第2回 現代人の語彙に関する調査(高校生、大学生、社会人対象) 

2017年09月28日
ベネッセコーポレーションは、グループ内シンクタンク「ベネッセ教育総合研究所」の協力のもと、2017年7月に、全国の高校生から社会人3,130名を対象に「第2回 現代人の語彙に関する調査」(略称:語彙調査)を実施しました。
 本調査は、「語彙・読解力検定」の辞書語彙*・新聞語彙の2領域から厳選した540語の「熟知度」を調べ、現代を生きる人々の言語活動の実態、およびその年代、生活、行動などによる「語彙力」の違いを明らかにすることで、現代人に必要な言葉の力を高める方法を検討することを目的としています。

【主な調査結果】

1.【語彙と世代】高校生は「新語」、大学生は新聞語彙、親世代は全分野で「語彙力」が高い
 全540語の熟知度(その言葉を知っている人の割合)を世代別に見たところ、高校生や大学生の親世代(社会人40~60代)が他の世代より「知っている」語が420語と最も多く、漢熟語、和語、外来語、新聞語彙などの偏りもなく、すべての分野で他の世代を上回った。
 高校生・大学生が親世代よりも「知っている」語は《表1》《表2》、辞書語彙ではSNS等仲間内で使われる「新語」が多く、若者が新しい言葉を積極的に生み出し活用していることがわかる。新聞語彙では、特に大学生で現代社会の多様な価値観や社会の変化にかかわる語が見られた。

2.【社会を反映する語彙】「プレミアムフライデー」の認知は高い。「ワーママ」「LGBT」は昨年比で上昇
 新聞・ニュースを賑わせた主な語では《表3》、「プレミアムフライデー」は84.0%と熟知度が高かった。他の労働に関する語では、「イクメン」が91.5%と高い。「ワーママ」は、全体熟知度は35.3%だが、昨年比プラス18.7ポイントと、昨年度と比較できる調査語の中で最も熟知度が上がった《表4》。他に、「なる早」「LGBT」の熟知度が、昨年度に比べて伸びが大きかった。「忖度(そんたく)」は「語彙・読解力検定」では社会人に必要とされる準1級相当の語彙だが、最も熟知度が低い高校生でも49.5%と、難度の割には低くはなかった。

3.【語彙力と社会への参画意識】社会への参画意識が高い人は「語彙力」が高い
 政治への関心の有無、および選挙での投票意欲を尋ねた結果と「語彙力」の関係を見ると、政治への関心、選挙での投票意欲が高い方が「語彙力」が高い《図1》。さらに高校生では、学校での新聞学習経験がある方が政治への関心、選挙での投票意欲が高かった《図2》。また、新聞学習経験がある方が「語彙力」が高いという結果も見られた《図3》。

4.【語彙力が役立つ場面とは】「語彙力」が高い人は授業や仕事での活躍や出世への役立ち感が高い
 大学生以上(大学生、社会人20~60代)に、語彙力が実際に役立った経験を尋ねたところ、大学生・社会人ともに、「語彙力」が高い人ほど「語彙力が実際に役に立った」と感じていることが分かった。語彙力が役立った場面について大学生・社会人ともに高かったのは《図4》、授業や仕事での発表やレポート、次いで家族、友人、学校・職場などでの人間関係だった。また、社会人では仕事での活躍や出世、就職試験でも語彙力が役立ったと感じている。

5.【語彙力と大学新入試で求められる力】「語彙力」の高い高校生は思考力・表現力も高い
 2020年の大学入試改革で重視される「思考力・判断力・表現力」と「語彙力」との関連について見たところ、「語彙力」の高いグループの方が、「筆者の意見と事実とを区別して読むことができる」「文章を読むとき、細部より先に大枠をつかむことができる」「筆者の主張を裏づける理由や根拠に気をつけて読むことができる」などの項目に「あてはまる」と答える割合が高かった《図5》。「語彙力」の高い高校生は思考力も高いことが推察される。


【調査概要】
名称:第2回 現代人の語彙に関する調査 (略称:語彙調査)
調査テーマ:年代、生活、行動と語彙力の関連性を明らかにする調査
調査方法:インターネット調査(専用ページにて回答入力)
調査時期:2017年7月
調査対象:全3,130名
 高校生(高校1年生~3年生):1,040名
 大学生(大学1年生~4年生):1,040名
 社会人(20~30代): 520名、(40~60代):530名
 ※男女比は均等人数 ※高校生・大学生は各学年均等、社会人は10代刻みで均等人数

詳しいリサーチ内容はネタ元へ
リンク先リサーチPDF
[ベネッセコーポレーション]
 マイページ TOP