男性49.3%、女性44.8%)や「仕事との両立」(男性28.2%、女性23.9%)において、女性よりやや高くなりました。金銭的な問題や仕事との調整に負担を感じるのは、女性より男性のようです。 (図7)

次に、ダブルケア未経験者(1,962名)に、ダブルケアで負担に感じると思うことを聞いたところ、「体力的にしんどい」が最も多く44.9%、次いで、「精神的にしんどい」42.9%、「経済的負担」40.4%、「親/義理の親の世話を十分にできない」29.6%、「子どもの世話を十分にできない」23.2%が続きました。また、「負担は感じない」は29.5%で、男女別にみると、男性37.7%、女性21.4%となりました。ダブルケアで負担は感じないと予想した人は男性に多いようです。 (図8)
さらに、男女地域別にみると、ダブルケアで負担は感じないと予想した男性は、関東では45.6%、東海では43.4%となり、関東と東海の男性が、他の地域の男性に比べて高い結果になりました。 (図9)
ここで、ダブルケア経験者の実感とダブルケア未経験者の予想を比較すると、経験者の実感では、“体力的しんどさ”よりも“精神的しんどさ”を負担に感じた人が多くなっていましたが、未経験者では、“精神的しんどさ”よりも“体力的しんどさ”に負担を感じると予想した人が多くなりました。また、経験者では、“十分に介護ができないこと”よりも“十分に子育てができないこと”に負担を感じた人が多くなっていましたが、未経験者では、“十分に子育てができないこと”よりも“十分に介護ができないこと”に負担を感じると予想した人が多くなりました。さらに、「負担は感じない」についてみると、未経験者では29.5%と約3割になっており、経験者の実感(1.4%)と大きな開きがみられました。このように、経験者の実感と未経験者の予想には違いがあるようです。

・有職者の1割半が「介護や育児を理由に仕事をやめたことがある」
 女性ダブルケア経験者では4割近く、男性でも2割が「介護や育児を理由に仕事をやめたことがある」と回答


最近では、家族の介護を理由に仕事をやめる「介護離職」が問題になっていますが、介護や育児によって仕事をやめなければいけなかった人は、どのくらいいるのでしょうか。

有職者(1,547名)に、介護や育児を理由に、仕事をやめたことがあるか聞いたところ、全体では「はい」が13.3%、「いいえ」が86.7%となりました。
男女別に仕事をやめたことがある人の割合をみると、男性では6.2%、女性では27.3%になりました。介護や育児を理由に仕事をやめなければいけなかったのは、女性のほうが男性より圧倒的に多いようで、特に、中国・四国の女性では31.4%と3割を超え、北陸・甲信越や東海、九州・沖縄の女性(それぞれ29.6%、28.6%、29.6%)では3割近くになりました。
また、ダブルケアの経験別に仕事をやめたことがある人の割合をみると、ダブルケア経験者では29.8%で、特に、女性経験者では37.8%、男性経験者でも24.6%となりました。一方、未経験者では11.9%で、男性未経験者では4.9%、女性未経験者では26.3%でした。 (図10) (図11)

・ダブルケアと仕事の両立で苦労した点 「ダブルケアという問題が職場で認知されていない」が3割半
・未経験者が苦労すると思う点では「介護サービス利用と仕事の両立がしにくい」がトップに


有職者の1割半が介護や育児を理由に仕事をやめた経験を持ち、また、ダブルケア経験者の4人に1人が仕事との両立に負担を感じていましたが、ダブルケアと仕事の両立では、どのような苦労があるのでしょうか。
ダブルケアの経験がある有職者(114名)に、ダブルケアと仕事の両立で苦労したことがある点を聞いたところ、「子育てと介護のダブルケアという問題が認知されていない」34.2%が最も多く、次いで、「職場が両立しにくい環境」28.9%、「介護サービス利用と仕事の両立がしにくい」28.1%が続きました。昨年の調査と比べると、『ダブルケア』という言葉が広まっている様子がうかがえたものの、認知率は1割を超える程度となっており、職場におけるダブルケアという問題の認知の低さが、ダブルケアと仕事の両立を難しくしていると考えるダブルケア経験者が多いようです。 (図12)

