韓国の旅行者の訪日旅行に関する調査研究 

2017年10月30日
JTB総合研究所は、「韓国の旅行者の訪日旅行に関する調査研究」をまとめました。

訪日外客数の2017年1月~9月までの累計は2,119.6万人となり、過去最も早いペースで 2,000 万人を超えました(日本政府観光局( JNTO ) 10月18日発表の推計値による)。訪日旅行者の増加に伴い、当社は国・地域別マーケティングの重要性に早くから注目し、これまでタイ、フランス、中国、台湾からの旅行者に焦点を当ててきました(*1~*4)。今回は、日本と同じ環太平洋地域のうち海外渡航に航空機を主に利用する国の韓国、インドネシア、オーストラリアの旅行者を対象に、訪日旅行を含む海外旅行全体への意識と行動について明らかにします。

今回の調査では特徴をより分かり易くする試みとして3か国とも同じ設問を用い同時比較できるようにしましたが、本文では韓国の旅行者を中心にレポートします。

韓国は中国に次いで訪日旅行者の多い国ですが、古くから個人旅行者が多く、また1人あたり消費額が少ないため大きく注目はされていません。しかし、ここ最近の訪日旅行者は大きく増え、また今年7-9月の1人あたり旅行支出は前年同期比で10.0%上昇しており(観光庁「訪日外国人消費動向調査」10月18日発表)、訪日旅行市場において他のアジアからの今後の旅行者の動きをみる上でも重要な位置づけと考えます。
 
*1「タイ人の旅行とライフスタイル」(2015年9月15日)
*2「日本へ旅行したいと考えているフランス人のライフスタイルと旅行に関する調査」(2016年3月28日)
*3「居住地別(沿岸部、内陸部)にみる中国人旅行者の旅行動向調査」(2016年10月14日)
*4「台湾からの旅行者の心理と行動に関する調査研究」(2017年3月14日)

【調査結果概要】

・アンケート調査対象者(過去3年以内の海外旅行経験者)の訪日経験率は全体で83.8%
 出国率の高い韓国旅行者(韓国38.1%、日本12.8%*)にとって日本は日常の延長の身近な旅行先
日本を旅行先に選んだ理由は日本の伝統文化への関心ではなく、「食」や「個人的な興味や趣味にちなんでいる」、「ショッピング」への関心にある。「日本の日常生活に触れたい」意向が高く(48.6%)、「温泉」や「居酒屋めぐり」をしたい。
*出典:日本政府観光局(JNTO)「日本の国際観光統計2015」

・一回の訪日旅行で訪問した都市は3カ所以上が多く(73.8%)、 
 訪日経験が増すと、1~2カ所の訪問よりも、3カ所以上の訪問割合が上がる傾向になる
日本の地方都市への航空路線が多く、LCC利用も多い韓国の旅行者は訪日経験が多くなると、入出国の際、異なる空港を利用する割合が増加する。日本国内を広域移動するケースも少なくない。よって個人旅行(65.1%)が多く、フリーのパッケージ旅行は16.4%。一方似た環境である台湾の旅行者は経験が増えると移動はむしろ減少し、正反対の結果が出ている。

・宿泊経験は、韓国は「カジュアルなホテル(51.9%)」、「高級ホテル(31.8%)」、「日本式旅館(31.9%)」
オーストラリアは「高級ホテル(47.5%)」「カジュアルなホテル(41.6%)」「日本式の旅館(25.7%)」、インドネシアは「日本式旅館(55.6%)」「カジュアなホテル(50.2%)」「リゾートホテル(36.5%)」の順。インドネシアは訪日の未経験者は多いが、経験者はリピーターとなり、多様な宿泊施設の経験がある。民泊も29.1%と多い

・かっこいいと思うブランドは欧州ラグジュアリーブランドや韓国ブランド、グローバルITブランド
 「SNSの投稿を見て行ってみたいところに出かけた」36.7%、「SNSの投稿を見て買った」29.3%
インドネシアは日本の自動車や電気メーカーも名前があがる。韓国の旅行者、特に若い世代は当社のミレニアル世代の調査から、ファッションやライフスタイルに日本の情報を参考にする人が多いことが分かっていたが、‘あこがれ’というよりも国内の情報と同じ感覚に近いと考えられる。


【調査概要】
調査方法:インターネットアンケート調査
調査対象国:韓国(693サンプル)、インドネシア(607サンプル)、豪州(673サンプル)
調査対象者:過去3年以内に海外観光旅行へ行ったことがある18歳以上の男女
調査実施:2017年9月

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[JTB総合研究所]
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