2017年度 アフリカ進出日系企業実態調査 

2018年01月25日

ジェトロは2017年8~10月にかけて、アフリカ24カ国に進出している日系企業に対し、経営実態に関するアンケート調査を実施しました。回答企業数は過去最多の315社となりました。

調査結果概要


1.【営業利益見通し・今後の事業展開】モロッコの好調ぶり際立つ
  • 進出先別で差が大きい。黒字比率は南ア、モロッコの60%超からケニアの25%まで。モロッコは過去4回で最高、今後の事業展開でも9割の企業が「拡大」と回答。拡大の理由は、「売上の増加(70.6%)」と「成長性、潜在力の高さ(70.6%)」。【資料6~7、12ページ】
  • モロッコは自動車や航空機の製造を中心に輸出産業の育成に力を入れ、外資誘致にも熱心。日系企業数は約50社(2017年)、同国最大の外資系雇用主は日系部品メーカー。
  • アフリカ全体では過去4年連続で事業「拡大」が過半を超え、事業拡大傾向は継続。4割超の企業が現地従業員数の「増加」を予定している。【資料12~13ページ】
2.【事業環境の変化】進出理由は民需狙いに、日本のODAは半減
  • 民需狙いと考えられる「市場の将来性」や「市場規模」を進出理由とする声が増加。10年前と比較すると、「天然資源」や「日本のODA」の割合が半減。【資料17ページ】
  • FTAの利用企業は南部アフリカ開発共同体(SADC)を筆頭に着実に増加。【資料18~19ページ】
  • 2028年に設立を目指すアフリカ経済共同体(AEC)構想が進展をみせる。【資料18~20ページ】
3.【事業環境の変化】中国の進出加速で競争激化も、メリットと捉える企業も
  • アフリカと経済関係を強化させる中国に対して、「競合が激化し自社にも影響を及ぼしている」と回答した企業は4割を超えた(44.4%)。【資料21ページ】
  • 一方、「ビジネスチャンスの拡大やメリットと捉えている」との回答も15.7%あった。「中国のスピード感ある進出により、現地で見落とされてきたビジネスニーズや今までなかった市場が形成されていると感じる」との声も聞かれた。
  • 最も競合関係のある企業を国籍別にみると、「欧州系企業(26.8%)」、「日系企業(20.5%)」、「地場資本企業(17.8%)」で、次いで「中国企業(14.1%)」となった。【資料22ページ】
  • 逆に、連携相手となる企業を国籍別にみると、「フランス(21.5%)」、「インド(20.2%)」、「南ア(18.5%)」が上位に入った。フランス企業との連携では、日系企業の進出が遅れる仏語圏アフリカ市場での協業に期待が高まっている。【資料22ページ】
4.【経営上の問題点】政情、ガバナンスへの懸念は他地域より極めて高い
  • 最大の問題点は従来同様の「規制・法令の整備、運用」(80.6%)。
  • 続く、「不安定な政治・社会情勢」(77.4%)では、大国の南ア、エジプト、ナイジェリアに加え、ケニアで軒並み85%を超える企業が不安視。【資料23ページ】
  • 南アは2019年に控える大統領選挙を睨んだ与党党首選(2017年12月)、エジプト、ナイジェリアは治安悪化(テロ・誘拐・武装勢力への懸念)、ケニアは大統領選挙(17年8月~10月)の影響が表れたと思われる。
5.【注目国】3年連続でケニア、ナイジェリア、南アがトップ3カ国
  • ケニアは東部アフリカ地域の拠点、ナイジェリアは大陸最大の経済・人口大国、南アは最も発達した経済インフラに高い評価。【資料24ページ】
  • モロッコが昨年の11位から6位に躍進。投資優遇措置の充実、治安の良さ、英仏両語ができる優秀な人材への期待が高い。

調査概要


・調査実施時期:2017年8月21日~10月13日
・アンケート送付先:376社(回答企業数315社(うち製造業84社、非製造業231社)、有効回答率83.8%)
・質問項目:(1)経営状況、(2)今後1~2年の事業展開、(3)経営上の問題点、(4)投資環境、(5)第三国連携、中国に対する考え方など

詳しいリサーチ内容はネタ元へ
[ジェトロ]
 マイページ TOP