また、ダブルケアの経験がない有職者(1,433名)に、ダブルケアと仕事の両立で苦労すると思う点を聞いたところ、「介護サービス利用と仕事の両立がしにくい」が最も多く12.6%、僅差で、「職場が両立しにくい環境」11.4%、「親(義親)が介護施設に入れず両立できない」11.1%が続きました。 (図13)

・ダブルケアと仕事の両立の理想像 「子育て・介護・仕事のバランスをよく」が4割
・しかし、現実はバランスが上手く取れず、「子育てと仕事が中心」が3割半で最多


ダブルケアと仕事の両立について、有職者は、どのように考えているのでしょうか。

まず、有職者(1,547名)に、ダブルケアと仕事の両立について、何を優先したいか(したかったか)聞いたところ、「子育て・介護・仕事をバランスよく生活したい」が41.6%で最も多く、次いで、「子育てと仕事の両立を優先した生活をしたい」が16.9%、「仕事を最優先した生活をしたい」と「子育てを最優先した生活をしたい」が15.2%で続きました。子育て・介護・仕事の3つのバランスを上手く取りたいと考える人が多いようです。
男女別にみると、「仕事を最優先した生活をしたい」は、男性18.4%、女性8.7%となり、「子育てを最優先した生活をしたい」は、男性13.1%、女性19.4%となりました。仕事を最優先したいと考える男性や子育てを最優先したいと考える女性も少なくないようです。 (図14)
男女地域別にみると、「子育て・介護・仕事をバランスよく生活したい」は、男性では、関東(32.7%)が他のエリアに比べて低く、女性では、北海道・東北(29.9%)が他のエリアに比べて低い傾向がみられました。 (図15)

ここで、有職者(男性1,031名、女性516名)のダブルケア経験についてみると、男性では、「ダブルケアに直面中」は3.8%、「過去にダブルケアを経験」は2.9%で合計した6.7%がダブルケアを経験しており、女性では、「ダブルケアに直面中」は4.3%、「過去にダブルケアを経験」は4.5%で合計した8.8%がダブルケアを経験していました。 (図16)
では、実際にダブルケアに直面した場合、何が優先されたのでしょうか。ダブルケア経験のある有職者(114名)の回答をみると、「子育てと仕事が中心の生活だ」が33.3%で最も多くなり、「自分なりに子育て・介護・仕事の両立ができている生活だ」(23.7%)を上まわりました。現実的には、子育て・介護・仕事のバランスを上手くとることは難しく、子育てと仕事が中心になり、介護まで十分に手が回らなかった人が多いようです。 (図17)

・ダブルケアと仕事の両立のために職場に必要なこと 「休暇の取りやすさ」「柔軟な出社時間」

有職者(1,547名)に、ダブルケアと仕事の両立のためには、職場に、どのようなことが必要だと思うか聞いたところ、ダブルケア経験のある有職者(114名)では、「子育て・介護のための休暇を取りやすくする」と「柔軟に出社時間を変えられるようにする」は、ともに52.6%で半数以上が挙げました。休暇のとりやすさや出社時間の変更のしやすさが必要だと実感しているダブルケア経験者は多いようです。
また、数年先に直面するという有職者(102名)では、「ダブルケアに対する経済的支援」(41.2%)や「ダブルケアに関する情報の共有・情報提供」(21.6%)で、ダブルケア経験のある有職者(28.1%、15.8%)より高くなる傾向がみられました。近い将来ダブルケアに直面する人では、経済的支援や情報提供が必要だと思う人が少なくないようです。 (図18)

ここで、ダブルケアが自分事の問題という男女(男性131名、女性85名)についてみると、「子育て・介護のための休暇を取りやすくする」(男性48.1%、女性54.1%)や「短時間勤務を認める」(男性28.2%、女性50.6%)は、特に、女性が必要だと考えている様子がうかがえました。他方、「残業を減らす」は男性45.0%、女性32.9%となり、男性のほうが必要だと考えていることがわかりました。 (図19))

