「ふるさと納税」に関する調査(20歳以上の男女対象) 

2017年12月06日
アサヒグループホールディングスは、全国の20歳以上の男女を対象に「ふるさと納税」をテーマに調査を実施。

【調査結果サマリー】

・全体の18.2%が「ふるさと納税の利用経験がある」- 利用者の満足度は良好
・「仕組みが分からない」「申し込み分からない」など、PR不足が原因か?
・本来の目的を失った「返礼品」目当ての「ふるさと納税」を嘆く声も
・「税金の還付・控除」「豪華な返礼品」が「ふるさと納税」を後押し
・「被災地への復興支援」「寄付の用途指定」を通じ、財政面で苦しむ自治体を応援
・「北海道」「九州」など、美味しいグルメがそろうエリアに人気集中
・人気の返礼品は「ブランド牛・豚」「魚介類」など、プチ贅沢感じる食材
・「米」「果物」「野菜」「卵」など、毎日の食生活に欠かせない「食料品」にも支持

【調査結果】

全体の18.2%が「ふるさと納税の利用経験がある」- 利用者の満足度は良好

今までに「ふるさと納税」の利用したことがあるという人はどの位いるのでしょうか。「いろいろな特産品がもらえてめちゃくちゃ得した気分になる」(女性20代、広島県)など、「よく利用している」と回答した人は11.0%。さらに「たまに利用する(過去に利用経験がある)」という声も7.2%に留まり、「ふるさと納税」の利用経験は僅か18.2%。メディアなどでもしばしば取り上げられ、比較的に認知度が高い制度ながら、実際の利用者はあまり多くないことが明らかとなりました。その一方で、自由回答の中には「1回やったら止められない」(女性40代、大阪府)、「今年初めてやりました。至れり尽くせりで、もっと前からやっていればと後悔」(男性60代、千葉県)など、利用経験者の声は良好で、比較的に満足度の高い制度であることが判ります。加えて、「今後利用してみたいと思っているが、今のところ利用経験がない」という声も54.2%を占めることから、潜在的な興味・関心の高さがうかがえます。

性別で利用経験を見てみると、男性回答は16.5%。一方で女性は男性よりも2.9%高い19.4%を数え、返礼品の魅力も後押ししてか、女性からの支持の高さがやや目立ちました。次に年代別で見てみると、20代で19.6%、30代で20.1%と若い世代の利用経験は20%前後でしたが、40代で17.6%、60代では14.7%と徐々に減少。さらに70代以上では11.8%まで落ち込み、若い世代ほど新しい制度に前向きに取り組み、年代と共に消極的であることが判ります。

「仕組みが分からない」「申し込み分からない」など、PR不足が原因か?

その反面、「今後利用してみたいと思っているが、今のところ利用経験はない」(54.2%)、「全く興味がない(今まで利用した経験もない)」(27.6%)という声は8割以上を占め、大多数の人びとが未経験者であることが判ります。ではなぜ、皆さんは「ふるさと納税」を利用しないのでしょうか。その理由を具体的に見ていきましょう。最も回答が多かったのは「『ふるさと納税』の仕組みがよく分からない」(43.8%)でした。「テレビで取り上げられて説明されても理解出来ないから。お得なことはよく分かりますが、それ以外はいまいちピンときません」(女性20代、茨城県)、「お得なようですがもう少し調べてからと思い続けて実行に移していません」(女性50代、神奈川県)など、メディアからの情報は入ってきているものの、あと一歩、「自分で調べて実行する」までには至っていないという声。さらに「申し込みたいとは思っているが、方法がよく分からない」(男性30代、三重県)など、2位にも「申し込みや手続きがよく分からない」(41.7%)が続き、仕組みや申し込み方法の理解が不十分であるという声が寄せられました。各自治体のPRや周知徹底が足りていないという課題が浮き彫りとなりました。

「ふるさと納税」をしたことがない理由は?
1 「ふるさと納税」の仕組みがよく分からない 43.8%
2 申し込みや手続きがよく分からない 41.7%
3 確定申告などの手続きが面倒 32.4%
4 特に興味がない(忙しくて考える余裕がない) 17.6%
5 自己負担額(2000円)で特産品を買っているようなものなので 15.7%
MA(複数回答)/n=1175人(経験がない人)

