第31回「中堅企業経営者『景況感』意識調査」(世界35カ国世界の中堅企業ビジネスリーダー、または経営トップ対象) 

2018年01月31日
太陽グラントソントンは、2017年11月に実施した非上場企業を中心とする中堅企業経営者の意識調査の結果を公表した(従業員数100人~750人)。この調査は、グラントソントン加盟主要35カ国が実施する世界同時調査の一環である。

・日本の景況感がDI 3と2年半ぶりにプラス値を記録。
・日本の中堅企業経営者の景況感は、楽観視が1/4を超え悲観視を上回る。
・世界35カ国の平均の景況感はDI 58と前回に引き続き上向く。

■日本の景況感がさらに回復
世界35カ国の中堅企業経営者に対して行った、自国経済の今後一年の見通しに関する2017年第4四半期(調査実施期間2017年11月、以下今回)の調査において、日本の景況感DI(*1)が前回調査から引き続き改善していることが明らかになった。日本の景況感は、2016年第2四半期のDI -51を底に回復傾向にあり、今回は前期比(*2)26ポイント増のDI 3となった。日本のDIがプラスに転じたのは、2015年第2四半期以来となる。

※1 DI:バランス統計手法Diffusion Index の略。景気判断DI「良い」との回答比率から「悪い」との回答比率を引いた景況感を示す指数。
※2:従来は四半期毎の調査結果の発表としていたが、2016年第2四半期より年2回の発表に変更。

■米国、中国が高い景況感を示す一方で、英国は低下傾向が止まらず
世界35カ国の平均の景況感DIは、前期比7ポイント増のDI 58となった。主要国の景況感を見ると、中国は2015年第3四半期から上昇傾向が続いているが、今回は前期比30増のDI 78と大幅に上昇した。米国は調査開始以来最高DIを記録した前期から2ポイント減のDI 79となったものの、引き続き高い水準を維持した。
その一方で、英国は2015年第4四半期からの低下傾向が止まらず、今回も前期比10ポイント減のDI 12となった。

■米国、ドイツは高い景況感を維持
■中国は大きく改善し、高水準に
■日本は改善傾向ながら依然低水準

今回の調査で、調査対象国35カ国(左表)のうち景況感DIが高かったのは、インドネシア 100、フィンランド 96、オランダ 92、フィリピン 86、インド 83などであった。一方、景況感DIがマイナスを示した国はギリシャ -10、トルコ -10、南アフリカ -18の3カ国であった。

主要先進国では、米国は前期比2ポイント減のDI 79、ドイツが前期比4ポイント減のDI 72と高い景況感を維持した。一方で、英国は前期比10ポイント減のDI 12と低下傾向が続いている。

日本の景況感は、前期比26ポイント増と大きく改善したものの、DI 3で対象35ヶ国中では31位と引き続き低い水準にとどまっている。

その他、景況感が大きく改善した国は、前期比30ポイント増でDI 78の中国や、前期比29ポイント増でDI 29のロシア、前期比42ポイント増でDI 22のシンガポールなどであった。

他方、景況感が大幅に悪化した国は、前期比27ポイント減でDI 43のスペイン、前期比26ポイント減でDI -10のトルコなどであった。前期に大幅に悪化した南アフリカは、10ポイント増とやや改善したもの、DI -18と引き続き、全35ヶ国中最も低い景況感を示した。

世界35カ国の景況感DIの平均を見ると、前期比で7ポイント増、前年同期比では20ポイント増となるDI 58となり、対象国全体としては引き続き上昇傾向にある。

また、G7平均およびEU加盟国平均は、前期比ほぼ横ばいなのに対し、BRICs平均およびアジア太平洋地域平均は、前期を大幅に上回り、それぞれDI 67、DI 58と改善した。

■今後一年間の自社の見通し
日本は8項目中の「雇用」「新建築物」「設備投資」の3項目でDI過去最高値を更新

来期の自社の見通しについて、上昇、下降、変化なしのいずれかを質問したところ、日本の中堅企業の今後1 年の自社の見通しについては、 8項目中6項目の「売上高」「販売価格」「雇用」「収益性」「新建築物」「設備投資」 で改善、特に「雇用」(49ポイント)「新建築物」(34ポイント)「設備投資」(44ポイント)の3項目については2010年の調査開始以来、最高値を記録した。また、「輸出」「研究開発」も前期比ほぼ横ばいとなり、全体的に改善傾向が顕著となった。
米国は、「販売価格」(40ポイント)、「輸出」(18ポイント)、「雇用」(49ポイント)で前期比増となった。特に「販売価格」と「輸出」については、3期連続で増加した。

