平成30年度の介護報酬改定に対する意識調査(介護従事者対象) 

2018年02月06日
介護業界に特化した人材紹介サービスやWebマガジンの運営を行うウェルクスは、平成30年度の介護報酬改定に対する意識調査のため、SNSや「介護ロボットONINE」「介護のお仕事」「認知症オンライン」にメルマガ登録している介護従事者へのアンケートを行い、251名から回答を得ました。

平成30年度、3年ぶりの介護報酬改定が行われます。介護報酬は、介護事業所の経営状況や介護スタッフの給与に大きな影響を与える重要な要素です。
今回の改定では、0.54%のプラス改定に決着しました。プラス改定は、人員配置の充実や職員の待遇アップなどにつながる反面、税金や保険料などの国民負担が増えることも意味します。
今回の改定について、実際に介護の現場で働く介護スタッフはどう感じているのでしょうか?

【調査結果の詳細】

1:7割の介護従事者が平成30年度の介報酬改定に「不満」
まず、平成30年度の介護報酬改定に満足しているかどうかを聞いたところ、次のような結果になりました。

調査結果からは、約7割の介従事者が改定内容に不満を抱いているという実態が浮かび上がってきました。

2:加算をつけるべきだと思うのは「処遇改善」「認知症対応」「人員配置」
では、介護従事者が「加算をつけるべきだ」と思うのはどのような項目なのでしょうか。

介護報酬には、「基本報酬」と「加算(減算)」の2種類がありますが、そのうちの「加算」に関する意識調査を行いました。
「加算をつけるべきだと思うもの(良くしたい項目)は何ですか?」と伺ってみたところ、最も回答が多く集まったのは「介護職員の処遇改善に対する加算」で79.7%。続いて「認知症対応に対する加算」が71.1%、「人員配置に対する加算」が67.7%という結果になりました。

介護現場を知るスタッフは、モチベーションやイメージアップ、人員不足解消のための加算が何よりも必要だと感じていることが読みとれます。

3:6割以上見守りロボット導入による加算条件の緩和に「反対」
今回、初めて介護ロボットが加算取得の条件に影響を与えることになりました。それが「夜勤職員配置加算」です。見守り支援ロボットを入居者の15%以上導入した場合、夜勤職員配置加算が取りやすくなるという改定が行われるのです。
この見守りロボット導入による加算条件の緩和に賛成か反対かを伺ったところ、次のような結果になりました。

【「賛成」と回答した人の理由(一部抜粋)】
・人手不足の解消には、絶対必要です( 女性/40代/ 生活相談員・支援相談員 )
・少ないスタッフによる見落としが少なくなるのではないか?の期待(女性/50代/ 非常勤介護職員 )
・夜勤職員の見守りや巡回の負担が軽減するから( 女性/30代/福祉用具専門相談員 )
・現在の見守りロボットが使えるものとは思えないがより良いものの開発へ向けてこういう流れは必要だから(男性/50代/常勤介護職員)
・介護職員不足によるきつい勤務から解放される可能性があるから(女性/40代/管理職)

【「反対」と回答した人の理由(一部抜粋)】
・小さい施設では導入が厳しい(男性/40代/管理職)
・導入するにあたっての資金が加算でペイできるものではないから(女性/40代/常勤介護職員)
・確かに夜は大変だったが人の介護にロボットも加わると機械操作や故障等のメンテナンスもしないとならない。想像すると余計な仕事まで増えそう(女性/40代/ 生活相談員・支援相談員)
・ロボットでは認知症高齢者に対する細やかな気配りは難しいと感じるから(男性/30代/常勤介護職員)
・事故になった時どうするのか?いろいろ危ない(女性/20代/常勤介護職員)

今回の調査では、平成30年度の介護報酬改定に満足している人はわずかは27.1%と低い結果となりました。改定のポイントとなっている「自立支援」や「医療と介護の連携」より、「処遇改善」や「認知症対応」への改善をより強く求めているということがわかります。

介護報酬改定に対するその他のコメントをご紹介します。

4:報酬引き上げにともなう介護保険料の負担増に懸念の声も
【自由回答(一部抜粋)】

・介護報酬が上がるということは、いずれ介護保険料に跳ね返ってくるだろうから、悩ましいところだと思います( 女性/40代/ケアマネージャー )
・介護職員の給料がアップするのは良いことだと思いますが、それによって利用者の方の負担が増えるのはどうなんでしょうか?(女性/50代/常勤介護職員)
・介護報酬改定により所得は増えるのは嬉しいが、年金や住民税が更に増えてしまうので結局はあまり変わらない気がする。(女性/20代/常勤介護職員)

5:介護福祉士の処遇改善が話題になる一方で棚上げされる「ケアマネジャー
・ケアマネの加算を増やして欲しいです。(女性/50代/ ケアマネージャー )
・ケアマネージャーの処遇も良くしてほしい。その他、在宅サービスにおいて、特に訪問介護の質を上げてほしい。雑な対応など酷い職員が目立つように思う。(男性/40代/ケアマネージャー)

6:介護の質や介護職のイメージアップも大事
・改定によって負担はしかたないが、その分質の良い介護が受けられる状態にしなければいけない。(女性/50代/常勤介護職員)
・これを機会に介護業界全体のイメージアップ(賃金が安い)を図れるのではないか?ケアの質を向上させるいい機会だと思う。(男性30代/管理職)
・介護福祉士の認知度を上げる努力が大切。介護福祉士という名称を広め、国家資格であることのアピールを通して介護を考えて欲しい。(女性/60代/常勤介護職員)
・介護報酬をあげるのは賛成だが、それに見合う介護員の質が伴っていない。(女性/30代/機能訓練指導員)

7:まとめ
今回の調査では、全体の72%以上が平成30年度の介護報酬改定内容に不満を感じているという結果となり、現場と制度のギャップが明らかになりました。
また、はじめて介護ロボットが介護報酬加算に影響を与えることになりましたが、介護ロボットに対する不信感もまだまだ根強いことがわかります。


【調査概要】
実施期間:2018年1月13日(土)~1月25日(木)
調査対象:介護事業所経営者および介護従事者20代~60代以上の男女
回答者数:251名
男女割合:男女割合:男性/30.7%・女性/68.9%・その他/0.4%

詳しいリサーチ内容はネタ元へ
[介護ロボットONLINE]
 マイページ TOP