サントリー食品インターナショナルは、特定保健用食品の清涼飲料(以下、「トクホ飲料」)に関する消費者飲用動向調査を2014年から実施しています。引き続き、2017年も調査を行いましたので、これまでの調査との比較も合わせて、「日本の健康課題解決に向けたトクホ飲料・機能性表示食品の現状と可能性」についてレポートいたします。
 なお、トクホ飲料に留まらない、機能性表示食品や他健康飲料への消費の広がりをふまえ、今回より名称を「トクホ飲料レポート」から「健康と飲料レポート」に改めました。

【調査結果】

I.トクホ飲料市場の動向

新商品が続々登場し、選択肢が広がるトクホ飲料

トクホ飲料はバリエーションが拡がり市場が活性

 特定保健用食品(以下、トクホ)とは、健康増進法※第26条第1項の許可又は同法第29条第1項の承認を受けて、食生活において特定の保健の目的で摂取をする者に対し、その摂取により当該保健の目的が期待できる旨の表示をする食品のことです。
 主要トクホ飲料市場(整腸ヘルスクレームの商品を除く)は、2016年には約1,440億円規模と、ここ数年では微増傾向にあります。近年ではカフェインゼロの無糖茶、コーヒー、コーラをはじめとした炭酸飲料など、多くの新商品が開発・製品化され、選択肢が多彩に拡がってきています。最も大きなシェアをもつのは依然として無糖茶飲料ですが、それ以外の種類のトクホ飲料も徐々にシェアを伸ばしつつあり、2016年には約2割(22.1%)を占めています。
※健康増進法は高齢化の進展や疾病構造の変化を背景に、国民の健康づくりや疾病予防の増進を目的として、2002年(平成14年)に公布・制度化されました。
トクホは、摂取することにより期待できる保健の目的を表示できますが、そのためには、国の審査を受け、消費者庁長官の許可を受ける必要があります。

II.健康と飲料に関する生活者意識調査サマリー

(1)「健康ジレンマ」をかかえる現代生活者
■健康にいい行動を実践したい人が約8割に達するなど、自己メンテナンス意識が高い現代の日本人。一方で約6割が習慣化できておらず、多くの日本人が健康意識はあっても実践できない「健康ジレンマ」を抱えています。
■特に、忙しく働く人は「時間がない」ことを理由に、生活習慣病の主な原因となる「食事」「運動」「睡眠」すべてに対して「健康ジレンマ」を抱えている実態が浮き彫りになりました。

(2)「健康習慣ブースター」として機能するトクホ飲料
■「手軽さ」「おいしさ」「続けやすさ」などがキーとなり、「健康のために飲料を飲んでいる」人が約7割。
■なかでも飲用シーンが拡がるトクホ飲料は、約9割の人で「食事」「運動」などの健康行動を開始するきっかけ=「健康習慣ブースター」として機能している結果に。
■トクホ飲料飲用者の約8割が「運動など他の健康行動との組み合わせが大切」と考えており、実際に健康行動を実施する人も10pt以上高い結果となりました。

(3)トクホ飲料は若い世代にも普及。20~30代男性の2人に1人が飲用
■トクホ飲料飲用率は、前回調査(2016年)より6.6pt上昇して42.7%に。
■性別年代別でみると、男女ともに20代~30代の飲用率が大きく上昇し、男性では50%超と2人に1人が飲用。女性では40%台なかばまで伸びています。20代~30代の若い世代にもトクホ飲料が普及し、トクホ飲料市場の間口が拡がっていることが見てとれます。

(4)自己メンテナンス飲料として機能する「朝トクホ」
■働く人の約6割が、「習慣化」と「効率化」の視点で「朝」にトクホを飲用。
■「朝トクホ」を実施する人は、トクホ飲料の飲用や他の健康行動の習慣につながっている割合が7.2pt高く80.9%となりました。

【調査概要】
調査名称:健康と飲料に関する意識調査
調査地域:全国
調査期間:2017年6月16日(金)~6月19日(月)
調査手法:インターネット調査
調査対象:20~70代の男女 ※飲料・食品・医薬品、広告・マスコミ・調査関連に従事する人を除く
調査人数:
 スクリーニング調査 29,534人(男性14,573人、女性14,961人)
 ※人口構成比に合わせてウェイトバック集計
 本調査 2,400人(男性1,185人、女性1,215人)
 ※人口構成比とスクリーニング出現率に合わせてウェイトバック集計
〈調査内訳〉
トクホ飲料 ヘビーユーザー(トクホ認知かつ週1回以上飲用者):600名
トクホ飲料 ミドルユーザー(トクホ認知かつ月1回以上週1回未満飲用者):600名
トクホ飲料 ライトユーザー(トクホ認知かつ年1回以上月1回未満飲用者):600名
トクホ飲料 ノンユーザー(1年以内非飲用者):600名

※トクホ飲料とはトクホの「緑茶・麦茶飲料」「ウーロン茶・混合茶(ブレンド茶)飲料」「炭酸飲料」「スポーツドリンク」「コーヒー飲料」を指します。
※健康行動とは、調査表項目における食事、運動、睡眠等を含めた健康に関する行動を指します。
※飲用率とは、対象者のうち、1年以内にトクホ飲料を飲んだことがある人の割合を指します。

