2018年度予算案から見る建設市場の動向(ヒューマンタッチ総研が独自分析) 

2018年02月08日
ヒューマンタッチが運営するヒューマンタッチ総研は、2018年(平成30年)度予算案における公共事業関係費などから、2018年度の建設市場の動向についての独自分析をまとめました。
それによると、建設市場業績は2018年度も堅調に推移すると予測されるほか、ICTやロボット、3次元データなどの活用や、働き方改革の推進に前年度を上回る予算が投下されており、建設業の労働生産性向上に向けた取り組みが進む年度になるとみています。

■2018年度の公共事業関係費は5兆9,789億円(前年度比0.04%増)と前年を上回る
今通常国会で審議中の2018年度の政府予算案(一般会計)では、公共事業関係費が前年度を26億円(0.04%)上回る5兆9,789億円となりました。過去4カ年の推移を見ると、微増ではありますが、増加し続けています。(=図表①)

■防・減災、インフラ老朽化対策を中心に前年を上回る予算を投下
主な予算項目を見ると、「地域における総合的な防災・減災対策、老朽化対策等に対する集中支援」に前年度比60億円(0.5%)増の1兆1,117億円、「道路・河川管理施設等の老朽化対策などの戦略的な維持管理・更新」に同260億円(4.8%)増の5,669億円を計上するなど、防・減災、インフラ老朽化対策などに、前年を上回る予算が計上されています(=図表②)。また、国土交通省の試算によると、2013年度の維持管理・更新費は約3.6兆円でしたが、それが10年後の2023年度には4.3~5.1兆円、2033年度には4.6~5.5兆円程度になると推計されています。道路や橋梁などの社会資本をどのように維持・修繕・補修していくかは社会課題であり、予算配分の面からも、こうした市場が今後も堅調に成長していくと考えられます。

■手持ち工事高の増加が続くも、五輪関連工事で人材確保が重要な経営課題に
また、国土交通省が公表している月別の受注工事高と手持ち工事高の推移を見ると、受注工事高はやや減少していますが、手持ち工事高(受注した工事金額のうち、その時点で工事が終わっていない金額)は増加し続けており、2017年8月には34兆円を超えて過去最高水準に達しています(=図表③)。2017年10月の手持ち工事高は前年同月比5.9%増の34兆4,949億円にまで積み上がっており、手持ち工事の消化が順調に進めば、建設各社は2018年度も堅調な売上高を期待できると考えられます。
一方で、東京オリンピック・パラリンピックのメイン会場となる新国立競技場の建設(工事費約1,490億円)、選手村の建設(同約129億円)、オリンピック関連の各種競技場の建設(同約1,829億円)などが、2019年ころに一斉に完成時期を迎えます。また、オリンピック開催に向けての道路や鉄道などのインフラ整備や首都圏の大型再開発事業も、今後、一斉に仕上げ段階に入ります。工期内に工事をやりきるための人材確保が、重要な経営課題になると言わざるを得ません。

■ICT・ロボット・ドローンの活用、働き方改革の推進にも予算を投入
こうした中で、予算案の中で注目されるのは、生産性向上や働き方改革に向けた予算が新設・増額されていることです。ICTやロボット、ドローン、3次元モデルの活用などを推進する「新技術促進経費」として11.8億円が新たに予算化。また、週休2日制導入や長時間労働是正を目的とした働き方改革の推進のために、前年度比2.4倍となる1.2億円が計上されており、労働生産性の向上に本格的に取り組もうとしていることが分かります(=図表④)。
また、日本建設業連合会(日建連)が、施工現場を2022年3月期までに週休2日制に移行する方針を固め、大手ゼネコン各社でも週休2日の推進が広がりを見せています。このほか、厚生労働省が通常国会に提出予定の働き方改革関連法案でも、時間外労働の上限規制が柱に据えられ、機運が高まっています。働き方改革を進めながら、あわせてICTやドローン活用による生産性向上を両輪で進めていくことで、業界全体として必要な人材を確保する必要があると考えられます。

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[ヒューマンホールディングス]
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