■日本における動向
日本経済の見通しについては、景況感DIが前回調査より26ポイント増と継続的に改善している。
楽観視の理由として 「株価の上昇」や「設備投資の回復」という回答が大きく増えた一方で、「オリンピック開催による経済活性化」は大幅に減少した。悲観的にとらえている理由の傾向には大きな変化はなく、引き続き「人材不足」や「内需減少」などが多く挙げられた。

【今後一年間の日本経済の見通し】
日本の調査対象者に、今後一年間の日本経済の見通しについて尋ねたところ、 「たいへん楽観的だ」は前期調査と同じ1.3%となり、 「少し楽観的だ」と回答した人は25.3%と前期から12.0ポイント増加した。一方、 「少し悲観的だ」は18.7%で前期から13.3ポイント減少、 「たいへん悲観的だ」も4.0%と前期から1.3ポイント減少した。

「たいへん楽観的だ」「少し楽観的だ」と回答した人に「楽観的だ」と考える理由(複数回答)を尋ねたところ、「株価の上昇」が60.0%と最も高く、「現政権の政策」が55.0%で続いた。
前回調査でもっとも多かった「オリンピック開催による経済活性化」は30.0%と低下した。前年同期(前々回調査時)に多くが挙げた「訪日客のインバウンド消費」は前期に引き続き低下し、10.0%となった。

同様に「たいへん悲観的だ」「少し悲観的だ」と回答した人に、その理由(複数回答)を尋ねたところ、前回調査と同様に「人材不足」(70.6%)がもっとも多く挙げられ、「内需縮小」(52.9%)「少子高齢化」(52.9%)が続いた。
一方で「世界経済の影響」を挙げた人は前期から大きく減って17.6%となった。

【経営課題】
自社の事業で過去一年間において達成された事項(複数回答)について尋ねたところ、前回調査と同様、最も多く挙げられたのは「5%以上の増収」(66.7%)だった。また、「職員(人員)水準が5%以上増加した」という回答が41.2%と大幅に増加し、2番目に多い回答であった。

今後一年間の主な経営課題について尋ねたところ、「5%以上の増収」を挙げた人が70.1%と圧倒的に多く、前期を18.0ポイント上回った。次いで「市場における新製品・新サービスの開発」(38.4%)、「職員(人員)水準を5%以上増やす」(34.3%)が続いた。
一方で、前期に増加した「研究開発への予算5%以上の投資」という回答は、今期は挙げた人はいなかった。

理想の為替相場水準に関する質問では、 「1ドル=110円以上115円未満」(17.6%)が最も多く、
次に「1ドル100円以上105円未満」(14.9%)、「1ドル115円以上120円未満」(13.5%)が続き、回答が分散した。

また加重平均では前期比で0.4円の円安方向に推移、前年同期の加重平均値からも3.6円、円安方向に推移した。

また、政府に実施してもらいたい経済活性化の推進施策について質問したところ、前期と同様「法人税の引き下げ」(66.7%)や「設備投資減税」(44.0%)、「消費税引上げの延期」(30.7%)などが多く挙げられた。


【調査概要】
・実施期間: 日本:2017年11月1日~11月15日、インターナショナル:2017年11~12月
・参加国数: 35カ国
(アジア太平洋地域) 日本、オーストラリア、中国、インド、インドネシア、マレーシア、ニュージーランド、シンガポール、タイ、 フィリピン
(EU加盟国) オーストリア、エストニア、フィンランド、フランス、ドイツ、ギリシャ、アイルランド、イタリア、リトアニア、オランダ、ポーランド、スペイン、スウェーデン、英国
(北中南米) 米国、カナダ、アルゼンチン、ブラジル、メキシコ
(その他) トルコ、ロシア、アルメニア、ボツワナ、南アフリカ、ナイジェリア
・調査対象: 2,580名の世界の中堅企業ビジネスリーダー、または経営トップ
・調査実施会社: 日本では株式会社日経リサーチが日本国内における調査を実施。35カ国同時調査の一貫性保持のため、国際的な調査会社であるMillward Brownが取りまとめを行った。
・調査方法: 日経リサーチ社所有の事業所データベースから、従業員数100~750人の全国の中堅・中小企業(上場および非上場)をランダムに2,000社抽出し、郵送によるアンケート調査を実施。135社の回答を得た。なお景況感の算出には135社の回答の中から、製造業(19社)、建設業(21社)、消費者製品(13社)、サービス業(22社)合計75社のデータを使用。
※調査エリア:全国(2011年3月11日の東日本大震災により発生した東京電力福島第一原発事故の立ち入り制限区域となっている福島県内一部市町村を除く)
・分析手法: バランス統計手法 DI(Diffusion Index):
景気判断DI「良い」との回答比率から「悪い」との回答比率を引いた指数。本リリース中の数値は、各項目について(楽観的と答えた人のパーセンテージ)-(悲観的と答えた人のパーセンテージ)

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