次に3位は「確定申告などの手続きが面倒」(32.4%)。「確定申告の手続きなど、手間がかかると聞いているから」(男性40代、大阪府)など、寄付に対する「税金控除」があるとはいえ、そのための手続きや確定申告に面倒臭さを感じるという声が意外に多く寄せられました。利用しない理由の上位を見てみると、申し込みや申告方法の情報不足や、煩雑なイメージが大きな障害となっているようです。自由回答の中には「日々忙しくて詳しく調べる暇がないのが一番の要因。簡単に解る(確定申告まで)資料があるとうれしい」(男性40代、東京都)などの声も寄せられ、おそらくは総務省や各自治体、民間企業のウェブサイトや資料等でいろいろ情報発信をしていると思いますが、それらの情報が一般国民まで届いていないことがうかがえます。

本来の目的を失った「返礼品」目当ての「ふるさと納税」を嘆く声も

「情報不足」という声が目立った一方で、「お金を払って返礼品を買っているようなものだと思うので、特に意味がない気がしている」(女性30代、岐阜県)など、5位に「自己負担額(2,000円)で特産品を買っているようなものなので」(15.7%)。さらに「そもそも普段からそんな高い肉を食べないし、無駄にお金を払って食べる事になる」(女性30代、群馬県)など、6位にも「それほどお得ではない」(10.2%)が続き、「お得、お得…」と情報をあおるほど、メリットの高い制度ではないという人も少なくありませんでした。

そのほか、自由回答の中には「納税するのなら、自分の地元の"利"を更に良くしてほしい、と思う。他県に"納める"のはどうか? と感じる」(女性50代、東京都)、「税金は住民サービスの対価として払うものであり、住民サービスを受けていない地域に払うものではない」(男性50代、静岡県)など、縁もゆかりもない地域に「納税」ができる仕組みに疑問を感じるという声が寄せられました。ふるさと納税は「納税」というネーミングが付いていますが、実際には「地方への寄附金」として扱われています。このネーミングが勘違いを引き起こしている一番の要因とも言えるでしょう。むしろ、「ふるさと納税」ではなく「地方寄付制度」とネーミングを改めた方が分かりやすいという意見も寄せられました。さらに「返礼品の自治体間の競争には、目に余るものがある」(男性50代、静岡県)、「物が欲しくて納税している人ばかりで、もともとの趣旨とかけ離れてしまったから」(女性50代、兵庫県)など、自治体の応援や支援が目的としていたはずの「ふるさと納税」が、「豪華な返礼品」目当てになっていることを嘆く人もいました。

「税金の還付・控除」「豪華な返礼品」が「ふるさと納税」を後押し

その反面、「ふるさと納税」を利用している人たちは、どんなメリットを感じて活用されているのでしょうか。最も回答が多かったのは「税金が還付・控除される」(80.5%)でした。「税金が控除されるところがメリット。納めた税金の使い道が分かるところもいい」(女性40代、三重県)など、寄付控除を得ながら、気軽に地方自治体を支援できるという声。たとえば、10,000円寄付すれば、2,000円の自己負担額を除く8,000円が寄付控除されるという仕組みで、負担額が少なく居住地以外の自治体を応援できるのが一番の魅力と言えそうです。さらに「寄付でクレジットカードのポイントももらえるという、一石二鳥な所」(女性30代、広島県)など、3位にも「クレジットカード決済で寄付すれば、カードポイントも貯まる」(20.6%)が挙げられ、寄付しながら家計面への足しにもなることから、カードで支払う人も少なくありませんでした。

「ふるさと納税」をした理由は?
1 税金が還付・控除される 80.5%
2 お礼の品として魅力的な各地域の特産品がもらえる 66.4%
3 クレジットカード決済で寄付すれば、カードポイントも貯まる 20.6%
4 被災地や過疎化など、財政面で困っている地域を応援・支援できる 19.8%
5 一つに限らず、複数の地域や自治体に寄付できる 17.9%
5 現在住んでいない、自分の故郷に寄付できる 17.9%
MA(複数回答)/n=262人(経験がある人)

次に人気の2位は「お礼の品として魅力的な各地域の特産品がもらえる」(66.4%)。「実質2,000円負担で豪華なお礼品が届くことが魅力的」(女性20代、沖縄県)など、自己負担額以上の価値のある返礼品にテンションが上がるという声。さらに自由回答の中には「普段行くことがない地方の季節の特産物がもらえる」(女性40代、神奈川県)など、特産物を通じて、今まで縁のなかった地方自治体との関係が生まれたという声も寄せられました。

