全国の大学の就職・キャリア支援担当から見た18卒就職戦線調査 

2017年10月06日
ディスコは、全国の大学の就職・キャリア支援担当部署を対象に、2018年卒者の就職活動状況、インターンシップのあり方への見解、低学年への支援などの調査を行いました。(調査時期:2017年8月7日~9月1日、回答学校数:322校)

【調査結果】

1.2018 年卒者の就職活動状況

[1] 内定状況(前年度と比べて)
 2018 年卒者(現大学 4 年生)の内定状況を尋ねた。前年度と比較して「高まっている」という大学が約半数で(48.1%)、「低下している」(1.2%)を大幅に上回った。前年調査でも約半数の大学が「高まっている」と回答したが、前年以上に早いペースで内定が出ていることが読み取れる。
なお、私立では「高まっている」が半数を超えるのに対し(53.0%)、国公立では 3 割台(34.9%)で、20 ポイント近く差がある。ただし「不明」が 15.1%あり、内定状況の把握はこれからという大学も多いようだ。 

[2] 内定先企業の規模(前年度と比べて)
学生の内定先について、企業規模の変化という観点で尋ねた。「大手企業が増えた」という大学は全体の 12.7%、そして「中堅企業が増えた」は 9.6%、「中小企業が増えた」は 1.2%だった。
大手企業からの内定が増えた大学が 2 年連続して 1 割を超える結果となり、大手志向の学生にとっては追い風の吹いた就職戦線と言える。

[3] 企業からの求人状況(前年度と比べて)
2018 年卒者への企業からの求人が「増えている」という大学は多く、全体の 58.1%が前年度と比較して「増えている」と回答した。前年調査でも「増えている」は 66.1%と高かったことから、より多くの企業から求人が寄せられていたことがわかる。

[4] 新卒採用市場の見方
今期の採用市場について、学生に優位な売り手市場かどうかとの観点で尋ねたところ、「完全に売り手市場だと思う」との回答は約 4 割(37.3%)。「やや売り手市場だと思う」(52.5%)を加えると、約 9 割強(89.8%)が売り手市場を実感しているとの結果が得られた。特に、「完全に売り手市場だと思う」は、2 年連続で約 10 ポイント上昇しており、年々売り手市場感が強まっていることが読み取れる。
ただし、企業への調査では、「完全に売り手市場だと思う」が 7 割を超えており(72.0%)、企業側の方がより強く売り手市場を感じていることがわかる。(2017 年 7 月実施:有効回答 1,339 社)

[5] 学生からの相談
学生からの相談数について、前年度との増減を尋ねた。「増えた」と「やや増えた」を合計すると約 3 割(29.5%)。一方、「減った」「やや減った」は合わせて 17.3%で、相談が増加した大学のほうが上回った。
相談が最も多かった時期を尋ねたところ、「4 月」と回答した大学は約 4 割(38.8%)。次に多いのは「3 月」で約 3 割(29.5%)。採用広報解禁後の 2 カ月間に集中しており、エントリーシートの添削や模擬面接といった相談が多いことが推測される。

■学生からの相談内容の特徴や変化
○主な相談内容は、エントリーシート等応募書類の添削、面接試験対策である。 <国立大学>
○昨年よりエントリーシート等の添削を希望する学生が増え、時期も早まった。 <私立大学>
○相談内容の変化は特にないが、内定に関わる相談の時期が早まった感じはしている。 <国立大学>
○内々定獲得後の企業への対応や複数内定を獲得した上での企業選択の相談が比較的増えた。 <私立大学>
○志望業界や志望企業の絞込みよりも、職種や労働条件を重視する相談内容が顕著である。 <私立大学>
○6月以前に学校の推薦書を提出させる企業が増え、それに対する相談も多かった。 <国立大学>
○親が就職先について干渉するケースが多く見受けられる。 <公立大学>

2.2019 年卒者への就職支援

[1] 就職ガイダンスの回数(前年度と比べて)
 ここからは、2019 年卒者(現大学 3 年生)への就職支援についてデータを紹介したい。
就職ガイダンスの回数は、前年度実績よりも「増やす」という大学が 11.2%。「減らす」の 7.8%を上回っている。前年に引き続き増加傾向で、ガイダンスを強化している動きがうかがえる。 

[2] 就職ガイダンスの実施時期
現 3 年生向けの就職ガイダンスの開催が多いのは 10 月から 12 月にかけてで、それぞれ 7 割を超える大学が実施すると回答した。また、5~7 月にかけても過半数の大学が実施したと回答しており、年間を通して複数のガイダンスを実施する大学が多いことが読み取れる。特に、3 年次 4月、5 月の実施が前年より 5 ポイント程度増加していることから、インターンシップなどの早期ガイダンスが増えていると考えられる。

[3] 就職ガイダンスの出席状況(前年度と比べて)
3 年次前期(4~7 月)に実施した就職ガイダンスへの出席状況を尋ねたところ、前年度と比較して「増えた」「やや増えた」と回答した大学は合わせて 35.0%。一方「減った」「やや減った」は合わせて 23.1%で、増加が減少を上回った。特に、国公立で増加の合計が半数を超える(50.7%)。