III.健康と飲料に関する意識調査

(1)「健康ジレンマ」をかかえる現代生活者
 健康にいい行動を実践したい人が約8割と、自己メンテナンス意識が高い現代の日本人。
 一方で約6割が習慣化できておらず、多くの日本人が健康意識はあっても実践できない「健康ジレンマ」を抱えています。
 特に、忙しく働く人は「時間がない」ことを理由に、生活習慣病の主な原因となる「食事」「運動」「睡眠」すべてに対して「健康ジレンマ」を抱えている実態が浮き彫りになりました。

健康に良いことをしたい人は約8割、
実践できていない人は約6割の「健康ジレンマ」
 「できるだけ健康に良いことをしたいと思う」と考える人は、75.9%と全体の約8割を占めます(図1)。
 一方で、なんらかの健康行動を習慣的にできていない人は61.0%と、全体の約6割でした(図2)。
 健康を保つ行動をしたいと考えながら、実際には習慣化できない「健康ジレンマ」があることが伺えます。

忙しい人が健康行動をできていない理由は「時間がない」
 「健康に良いことをしたいという意識はあるが実践できていない」人に対して理由を聞いたところ、「意志が弱い」「時間がない」「お金がかかる」が上位に挙がりました。特に、忙しい有職者ほど「時間がない」という理由で健康行動を実践できていない傾向があります(図3)。

忙しい人が抱える健康ジレンマは「睡眠」「食事」「運動」
 実施したい意向があるのにできていないと感じる健康行動において、忙しい有職者と非有職者を比較すると、両者の差が大きい項目は「睡眠」「食事」に加え「運動」が上位に挙がりました(図4)。

(2)「健康習慣ブースター」として機能するトクホ飲料
 健康のために何らかの飲料を飲んでいる人は約7割存在。「手軽さ」「おいしさ」「続けやすさ」などがキーとなり、「飲料で健康に」という行動が一般化しています。
 なかでも飲用が拡がるトクホ飲料は、「食事」「運動」などの健康行動を開始するきっかけ=「健康習慣ブースター」として機能している結果に。
 トクホ飲料飲用者の約8割が「運動など他の健康行動との組み合わせが大切」と考えており、実際に健康行動を実施する人も10pt以上高い結果となりました。

約7割の人が健康を意識して何らかの飲料を飲んでいる
 健康のために何か飲料を飲んでいる人は、69.8%にのぼります(図5)。
 「飲料で健康に」という行動が一般化していることが伺えます。

「手軽」「続けやすい」「忙しくても気軽にできる」ことがキー
 健康のために何らかの飲料を飲む理由は「手軽に続けられる(56.9%)」「普段飲んでいる飲料でついでに健康対策できる(33.0%)」「おいしいので続けやすい(29.2%)」「忙しいときでも気軽にできる(27.9%)」が上位に挙がりました(図6)。

約9割がトクホ飲用開始に伴い意識・行動が変化
健康に対する意識に加え、実際に運動や食事の行動習慣を健康的に変えている
 トクホ飲料を飲んでいる人のうち、「トクホ飲料飲用開始に伴って健康に関する意識の行動の変化があった」と回答した人は約9割にのぼりました(図7)。
 また、変化した意識や行動の内容については、「健康に対する意識」そのものがトップ(24.3%)で、次いで「運動(18.4%)」「食事(17.1%)」の習慣が実際に変化したという回答が上位に挙がりました(図8)。
 トクホ飲料の飲用がきっかけとなって健康意識が高まり、運動や食事など健康改善のために行動を実践するようになっている傾向が見られ、トクホ飲料が「健康習慣ブースター」として機能していることが伺えます。

健康のためにトクホ飲料を飲む人は、運動をはじめ他の健康行動も実施している
 健康のためにトクホ飲料を飲む人は、飲んでいない人も含めた全体と比較すると、他の健康行動もあわせて実施している割合が高い結果となりました(図9)。
 また、トクホ飲料を習慣的に飲んでいる人のうち、約8割(79.4%)が「運動など他の健康行動との組み合わせが大切」と考えています(図10)。トクホ飲料ユーザーは運動など他の健康習慣も重視し、身につく傾向が見られます。

(3)トクホ飲料は若い世代にも普及。20~30代男性の2人に1人が飲用
 トクホ飲料飲用率は、前回調査(2016年)より6.6pt上昇して42.7%に。
性別年代別でみると、男女ともに20代~30代の飲用率が大きく上昇しています。男性では50%超と2人に1人が飲用。女性では40%台なかばまで伸びています。20代~30代の若い世代にもトクホ飲料が普及し、トクホ飲料市場の間口が拡がっていることが見てとれます。

