中小企業の創業・新事業展開・事業承継等に関する調査 

2017年02月16日
商工中金 調査部は、中小企業の創業・新事業展開・事業承継等に関する調査を実施。

【調査結果の概要】

【創業の経緯】
1. 創業の経緯について聞いたところ最多は創業者が前職の企業を退職し、その企業とは関係を持たず、関連ある業界で創業・開業した(関連業界スピンオフ型)で 35.0%。

2. 創業年代別にみると、創業者が前職の企業を退職し、その企業とは関係を持たず、関連ある業界で創業・開業した(関連業界スピンオフ型)や、創業者の前職の企業の方針として、分社化または関連会社として創業・開業した(分社型)では創業年代が新しいほどその比率が高まっているのに対し、創業者が他社での勤務経験無しに、独力で創業・開業した(独自型)は創業年代が新しいほど比率が低下している。

【創業以降の新事業展開について】
3. 創業以降、事業転換を実施した企業は全体の 13.3%。多角化を実施した企業は全体の 32.3%。創業年代の古い企業ほど事業転換や多角化を経験している比率が高い。

4. 今後の事業転換や多角化の実施意向について聞いたところ、事業転換を実施したいと回答した企業は3.0%、多角化を実施したいと回答した企業は 32.1%となった。

【事業承継について】
5. 前回の事業承継の後に先代経営者の影響力が残ったと回答した企業に、その影響力が経営に与えた影響を聞いたところ、好影響(28.1%)、中立的(63.2%)、悪影響(8.7%)となった。好影響としては信用や営業基盤、人脈、経営の方向性が定まっていること、といった回答が多く、悪影響としては事業承継後も経営に関与し現経営者と対立、などの回答がみられた。

6. 後継者(次代の経営者)の決定状況について尋ねたところ、後継者有(意思確認済)が 39.7%と最も多く、次いで後継者有(意思確認未済)34.4%となった。2008 年に実施した同種のアンケートに比べ、それぞれ比率が低下しており(2008 年調査各 42.3%、39.1%)、後継者無とする比率が高まっている(今回調査 25.9%、2008 年 18.6%)。特に比較的小規模の企業で前回と比べ後継者を決定済とする比率がやや低下。

7. 後継者の属性を聞いたところ、経営者の子(男)が 72.5%で最多となり、経営者の子(女)は 4.7%で、両者合わせた合計は 77.2%。但し、2008 年の調査と比べ、経営者の子を後継者とする比率はやや低下している。
中小企業にとって親族以外の第三者への事業承継の重要性が増している。

8. 事業承継の準備状況については、全体の 15.1%が十分に準備していると回答した一方、十分ではないが準備を進めている(31.0%)、準備の必要性は感じているが未実施(30.2%)と、なんらかの点で事業承継の準備が不十分と感じている企業が多い。準備が不足している項目としては後継者に財務・法務等の経営に必要な知識を付けさせる(40.3%)、後継者を補佐する経営幹部の育成(40.2%)、の順となった。

【近未来について】
9. 近未来(=約10年後=2026年頃)についてどういう時代になるか尋ねたところ、大いに事業の発展が見込める時代との回答が 6.0%、安定的な事業の発展が見込める時代が 24.3%。発展を見込めるとする企業は両者合わせると 30.3%で、これは 2006 年(10 年前)、1996 年(20 年前)に実施した同様の調査を上回っている(10 年前 18.4%、20 年前 28.5%)。先行きの見通しについて悲観的な見方が幾分後退し、やや自信を取り戻しつつある様子が窺える。


【調査概要】
・調査時点:平成 28 年 10 月(2016 年 10 月)
・調査対象先:当金庫取引先中小企業 10,369 社、有効回答数 4,413 社(回収率 42.5%)
 ◇ここでいう中小企業とは、いわゆる「中小会社」(会社法第 2 条 6 号に規定する「大会社」以外の会社)、または法定中小企業(中小企業基本法第 2条に規定する中小企業者)、のいずれかに該当する非上場企業。
 ◇本アンケート調査発送前の時点で年商 2 億円以上の企業に限定済。
・調査方法:
 調査票によるアンケート調査(郵送自記入方式)
 ヒアリング調査:アンケート回答先のうちから選定した企業に対し、訪問ヒアリング調査を実施した。了承が得られた企業は実名でその内容を掲載している。

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