[4] 学生の就職に対する意識(前年度と比べて)
現 3 年生の就職に対する意識については、前年度と比較して「高まっている」が 2 割を超え(21.1%)、「低下している」(7.8%)の 3 倍近い。就職ガイダンスの出席者数が増加していることとも符合する。寄せられたコメントから、学生のインターンシップへの関心の高さと比例して就職意識も高まっていると考えられる。

3.インターンシップについて

[1] 企業からのインターンシップ求人状況(前年度と比べて)
この章では、インターンシップに関するデータをいくつか紹介したい。
3 ページで見たように、2018 年卒者の求人が増加した大学が 6 割近くに上るなど、企業の積極的な姿勢が表れていたが、インターンシップの求人についても引き続き堅調だ。前年度よりも「増えている」という大学が全体の 59.6%で、逆に「減っている」は 0.6%と少数。前年調査でも「増えている」は過半数あったが(55.3%)、それを上回っている。
国公立・私立での大きな差は見られず、国公立大学 59.3%、私立大学 59.7%と、ともに約 6 割。

[2] 学生のインターンシップ参加状況(前年度と比べて)
学生のインターンシップへの関心は高く、半数以上の大学がインターンシップ参加学生は前年度よりも「増えている」と回答した(52.8%)。国公立・私立とも増えているが、とりわけ国公立大学で「増えている」と回答した割合が 6 割を超え(60.5%)、増加の割合が高い。

[3] 日数規定撤廃への考え
経団連は今年 4 月の指針改定で、インターンシップの日数規定(5 日間以上)をなくし、教育的効果の高いものであれば 1 日限りのプログラムも可能とした。そこで、インターンシップの実施日数について大学側の考えを尋ねたところ、「教育的効果が高いものなら、1 日でよい」、つまり経団連の改定内容を支持する意見が最も多かった(43.5%)。一方で、「教育的効果が高いもので、5 日間以上がよい」が僅差で続き(40.4%)、企業側への調査結果と一線を画す結果となった。
大学側がインターンシップに「教育的効果」を強く求めていることが改めて浮き彫りとなった。

[4] 採用に結び付けることへの賛否
企業がインターンシップを採用に結び付けることについても見解を尋ねた。「どちらともいえない/わからない」と態度を保留する回答が多く(33.9%)、問題の難しさが表れている。それでも「企業規模にかかわらず結びつけてよい」(33.2%)、「中小企業に限定すればよい」(5.0%)を合わせて 4 割近くに上り(38.2%)、「結びつけるべきではない」(28.0%)を上回る。意外に多い印象だが「ミスマッチ防止」を期待する声も寄せられている。なお、経団連や国は従来通り採用選考活動とは一切関係ないことを明確にして行うよう企業に求めている。

■インターンシップとはどうあるべきか
○実際にインターンで働いたうえで採用してくれるのであれば、面接だけよりもミスマッチが防げると思うので、もっと積極的に行ってもいいと思います。(もちろん学業に差し支えない程度で) <私立大学>
○採用直結型と職業理解型とを明確に区別して行うべきである。名称を変えるべきである。 <私立大学>
○就業体験のみに留まらず、教育的視点を加味した内容であればより良いのではないか。 <国立大学>
○本来の意味である「就業体験」と呼ぶにふさわしいものを実施してほしい。 <私立大学>

4.学生へのキャリア・就職指導全般について

[1] 自校における現在の課題
キャリア・就職支援における課題を尋ねた。多くの課題がある中で国公立・私立ともに多かったのは「ガイダンス・講座への参加状況」で、ともに約 6 割に上った。国公立と私立とで差の大きい項目に着目すると、国公立大学において「学生に適切な指導をするための予算・人員」が 50.0%と、私立大学(33.1%)よりも圧倒的に高く、学生の支援態勢に不安を抱える国公立大学が多いことがうかがえる。一方、私立大学では「低学年向けキャリア教育の内容・運営」(56.4%)、「企業への大学認知度・ブランド向上」(36.0%)などのポイントが高く出ている。

[2] 低学年向けキャリア支援
低学年(2020 年卒以降)向けの今年度のキャリア支援を「実施する」大学は 7 割強(76.7%)。
また、実施大学に形式を尋ねると、国公立大学において「キャリアセンターで実施している」ケースが比較的多く(71.0%)、私立では「授業として取り入れている」ケースが多かった(79.8%)。

低学年からのキャリア支援の必要性について見解を尋ねてみた。「必要である」(61.8%)、「ある程度必要である」(37.3%)を合わせると 99.1%となり、大半が必要性を感じていることがわかった。国公立・私立での大きな差は見られない。

■低学年のキャリア支援の必要性について
○学ぶ力、生きる力の育成は初年次から必要です。しっかり学び、じっくり育み、そして就職先を決める時期にきちんと決めることができるように、低学年からのキャリア育成は重要だと考えています。 <国立大学>
○早い段階からキャリアについて興味を持たせ、目標を設定することにより、学生生活を有意義なものにしてもらいたい。 <私立大学>
○低学年のキャリア教育参加が少なく、現在の就活期間だと大変短く、自分のキャリア感がわからない間に就職してしまうため、離職率が心配。 <公立大学>
○就職を意識したものではなく、社会人として必要なもの・コトを教えることは必要と考える。 <私立大学>

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