「被災地への復興支援」「寄付の用途指定」を通じ、財政面で苦しむ自治体を応援

「税控除」「魅力的な返礼品」「クレジットカードのポイント」など、寄付した側のメリットが上位に目立った一方で、4位に「 被災地や過疎化など、財政面で困っている地域を応援・支援できる」(19.8%)。「遠くの被災地に微力ですが、お手伝いをしたいと思っているから。個人ではなかなか難しい復興のお手伝いを出来た! という自己満足で」(女性30代、神奈川県)、「住んだ事はありませんが応援したい町だったので利用している。メリットはその町が元気になる事ではないでしょうか」(女性40代、北海道)など、災害復興中の被災地、財政面で苦しむ地方自治体を応援するためという声。さらに5位に「一つに限らず、複数の地域や自治体に寄付できる」(17.9%)、「現在住んでいない、自分の故郷に寄付できる」(17.9%)が挙げられ、現在の居住地以外の地方自治体へ税金を再分配する機能として活用する人も少なくありませんでした。

そのほか、「納めた税金の使い道がわかるところもメリット」(女性40代、三重県)など、7位「寄付の用途を指定できるので」(12.2%)という声も見逃せません。「自然保護」「高齢者」「子ども」「教育」「伝統・文化」「復興」等々、応援したい目的に合わせて寄付先を決められるのも、「ふるさと納税」の魅力の一つと言えそうです。

「北海道」「九州」など、美味しいグルメがそろうエリアに人気集中

では皆さんは、実際にどこの自治体に寄付を行っているのでしょうか。今までに「ふるさと納税」を利用したことがある経験者に聞いてみたところ、最も回答が多かった自治体のある都道府県は「北海道」(38.7%)でした。「お礼の品として魅力的な特産品がもらえる」(女性60代、埼玉県)など、「蟹(かに)」「いくら」「ホタテ」「牡蠣(かき)」の魚介類をはじめ、チーズやアイスクリームの乳製品、ハムやソーセージ等の返礼品を期待して、グルメ王国である「北海道」に寄付する声。自由回答の中には「子どもが食べ盛りなのでカニが多く満足している」(男性50代、京都府)など、北海道から届いた返礼品に感動したという人もいました。

「ふるさと納税」をしたことがある都道府県は?
1 北海道 38.7%
2 宮崎県 26.2%
3 山形県 23.8%
4 鹿児島県 14.5%
5 長野県 13.3%
5 佐賀県 13.3%
7 宮城県 12.9%
7 静岡県 12.9%
9 熊本県 11.7%
10 長崎県 10.5%
10 福島県 10.5%
MA(複数回答)/n=256人(経験がある人)

次に人気の2位は「宮崎県綾町の綾ぶどう豚のセットは、ボリュームいっぱいで1kg以上のお肉が入っており、家族みんなで美味く頂きました」(女性30代、広島県)など、「宮崎県」(26.2%)。さらに「鹿児島限定販売の焼酎など珍しいものも手に入る」(女性40代、富山県)など、4位に「鹿児島県」(14.5%)、5位に「佐賀県」(13.3%)、9位に「熊本県」(11.7%)、10位に「長崎県」(10.5%)が続きました。「宮崎牛」「佐賀牛」「鹿児島の黒豚」などのブランド牛・豚、「いちご」「みかん」などのフルーツ、「焼酎」など魅力的な特産品が多く、ベスト10圏内に九州エリアが6県もランクイン。北のグルメ代表が「北海道」なら、西のグルメ代表は「九州」と言えそうです。

「北海道」「九州」以外では、ブランド米やサクランボの産地の「山形県」(23.8%)、信州リンゴや市田柿が有名な「長野県」(13.3%)、牛タンや日本酒で知られる「宮城県」(12.9%)、干物などの海産物が充実している「静岡県」(12.9%)が続きました。ランキング上位には、「大北海道展」「大九州市」など、百貨店の物産展や催事などもしばしば目にする都道府県に人気が集中。名物の特産品など、美味しいグルメが豊富にそろっている自治体ほど、「ふるさと納税」の寄付が集まっていることがうかがえます。

人気の返礼品は「ブランド牛・豚」「魚介類」など、プチ贅沢感じる食材

続いて、皆さんがもらって嬉しい返礼品とは何でしょうか。堂々の人気ナンバーワンは「肉類(地域産の牛肉、豚肉、鶏肉、馬肉、羊肉、牛タンなど)」(65.5%)でした。「和牛ステーキ。高い和牛は自分ではなかなか買えないので」(女性30代、長崎県)、「ブランド豚詰め合わせ4キロ。味はもちろん、小分けにされているので料理に使いやすく重宝している」(女性20代、福岡県)など、日ごろの食生活ではなかなか手の出ない「ブランド牛・豚」が一番うれしいという声。さらに「ハンバーグやハム・ソーセージの詰め合わせ、焼き肉用の味付き牛肉」(女性50代、神奈川県)など、4位にも「肉類加工品(ハム・ソーセージ、ハンバーグ、ローストビーフ、ジンギスカンセットなど) 」(31.0%)が続き、プチ贅沢を感じる「ブランド肉・肉類加工品」を求める声が目立ちました。