トクホ飲料市場の間口が拡大。特に20~30代男性の飲用率は半数以上。
 トクホ飲料飲用率は、全体でみると42.7%と、前回調査(2016年)の36.1%から6.6ptと大きく上昇しました。(図11)。
 性別年代別でみると、男女ともに20~30代の飲用率上昇が顕著です。男性では51.4%と半数を超え、女性でも20代44.5%、30代42.9%と40%台半ばを超え、40代以降のどの年代よりも高くなっています。20~30代の若い世代にもトクホ飲料飲用が普及し、トクホ飲料市場の間口が拡がっていることが見てとれます。

(4)働く人の自己メンテナンス飲料として機能する「朝トクホ」
 働く人が生産性を重視するのは「朝」。働く人の約6割が「朝」にトクホを飲用しています。忙しく働く人が、効率的に自己メンテナンスするため「朝トクホ」(朝にトクホ飲料を飲用すること)という新しい消費行動が生まれています。
 「朝トクホ」を実施する人ほど、トクホ飲料の飲用を習慣化できています。また、他の健康行動を習慣化できている割合も全体よりも7.2pt高く、80.9%となりました。

一日の生産性を考慮して「朝活」をしたい人は約6割、運動意向者は約4割。
 一日の生産性に影響を与える時間帯については、「朝」と回答した人が半数以上(54.8%)でした(図12)。
 仕事や運動など、「朝活」をしたいと考えている人は全体の約6割(58.5%)存在します(図13)。

忙しい人ほどトクホ飲用率が高い。
手軽にできる健康対策として取り入れている
 トクホ飲料の飲用率は、有職者、しかも「忙しい」と感じている人ほど高い傾向が見られます(図14)。
 また飲用のきっかけとしては「ダイエット」などの項目に加え、特に忙しい有職者において「普段飲んでいる飲料で手軽に健康維持したい」「飲料で気軽に健康対策を始めたい」などで割合が高くなっていました(図15)。
 忙しい人ほど、日常生活の中で手軽に健康対策ができる方法としてトクホ飲料を取り入れていることがわかります。

仕事の効率性を重視する人は約9割。「健康対策も効率的に」と考える人は約7割
 働く人のうち、仕事をするうえで「効率よく進めること」「生産性を高めること」「短い時間で成果を出すこと」といった効率性を最も重視する人は約9割にのぼります(図16)。
 また、健康対策についても、「効率的に行いたい」と考える人は約7割存在します(図17)。

働く人の約6割は朝にトクホ飲料を飲む。
その理由は「習慣化」と「効率化」
 有職者のうち、朝にトクホ飲料を購入する人は6割程度(58.6%)でした(図18)。
 有職者と全体での比較を見ると、朝にトクホ飲料を飲む理由として「トクホ飲料飲用を習慣づけたい」「効率的に健康に気をつけられる」といった理由が、有職者においてポイントが高くなる傾向が見られました(図19)。

働く人の中でも「朝トクホ」実践者ほど、トクホ飲料を習慣化できている
 有職者のうち、朝にトクホ飲料を飲む人ほど、トクホ飲料を継続して飲用している人の割合が高いことがわかりました。トクホ飲料飲用者全体と比べて、3ヶ月以上の継続飲用では約15ポイント、1年以上の継続飲用では約13ポイントの差をつけて、朝にトクホ飲料を飲む人のほうが割合が高くなっています(図20)。

「朝トクホ」実践者は、栄養、運動など、他の健康行動の実施率も高い
 有職者で朝にトクホ飲料を飲む人ほど、トクホ飲料を飲む以外にも、何らかの健康行動を実施している傾向が高く、全体での割合(73.7%)より7.2pt高い80.9%となっています。さらに項目別にみると、栄養面に気をつけたり運動を実施するなど、ほぼすべての項目において、全体での割合とくらべて実施率が高くなっています(図21)。
 「朝トクホ」実践者は、トクホ飲料飲用を習慣化しているとともに、他の健康行動も実施しており、良い健康行動の習慣化に成功している人の割合が高いといます(図22)。

[参考情報]
(1)機能性表示食品に期待する効能
「発売されたら買いたい機能性表示食品の飲料」は、「体脂肪」「内臓脂肪」
「ダイエット」など体脂肪系の項目が上位
 トクホ飲料飲用者を対象に「発売されたら買いたい機能性表示食品の飲料の効果」を質問したところ、「体脂肪」「内臓脂肪」「ダイエット」など体脂肪系の項目が上位に集中しました。次いで「疲労」「免疫力」などの項目が挙げられました(図23)。

[参考情報]
(2)将来の不安を感じる症状
将来の不安を感じる2大症状は「がん」「認知症」
「肥満」や「高血圧」からはじまる多様な症状に不安を感じている
 将来の不安を感じる病気は「がん」がトップ、次いで「認知症」「高血圧症」が挙げられました(図24)。「がん」「認知症」については特に、予防のための行動をしたいと考えていながら、実際の行動には移せていないギャップがあらわれています。
 また高血圧症や、動脈硬化・脳卒中・糖尿病など「肥満」が起点となって発症することの多い症状は、いずれも3割以上の人が不安を感じています。生命やQOL(生活の質)に大きくかかわるがんや認知症に次いで、生活習慣病に対する不安も大きいことがうかがえます。

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[サントリー食品インターナショナル]
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