第15回不正行為グローバルサーベイ(55カ国の経営幹部対象) 

2018年04月25日

EY が世界55カ国の2,550名の経営幹部を対象に実施した、第15回不正行為グローバルサーベイによると、2012年以降に行われた、取締り強化や企業に刑事責任を課す新法の導入にもかかわらず、世界の贈収賄および汚職の状況には改善がみられないことが明らかになりました。
2012年以降、世界の規制当局や法執行機関は、贈収賄や汚職に110億米ドル以上の罰金を科しましたが、世界の経営幹部の38%が、依然として贈収賄と汚職がビジネスに蔓延していると考えていることが今回の調査で分かりました。

調査結果


  • 55カ国の経営幹部の38%が、汚職がビジネスに蔓延していると回答
  • 新興国における贈収賄と汚職の水準は依然として先進国の2倍
  • 35歳未満の20%が、ビジネスの獲得や維持のために現金供与もやむを得ないと回答
依然として汚職水準が相対的に高い新興国

汚職水準の国による格差は依然として大きく、贈収賄や汚職がビジネスに蔓延していると答えた回答者が、先進国では20%でしたが、新興国では半数を超える52%でした。
一部の国では反汚職法が改正され、より積極的な取締りが行われたものの、汚職リスクが世界平均より高い地域は中東欧(47%)、中東(62%)、中南米(74%)でした。
調査結果によれば、より強力な反贈収賄法の施行から汚職の減少までは、時間が必要であることが明らかになっており、ブラジル、オランダおよび英国がこうした傾向を示しています。例えば、ブラジルは過去4年間、法令を施行して取締りを強化してきましたが、ブラジルの回答者のうち96%が、汚職行為がビジネスに蔓延していると答えており、新法が施行された2014年の80%から上昇しています。一方、2000年代半ばに海外腐敗行為防止法(Foreign Corrupt Practices Act:FCPA)により取締りが強化された米国では、汚職水準が今年は18%に下がり、2014年の22%から改善しています。

誠実性の認識と行動の乖離

調査結果によれば、誠実に事業を運営することは取締役会の議題の中で優先度が高く、回答者の97%が、組織が誠実に運営されているとみられることの重要性を認識しています。顧客の印象、従業員の定着および業績の改善などはすべて、事業を誠実に運営していることを明示することの効果と認識していますが、依然としてその認識と実際の行動の間に乖離がみられます。そして、回答者の13%がビジネスの獲得や維持のために現金を支払うことは正当であると述べており、興味深いことに、35歳未満の調査対象者ではこの比率が20%に上昇します。

本レポートでは、誠実に行動することが従業員全員の責任であることを、組織が明確にする必要があると示唆しています。経営者が適切な基本姿勢をトップとして示すことが重要である一方、個々の従業員も無関係ではありません。調査結果によれば、組織を誠実に運営することは経営者の一義的な責任とする回答者が41%を占めたのに対し、個人がその責任を負うべきだと感じる回答者も22%に上りました。さらに本レポートによれば、不正行為の管理を正しく行うという自社の能力に関して、一部失望している可能性が示されています。回答者の78%が、組織が不正行為を罰する明確な意思を持っていると考えているにもかかわらず、実際に罰せられた例を認識しているのは57%にとどまっているのです。

本レポートによれば、倫理的行動の効果的な管理を行うことは、組織内の問題にとどまらず、第三者や組織に代わって業務を行う代理人にとっても重要な問題です。しかし、第三者のデューデリジェンスも優先順位が低いようであり、これに対する自社に適したリスクベース・アプローチを有していると答えた回答者は59%にとどまりました。

今回の調査について


2017年10月から2018年1月にかけて、EYの調査者として世界的な市場調査会社のイプソス・モリが、55の国・地域で抽出された最大手企業の上級意思決定者を対象に現地語で2,550のインタビューを実施しました。この調査は、不正に対処する責任を有する経営幹部(主に、CFO(最高財務責任者)、CCO(最高コンプライアンス責任者)、ジェネラル・カウンセルおよび内部監査責任者)の見解を知ることを目的とするものです。

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[EY]
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