日経BP社は、7月7日、2017年の「環境ブランド調査」の結果を発表しました。今年で18回目を迎えるこの調査は、日経BP環境経営フォーラムが毎年主要560企業ブランドを対象に、各企業の環境に関する活動が一般の消費者にどう伝わっているかについてインターネットを利用してアンケート調査し、結果を集計・分析しているものです。今回は2017年3月15日~4月23日にアンケート調査を実施し、全国の消費者2万300人から有効回答を得ました。 調査結果の概要をご紹介します。

 総合ランキングではサントリーが昨年1位のトヨタ自動車から首位を奪還しました。サントリーは環境ブランド指数を昨年の99.3から100.3に伸ばした一方でトヨタは102.6から99.8と減らしました。環境ブランド指数を構成する4つの指標「環境情報接触度」「環境コミュニケーション」「環境イメージ」「環境評価」では、その全てでサントリーとトヨタが1位と2位を2つずつ分け合う接戦となりました。

 サントリーは2011~2015年まで5年連続でトップでしたが、昨年はトヨタが7年ぶりに首位になっていました。サントリーのブランドは主力商品「天然水」の販売量向上とともに認知が広がっています。2013年以降に次々と新製品を投入し、今年4月には「PREMIUM MORNING TEA レモン」を発売しました。既にあるブランド名を活用して新製品を投入する戦略は、「ライン拡張戦略」と呼ばれ、飲料や食品メーカーでよく使われています。直近6年間で販売量は倍増し、2016年には販売量が1億ケースを超えました。今年3月には、国内4拠点のビール工場の名称を「天然水のビール工場」に変更しました。水で培ったブランドをビールでも訴求し始めています。強固なブランドを活用して販売を拡大し、それをブランドの拡大につなげる取り組みが評価されたと考えられます。

 企業の持続可能性を測る指標として、ESG(環境・社会・ガバナンス)の3つを使うケースが増えてきました。今回の調査では、回答者に企業の「社会・ガバナンス」分野のイメージを尋ね、そのスコアを集計した「SGイメージランキング」を初めて算出しました。スコアが高い企業ほど、社会・ガバナンス分野の取り組みが評価されている企業といえます。

 結果は、1位がトヨタ、2位がサントリー、3位がパナソニック。環境ブランド調査では常連の3つの企業が名前を連ねました。スコアを見ると、トヨタが123.3、サントリーが96.5、パナソニックが94.9で、1位のトヨタが2位のサントリーに26.8ポイント差をつけ、突出した強さを見せました。

 スコアの加点となるプラスイメージでは、全12項目中、トヨタが4項目で1位、5項目で2位を獲得し、幅広い項目で高い評価を得ました。中でも「雇用の確保や創出を行っている」「文化・芸術・学術・スポーツ・科学などの振興、支援を行っている」「商品やサービス、企業活動の情報開示がしっかりしている」と評価した回答者が多くいました。

 2016年3月末時点のトヨタの連結会社を含めた従業員数は約34万8877人で国内トップ、同社が2015年度に拠出した社会貢献活動の額は約253億円に上ります。「クルマづくりを通じて社会に貢献する」という創業理念に基づき、人材育成、社会・文化、環境、交通安全などに力を入れています。こうした社会的な取り組みが評価されたといえるでしょう。

「環境ブランド調査2017」総合ランキング(上位20位)
順位 企業ブランド名 指数
1 サントリー 100.3
2 トヨタ自動車 99.8
3 パナソニック 88.4
4 ホンダ 85.9
5 日産自動車 80.7
6 キリン 79.5
7 イオン 79
8 セブン-イレブン・ジャパン 73.9
9 アサヒビール 73.8
10 日本コカ・コーラ 73.3
11 積水ハウス 72
12 サッポロビール 71.5
13 JXエネルギー(ENEOS) 71.3
13 ダイキン工業 71.3
15 ブリヂストン 71
16 マツダ 70.8
17 日本マクドナルド 70.3
18 日本たばこ産業(JT) 70.1
19 東日本旅客鉄道(JR東日本) 69.8
20 伊藤園 69.3
20 花王 69.3

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