また、有職者全体について、男女地域別にみると、「残業を減らす」は北海道・東北の男性では34.3%と他の地域の男性より高くなり、「上司や同僚のダブルケアについての理解を深める」でも北海道・東北の男性が27.9%で他の地域の男性より高くなりました。
他方、「柔軟に出社時間を変えられるようにする」や「短時間勤務を認める」といった出社時間や勤務時間の変更が必要だと考える人は、中国・四国や九州・沖縄の女性が他の地域の女性より高く(「柔軟に出社時間を変えられるようにする」中国・四国の女性45.7%、九州・沖縄の女性42.0%、「短時間勤務を認める」中国・四国の女性37.1%、九州・沖縄の女性37.0%)なりました。 (図20)(図21)

・ダブルケアに関する毎月の負担額 平均負担額は81,848円
・親の医療・介護関連の費用 全て「親の年金や預貯金」から出している人が2割


続いて、ダブルケアの金銭的負担について質問しました。

まず、ダブルケア経験者(138名)に、ダブルケアに関する毎月の費用を聞いたところ、平均負担額の合計は81,848円となり、内訳は、「親(義理の親)の医療・介護関連費用(介護用品や移動費も含む)」が29,623円、「子どもの保育・教育関連費用(習い事や塾等も含む)」が33,087円、「その他」が19,138円でした。 (図22)

次に、ダブルケア経験者(138名)に、親(義親)の医療・介護関連の費用について、【親の年金や預貯金】【自身の世帯の収入】【他の兄弟や親戚の収入等】の分担割合を聞いたところ、【親の年金や預貯金】では、「100%」との回答が21.0%で最も多く、「50~59%」(17.4%)や「80~89%」(15.2%)にも回答が集まり、50%以上は親の年金や預貯金から出ているという人が71.7%になりました。他方、【自身の世帯の収入】では「0~9%」が26.8%で最も多くなったものの、「20~29%」との回答も19.6%と2割みられました。また、【他の兄弟や親戚の収入等】では、「0~9%」が最も多く62.3%でした。 (図23)

・親の医療・介護関連の費用 女性の7割は「親の年金・預貯金」からと予想も、「自身の世帯収入」からを予想する男性が4割

また、ダブルケア未経験者(1,962名)に、親(義親)の医療・介護関連の費用は、どこから出すと思うか聞いたところ、「親の年金や預貯金」は61.0%、「自身の世帯の収入」は31.2%、「他の兄弟や親戚の収入等」は7.8%となりました。
男女別にみると、「親の年金や預貯金」は男性51.6%、女性70.3%と女性のほうが高く、「自身の世帯の収入」は男性39.8%、女性22.7%で男性のほうが高くなりました。女性の多くは、「親の年金や預貯金」から出すことを考えているようですが、「自身の世帯の収入」から出そうと考えている男性は、少なくないようです。 (図24)
さらに、男女地域別にみると、「親の年金や預貯金」から出すことを考えている女性は、北海道・東北では75.5%と4人に3人の割合となり、東海(71.6%)や近畿(70.2%)、九州・沖縄(72.5%)でも7割以上となりました。また、「自身の世帯の収入」から出そうと考えている男性は、関東(41.9%)や北陸・甲信越(42.4%)、東海(42.7%)、九州・沖縄(43.6%)では4割以上でした。 (図25)

・やっておいたほうがよかったダブルケアの備え 「親が元気なうちに話し合う」が3割半で最多
 男性では「家族の要介護リスクの整理」が最多、女性では「ダブルケア費用の準備」が最多
・ダブルケア未経験者の6割が「ダブルケアの備えを何も行っていない」


