経営コンサルティングファームのボストン コンサルティング グループ(以下、BCG)は、2017年11月に日本企業における女性の活躍推進に関するレポート『女性の活躍推進を日本企業で達成するには』(以下、レポート)を発表しました。今回、追加調査として日米企業の生え抜き社長の割合と、マネジャー層が女性の活躍推進に有効と考える取り組みを日本とグローバルで比較しました。

【調査結果】

キャリア中断後の復帰が難しい日本の企業。内部昇進中心の人事習慣の表れとして、日本の大企業の82%が生え抜き社長。一方で、米国企業は27%にとどまる

レポートでは、日本において女性活躍が進みにくい大きな要因として、1.家庭や学校における男女別の役割の固定概念の植え付け、2.女性総合職の候補者不足、3.入社後のキャリアでの壁、の3つを挙げています。「3.入社後のキャリアでの壁」においては、「仕事と家庭のバランスを取ることが困難」、「労働市場が流動性に乏しく、キャリアを中断すると復帰が困難」という要素が、大きな原因になっていると発表しました。

今回、キャリア継続の重要性を示す指標として、生え抜き社長の割合を日本とアメリカの大企業で比較したところ、日本の大企業の生え抜き社長の割合が82%であるのに対して、米国企業は27%であることがわかりました(図表1)。(自社グループに勤続30年以上の社長を生え抜き社長と定義。日本企業は、連結従業員1万人以上の東証一部上場企業280社、米国企業はFortune 100の企業のうち、創業30年以上の92社を対象としました。)日本の大企業は、米国企業と比較して内部昇進でトップに上りつめるケースがかなり多く、一度キャリアを中断すると復帰が難しい傾向が強いことがわかりました。このような人事習慣が、女性の活躍が進みにくい一因であると考えます。

女性の活躍推進のために有効と考える施策をシニアマネジャーと女性マネジャーで比較すると、日本では大きな違いがあったが、グローバルでは上位の施策はほぼ一致

レポートで、日本では女性マネジャーとシニアマネジャーの間には、女性の活躍推進のために有効と考える施策に大きなギャップがあることを発表しました(文末に参考図表を掲載)。今回、国外を含め全ての対象企業について同様の分析を行った結果、グローバルでは女性マネジャーとシニアマネジャーが有効と考える施策の上位はほぼ一致していることがわかりました(図表2)。今回の調査回答者ではグローバルのシニアマネジャーの4割を女性が占めるため、その影響を除くために対象を男性のシニアマネジャーに絞った分析でも、同様の傾向が見られました。

しかしながら、「職場における託児所の設置/託児料金の補助」「勤務時間を柔軟に変更できる(個人的な事情がある場合 等)」などの直接的な施策に対しては、グローバルでも日本と同様、女性マネジャーは有効性を感じている一方で、シニアマネジャー側では有効性の高さを認識していないという傾向が見られました。

レポートでは、女性の活躍推進のための4つのステップの2つめとして、「本当に必要な施策を抽出し、効果を最大化する」というポイントを挙げましたが、これは日本企業だけでなく世界中の企業にとって大きなテーマであると考えられます。


【調査概要】
■「ボストン コンサルティング グループ グローバル・ジェンダー・ダイバーシティ調査2017」の概要 
日本では2,600人以上の従業員へのアンケート及び20社を超える先進企業・団体の経営陣に対するインタビューを、2017年2~4月に実施。グローバルでは、21カ国において、17,500人以上の従業員へのアンケート及び200社以上の企業の経営者や上級幹部(男女)に対するインタビューを実施。

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[BCG]
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