太陽光発電と改正 FIT 法に関する調査(太陽光発電所を所有する発電事業者対象) 

2017年09月07日
「タイナビ総研」を運営するグッドフェローズは、太陽光発電所を所有する発電事業者263名を対象にアンケート調査を実施した。その結果、約3割の人が固定価格買取制度(以下、FIT法)が改正されたことについて「内容まで知らない」「全く知らない」「興味がない」と回答した。

【調査結果】

◆みなし認定事業者の約3割が「内容までは知らない」「興味がない」
2017年4月にFIT法が改正され、認定基準がこれまでの『設備認定』から『事業計画認定』に変更され、今まで以上に事業者の責任が問われるようになった。法改正前日までに接続契約済みの案件については、『みなし認定』案件と呼ばれ、9月30日までの半年間を新認定制度への移行期間とされている。みなし認定案件の太陽光発電事業者は移行期間内に実施しなければならない所定の手続きを怠ると、認定取り消しの処分が下される可能性がある。
しかし、太陽光発電事業者に「固定価格買取制度(FIT法)が改正されたことは知っていますか」と質問したところ、27%が「知っているが内容までは知らない」「全く知らない」と回答し、1%は「興味がない」と回答した。法改正の際、経済産業省から太陽光発電事業者宛に通知はがきが届いているはずだが、当の事業者はこの重大な事実に気が付かず、“他人事”になっている人も多いようだ。

◆8割が「メンテナンスは必要」も、契約は4割。
一方、「FIT法改正により事業者責任による保守管理(メンテナンス)が義務づけられたことは知っていますか」と質問したところ、84%が「知っている」と回答した。また、「保守管理(メンテナンス)の必要性を感じていますか」という質問に対し、80%が「必要性を感じる」と回答した。「内容までは知らない」と回答する人が多い中、国の制度改正で保守管理が義務づけられ、保守管理の必要性は8割の人が感じていた。しかし、「ご所有の太陽光発電所の保守管理(メンテナンス)契約はしていますか」と質問したところ、約60%が「契約していない」と回答した。必要性を感じている人と契約していない人の割合のかい離はなぜ起こるのだろうか。

◆経済的負担がネック。「今のところトラブルが発生してないから」と見通しの甘い事業者も。
メンテナンス契約をしていないと回答した人に「契約していない理由は何ですか」と質問したところ、65名が「今のところ事故やトラブルが発生していないから」と回答した。また、「必要性を感じないから」という回答や、「保守管理(メンテナンス)は高いから」「利回りが下がってしまうから」などの意見も見られ、投資目的の事業者にとっては費用による利回りへの影響が不安要素となっていた。さらに、「罰則がないから」と回答している人が4名もおり、これらの回答を見ると、投資用に太陽光発電を購入した人の中には、将来起こりうるリスクへの見通しが甘く、自分が太陽光発電事業者であるという自覚が低い人もいることがわかる。

◆4人に1人は実際にトラブルを経験!トラブル1位はパワコンの故障。
太陽光発電事業者に「急に発電量が落ちるなどのトラブルが発生したことはありますか」と質問したところ、24%が「発生した」と回答した。また、トラブルの発生した部分で最も多かったのは「パワーコンディショナー※」で、4割以上がトラブルに巻き込まれていた。その後は「ブレイカー」「太陽光パネル」と続いた。具体的なトラブルの原因として、「積雪」や「火山灰」の影響による発電量の低下や、「落雷」や「地震」といった自然災害に起因する停電などのトラブル事例が多く発生していた。また、「取り付けが甘くショートした」「初期不良があった」など、施工瑕疵や機器の初期不良というトラブルもあった。中には「停電の連絡がないため3か月無発電だった」という回答もあった。

  ※パワーコンディショナー・・・太陽光発電システムから発電された「直流」の電気を、一般家庭などで用いられる「交流」に変換する機器。電力会社に売電するのに適した安定した出力に整える重要な役割を持ち、パワコン、PCS(Power Conditioning System)などと呼ばれる。

◆約半数が物件購入時に販売店と契約。改正FIT法の順守事項をクリアしているか見定めを。
太陽光発電事業者に「どのような会社とメンテナンス契約をしていますか」と質問したところ、47%が「販売店又は施工会社と契約している」と回答した。「販売店又は施工会社と契約している」と回答した人の中には「物件を購入した時にメンテナンス契約も必須だった」と、物件購入時にセットで契約した人が多いようだ。また、17%が「メンテナンス会社と契約している」と回答した。

  「現在の保守管理(メンテナンス)契約で満足・不満な点」について質問したところ、「遠隔地でも対応が敏速」「自宅からの距離が遠いため」「もしも止まってしまっても、見に行ってもらえるので」と、自宅から遠く離れているところに発電所を所有している事業者は、もしもの時にすぐに駆けつけてくれる点に満足していると答えた。また、「設計などに熟知しているので」「自分では管理出来ないため」と、専門家視点での管理をしてもらえることを利点と感じる事業者もいた。
一方で、「報告も報告書も、何ももらっていない」「点検を定期的にやっていない」と不満の声も上がっていた。さらに、「管理会社が倒産してしまい、毎日レポート報告が来ていたが、今は無くなった」という人もいた。改正FIT法の遵守事項には、『実施した保守点検及び維持管理の内容について記録・保管すること』と記載がある。メンテナンスが義務化された今、信頼できる会社を選定する目が求められている。

◆フェンス・看板設置した事業者多数!まだの事業者も期間内の設置を。
太陽光発電事業者に「FIT法改正によりフェンス・看板設置が必須になったことは知っていますか」と質問したところ、84%が知っていると回答した。また、「フェンス・看板を設置していますか」と質問したところ、フェンスは約60%の人が「法改正前から既に設置済み」であったのに対し、看板は半分以上の55%が「法改正に合わせて設置した又はこれから設置予定だ」と回答した。保守管理(メンテナンス)の契約は決めかねている一方で、今回の法改正で義務付けられたフェンス・看板の設置に関してはすぐに設置を進めているようだ。また、約40%が「設置していない」と回答しているが、分譲の場合は全体が囲われていれば問題がないとされているため、施設全体で設置対応をしていることが要因と考えられる。フェンス・看板については『2018年3月31日までに提示すること』と規定されているため、残り半年以内に設置する必要がある。


【調査概要】
調査名称:太陽光発電と改正FIT法に関するアンケート調査
有効回答:太陽光発電所を所有する発電事業者263名
調査方法:インターネットによるアンケート調査
調査期間:2017年6月21日~2017年6月28日

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