世界14カ国対象 科学に対する意識調査(ステート・オブ・サイエンス・インデックス) 

2018年03月09日

3Mは、世界 14 カ国を対象に初めて行った科学に対する意識調査「ステート・オブ・サイエンス・インデックス」を実施。
世界中の人々の科学に対するイメージを探ることを目的に、世界的なマーケットリサーチ会社のイプソス(Ipsos)に依頼し、世界 14 カ国を対象にした意識調査を実施。調査では、科学に対する知識、理解と評価について訊ねたほか、科学に対するイメージや科学の未来についての質問もしています。

同調査によると、世界各国の人々の科学に対する見方は、非常に肯定的です。回答者の半数は、自分が生きている間に空飛ぶ車が発明されるだろうと想像し、87%が科学を退屈なものではなく、魅力的なものと捉えていました。
一方で、科学が毎日の生活に与えている影響を多くの人は感じていません。約40%の人々が、「科学がなくても日常生活は変わらない」(38%)と考えています。科学に対して懐疑的な見方も広がっています。世界中の約3人に1人(32%)が科学に対して懐疑的な見解を持っており、20%が科学に対して不信感を抱いていることが明らかになりました。
ステート・オブ・サイエンス・インデックス調査で明らかになったポイントは以下の通りです。

調査結果のポイント


● 多くの人々が、科学は「天才」だけのものであると考えている
調査では、3分の1以上が「科学は近づきがたいもの」と捉え、36%は「科学で生計を立てられるのは天才だけだ」と考えている。

● 科学に対する男女の考え方の差を解消する取り組みが必要である
女性は男性と比較すると、科学との関係性は薄く、また科学への興味も低い。女性は男性より、科学について知らないと答え(女性21% vs 男性15%)、エンジニアを職とすることに満足を感じるとする人数は大幅に少ない(女性9% vs男性25%)。しかし、医学と生命科学の分野については、女性の関心は男性を上回った。(医学にいて:女性20% vs男性14%、生命科学について:女性15% vs男性10%)

● 社会的には評価が高い科学も、日常生活の中では評価が若干下がる
科学が日常生活にとって重要(46%)と考える人よりも、社会一般にとって重要(63%)と考える人の方が多い。

● 人々は、科学に多大な期待を寄せている
およそ4分の3の人々は、難解でグローバルの課題でもある、国連が示した「持続可能な開発目標」について、科学によって解決できると信じています。世界中の人々が、購入しやすい再生可能エネルギー(75%)やエネルギー供給(74%)に関する課題を科学が解決できると楽観視しています。また、疾病の治療(75%)や清潔な水と公衆衛生(73%)、インターネットへのアクセス(73%)にまつわる課題は科学によって解決できると期待しています。一方で、気候変動(46%)、飢餓(45%)、高齢化(41%)、失業(33%)対策には、科学への期待は低い結果でした。

● 日々の暮らしでは、ほとんどの人が科学やその影響について意識していない
大多数の人(66%)が、日常生活に対する科学の貢献を「わずか」もしくは「全くない」と考えている。

● 半数近くの人が、理系の職業を目指せばよかったと考えている
半数強の人々(54%)が、文系の職業を目指したことに後悔はないと答え、半数近く(46%)が、理系の職業を選択すればよかったと考えている。

● 科学懐疑論者と科学支持者の双方が、次世代については同じ意見を持っている
次世代に関しては、科学懐疑論者と非懐疑論者は驚くほど同意見で、82%が子供たちに理系の職業を目指すように勧め、92%が子供に科学を学んで欲しいと考えている。同時に、33%が、科学が世界をいかに進歩させているかを学生・生徒により深く理解させて、理系の職業を目指したいと思わせる必要があると考えている。

【補足資料(1) 日本の結果について】
●日本人、科学にポジティブなイメージがある一方で、世界一厳しく懐疑的な見方も

日本では「科学」という言葉に対して非常に前向きに捉える回答が多くを占めました。
科学は、「希望に満ちあふれ」(95%)、我々の心を捉えて魅了する(92%)。また「イノベーションを促進」(85%)し、「科学があるからこそ世の中はより良い場所となっている」(86%)との結果が出ています。

一方で日本人は、世界で最も科学に対する懐疑的な見方を持っている国との結果も出ています。科学に対する信頼度を示すスコアは49.1ポイントと14カ国中、最も低い数値となりました。また、23%が「科学に対して懐疑的」な見方をしています。「科学への信頼」は、世界平均が29%であるのに対し日本は11%、「科学者への信頼」は世界平均が23%であるのに対し、日本はわずか7%でした。

科学に対する知識の自信も各国より低いのが特徴で、世界では18%の人が「科学について無知」と回答しているのに対し、日本人は約半数の47%が科学について無知だとしています。また、科学の知識の取得については、各国平均では84%が科学の知識がもっとあればと感じているのに対し、日本人は最も低い77%でした。また、科学が社会にとって重要だと考えるのは44%(各国平均63%)、日々の生活にとって重要だと考えるのは15%(各国平均46%)と、科学が生活に与える影響については各国よりかなり、低い結果となりました。

●日本人、科学の未来に大きな可能性を信じる
日本の結果を見ると、74%が科学の未来は明るい(74%)と回答しており、この数値は各国平均の62%を上回る結果となりました。さらに、職場でのロボットの活用は日本が73%と各国平均の64%を上回り、また家庭におけるロボットの存在についても、日本は59%と各国平均の55%を上回りました。自国が科学の進歩をリードしていると考える日本人は全体の33%と、各国平均の23%を超えるポジティブな結果となっています。

【補足資料(2) グローバルの結果について】
●科学の未来に関する楽観論
科学に関する懐疑な見方や誤解があるにもかかわらず、将来の科学の発展への期待感は高いと言える結果も出ています。これから自分が生きている間に何が実現するかという質問に対して、最も回答が多かったのは、すべての職場でのロボットの活用(64%)、各家庭でのロボットの活用(55%)、そして空飛ぶ車(51%)でした。加えて、海底での生活(41%)、火星居住(35%)などが生涯のうちに実現すると期待されています。

この調査全体を通して見ると、先進国よりも新興国の方が、将来の科学の発展について楽観視していることが明らかになりました。新興国は、空飛ぶ車(新興国58% vs 先進国43%)や天候のコントロール(43% vs 22%)は、自分たちが生きているうちに実現すると考えています。

社会問題については、特にエネルギーや疾病予防のソリューションにおいて科学へ期待が寄せられています。世界中の人々が、購入しやすい再生可能エネルギー(75%)やエネルギー供給(74%)に関する課題を科学が解決できると楽観視しています。また、疾病の治療(75%)や清潔な水と公衆衛生(73%)についての課題を科学が解決すると期待しています。


【「ステート・オブ・サイエンス・インデックス」調査の方法について】
この調査は、イプソス社が 2017 年 6 月 14 日~8 月 26 日までの期間、14 カ国 14,036 人を対象にオンラインインタビューまたは直接の面談のいずれかで、各国18歳以上のおよそ1,000人を対象に行いました。
調査を実施した国々は、ブラジル、カナダ、中国、フランス、ドイツ、インド、日本、メキシコ、ポーランド、サウジアラビア、シンガポール、南アフリカ、英国、米国です。

詳しいリサーチ内容はネタ元へ
リンク先リサーチPDF
[3M]
 マイページ TOP