「次世代型」抗体医薬品の世界市場動向 

2017年08月24日
市場調査・コンサルティング会社のシード・プランニングは「次世代型」抗体医薬品(*)の世界の開発状況と将来展望に関する調査を行い、このほどその結果をまとめました。

抗体医薬品の市場は、免疫チェックポイント阻害剤の躍進のほか、抗PCSK9 抗体の登場などにより活況ですが、一方で、免疫チェックポイント阻害剤である抗体医薬品OPDIVO(オプジーボ、一般名:ニボルマブ)の大幅な価格引下げ、さらには抗体医薬品に対するバイオシミラーの上市も進んでおり、市場は流動的です。

このような背景を踏まえ、本調査では「次世代型」抗体医薬品(*)に焦点を当て、今後10 年から20 年のスパンで市場にどの程度のインパクトを与え得るかを調査しました。

「次世代型」抗体医薬品(*)は2017 年6 月末現在で15 品目が承認済み、ブロックバスターもすでに2 品目存在します。

本調査結果は、市場調査レポート 『「次世代型」抗体医薬品の世界の開発状況と将来展望 2017年 ~加速期に入るADC、助走開始するバイスペシフィック抗体~」 に詳しく掲載しています。

(*) 「次世代型」抗体医薬品
分子構造的には天然の抗体分子のパーツを活用しつつ、そこに低分子化合物を付加したり、複数種類のパーツをミックスするなど、天然型の抗体では決して成し得ない機能を実現しようという試みを、「次世代型」抗体と定義した。

【調査結果のポイント】

■ 「次世代型」抗体医薬品のカテゴリ
「次世代型」抗体医薬品とは、天然の抗体分子のパーツを活用しつつ、そこに低分子化合物を付加したり、複数種類のパーツをミックスするなど、天然型の抗体では決して成し得ない機能を実現しようという試みを施した抗体医薬品。

■ 2025年の世界市場規模予測
→ 2025年の「次世代型」抗体医薬品の世界市場規模は、2兆5,000億円に達すると予測
→ ADCと改変抗体、バイスペシフィック抗体が市場を牽引、低分子化抗体は若干減少するものの市場を下支え

「次世代型」抗体医薬品の世界市場規模予測
上述の「次世代型」抗体医薬品の5 つの分類ごとに、フェーズ3 および承認申請中の開発品目それぞれの2025 年での売上高のポテンシャルを予測した後、開発の成功率(フェーズ3 の成功確率及び承認申請の成功確率)を掛け算した値を売上予測値とした(承認申請中の開発品については承認申請の成功確率のみを掛けた)。

この結果、2025 年の世界市場規模は2兆5,000億円になると予測した。急成長が期待されるTECENTRIQ に関しては、改変抗体というよりも、免疫チェックポイント阻害剤という側面が強いため、ここでの市場規模予測には含めていない。

2025 年の世界の次世代型抗体医薬品市場への寄与率が最も大きいのはADC であり、2025 年までの成長率が高いのは改変抗体とバイスペシフィック抗体(bsAb) となる。低分子化抗体は2025 年まで若干減少するものの次世代型全体の市場を下支えする形となっている。

また、シード・プランニングでは、2025年よりさらに10年先を展望すると、バイスペシフィック抗体(bsAb)市場がADC市場を上まわるなど、勢力図が大きく塗り替えられる可能性が高いと予測した。


【調査概要】
調査対象:
 「次世代型抗体医薬品」開発企業
 対象抗体医薬品は治療用抗体
調査方法:
① 各種文献、インターネットによる情報収集
  次世代型抗体医薬品の開発を行う世界の企業 89社
② 訪問ヒアリング調査
  大手製薬企業  1社
  抗体医薬品の関連企業  2社
  抗体医薬品の研究室  4研究室
  医療経済の研究者  1名
調査期間:2017 年3月~2017 年7月

詳しいリサーチ内容はネタ元へ
[シード・プランニング]
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