「ふるさと納税」の返礼品でもらった商品は?
1 肉類(地域産の牛肉、豚肉、鶏肉、馬肉、羊肉、牛タンなど) 65.5%
2 魚介類・加工品(蟹、海老、牡蠣、イクラ、うなぎ、西京漬け、明太子など) 47.8%
3 米(各地域のブランド米、新米、雑穀、玄米、もち米など) 37.3%
4 肉類加工品(ハム・ソーセージ、ハンバーグ、ローストビーフ、ジンギスカンセットなど) 31.0%
5 果物(りんご、みかん、柿、梨、ぶどう、いちご、さくらんぼ、マンゴー、メロンなど) 30.6%
6 お酒(地ビール、日本酒、焼酎、ワインなど) 17.6%
7 産直野菜(旬の野菜詰め合わせ、
じゃがいも、トマト、とうもろこし、玉ねぎなど) 11.8%
8 菓子・スイーツ(プリン、チョコレート、クッキー、アイスクリーム、和菓子など) 11.4%
9 卵・乳製品(採れたて卵、絞りたての牛乳、チーズ、バター、ヨーグルトなど) 7.8%
10 惣菜・おせち・加工品(おせち、カレー、餃子、鍋物セット、漬物・梅干し、納豆など) 5.9%
10 調味料・はちみつ(はちみつ、砂糖、味噌、醤油、油、だし、ドレッシングなど) 5.9%
MA(複数回答)/n=255人(経験がある人)

「肉類」以外で回答が多かったのは、2位の「魚介類・加工品(蟹、海老、牡蠣、イクラ、うなぎ、西京漬け、明太子など)」(47.8%)。「魚介類の鍋セットやお刺身などをもらいました。友人と一緒に食べ楽しい時間を過ごしました。新鮮な食材なので美味しかった」(女性40代、三重県)、「ウナギが好きなので、福岡県の志布志市のウナギの返礼品に大変満足。毎年リピートしている」(男性40代、静岡県)など、「ブランド肉」と同じく、食卓を彩る「高級魚介類」に人気が寄せられました。自分ではなかなか買わないものの、もらえるならうれしいという声が案外多く、お中元やお歳暮ギフトに近い存在として受け入れられていることがうかがえます。

「米」「果物」「野菜」「卵」など、毎日の食生活に欠かせない「食料品」にも支持

「新米60キロ。お米は大助かり満足」(男性60代、千葉県)など、3位に「米(各地域のブランド米、新米、雑穀、玄米、もち米など)」(37.3%)。さらに「清美オレンジ、りんごの詰め合わせ」(女性50代、東京都)など、5位に「果物(りんご、みかん、柿、梨、ぶどう、いちご、さくらんぼ、マンゴー、メロンなど)」(30.6%)。7位に「産直野菜(旬の野菜詰め合わせ、じゃがいも、トマト、とうもろこし、玉ねぎなど)」(11.8%)、9位にも「卵・乳製品(採れたて卵、絞りたての牛乳、チーズ、バター、ヨーグルトなど)」(7.8%)、10位に「惣菜・おせち・加工品(おせち、カレー、餃子、鍋物セット、漬物・梅干し、納豆など)」(5.9%)、「調味料・はちみつ(はちみつ、砂糖、味噌、醤油、油、だし、ドレッシングなど)」(5.9%)が挙げられ、日ごろの食生活で欠かせない米や野菜、卵・乳製品、果物、調味料等の「食料品」を希望する人が目立ちました。いくらもらっても困らず、必ず消費するものという点では、家計を助ける返礼品と言えそうです。

そのほか、「地ビールやワインは当たり外れがなく還元率もお得で一番無難な特産品だと思う」(男性40代、神奈川県)など、6位に「お酒(地ビール、日本酒、焼酎、ワインなど)」(17.6%)など、嗜好品を求める人もいました。


【調査概要】
調査対象:全国の20歳以上の男女
有効回答数:1,495人
調査方法:インターネット調査
調査期間:2017年11月29日~12月5日

詳しいリサーチ内容はネタ元へ
[アサヒグループホールディングス]
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