ダブルケアに対する備えとして、どのようなことをやっておけばよいのでしょうか。

まず、ダブルケア経験者(138名)に、ダブルケアに対する備えとして、やっておいたほうがよかったことを聞いたところ、「親が元気なうちに介護について話し合う」が最も多く34.8%、次いで、「子育て・介護に関する地域の支援制度を調べる」が31.9%、「親族(両親や兄弟姉妹など)とダブルケアが起こった場合の負担・分担について話し合う」が31.2%で続きました。介護について親・親族と話し合っておけばよかったと感じている経験者や地域の支援制度について調べておけばよかったと感じている経験者が多いようです。
男女別にみると、男性では、「誰がいつ要介護になるリスクがあるのか整理する」が42.3%で最も高く、女性(14.9%)と比べて27.4ポイント高くなりました。誰が・いつ要介護になる可能性があるのかを考えておけばよかったという男性が多いようです。一方、女性では、「子育て・介護に関する経済的な準備をする(貯蓄・保険など)」が40.3%となり、「親が元気なうちに介護について話し合う」と並んで最も高くなりました。ダブルケアに必要な費用を準備しておけばよかったという女性が多いようです。 (図26)

一方、ダブルケア未経験者(1,962名)に、ダブルケアに対する備えとして、やっている(やっていた)ことを聞いたところ、「特になし」が60.0%になりました。ダブルケアに対する備えを行っていない人が多いようです。比較的行われていたのは親や親族との話し合いで、「親族(両親や兄弟姉妹など)とダブルケアが起こった場合の負担・分担について話し合う」が14.3%、「親が元気なうちに介護について話し合う」が13.2%でした。
男女別にみると、ダブルケアに対する備えができていないのは、特に、男性より女性のようで、「特になし」は、男性の56.9%に対し、女性では63.1%になりました。 (図27)

また、ダブルケアに対する備えとして、やっていることが「ある」人と「ない」人の割合を地域別に算出したところ、やっていることが「ある」人は、北海道・東北(40.3%)、北陸・甲信越(43.8%)、東海(41.2%)、近畿(43.2%)では4割を超えましたが、関東(36.4%)や中国・四国(36.9%)、九州・沖縄(38.0%)では、3割台半ばから後半にとどまりました。 (図28)

・ダブルケア世帯に配慮した介護施設入所基準や保育所入所基準
 ダブルケアに直面している人ではどちらも9割以上が必要と回答
・「ダブルケア経験者が、地域で直接相談にのってくれることが必要」 数年先に直面する人の9割弱


最後に、ダブルケアをしている人(ダブルケアラー)への支援策を5つ提示し、必要だと思うかどうかを聞いたところ、必要だと思う人の割合(「必要だ(計)」)は、「介護施設の入所基準にダブルケア加点をするなど、ダブルケア世帯に配慮した介護施設入所基準にする」(直面中98.6%、数年先に直面93.9%)と「介護も育児も合わせて相談できる行政窓口」(直面中93.1%、数年先に直面91.9%)では、ダブルケアに直面している人と数年先に直面するという人のどちらにおいても9割以上になり、「保育園の入所基準にダブルケア加点をするなど、ダブルケア世帯に配慮した保育所入所基準にする」(直面中93.1%、数年先に直面89.1%)では9割前後になりました。ダブルケア世帯に配慮した介護施設入所基準、保育所入所基準や、介護と育児の両方を相談できる行政窓口の必要性は非常に高いようです。
また、「ダブルケア経験者が、地域で直接相談にのってくれる」(直面中86.3%、数年先に直面87.1%)では、ダブルケアに直面している人と数年先に直面するという人のどちらにおいても必要だと思う人の割合は8割台後半になり、「ダブルケア当事者がつながる場を、地域でつくる(例:地域でのおしゃべり会)」(直面中76.7%、数年先に直面81.0%)では7割半から8割になりました。ダブルケアに関連した地域のつながりを必要だと感じている人も多数いることが明らかになりました。 (図29))


「ソニー生命調べ」

【調査概要】
調査タイトル:ダブルケアに関する調査2017
調査対象:ネットエイジアリサーチのモニター会員を母集団とする 全国の大学生以下の子どもを持つ父親・母親
調査期間:2016年10月29日~11月6日
調査方法:インターネット調査
調査地域:全国
有効回答数:2,100サンプル(全国7地域×男女の比率が均等になるように抽出)
調査協力会社:ネットエイジア株式会社

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[ソニー生命]
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