矢野経済研究所は、国内eラーニング市場について調査を実施し、BtoB、BtoC各市場の動向、参入企業動向、将来展望を明らかにした。

<eラーニング市場とは>
本調査におけるe ラーニング市場とはインターネット等のネットワークを利用した学習形態を対象とし、ゲーム機や パソコン向けソフトウェアを利用したものを除く。また学習コンテンツとしては、ビジネス、教科学習、語学、IT 技術、 資格取得、教養・雑学など幅広いジャンルを含む。

調査結果


1.市場概況

2017年度の国内eラーニング市場規模は、前年度比13.2%増の2,000億円を見込む。内訳は法人向け(企業・団体内個人を含む)のBtoB市場規模が同3.9%増の620億円、個人向けのBtoC市場規模が同17.9%増の1,380億円であり、前年度に続き両市場ともに拡大見込みである。

BtoB市場は、スマートフォン、タブレット端末の普及による学習ツールの多様化、情報通信技術の向上、クラウド環境の進展などによってもたらされたeラーニングの利便性向上が、顧客企業の利用機会増加、顧客層のすそ野拡大を導き、堅調推移を継続させている。

​一方、BtoC市場は、2014年度を境に1,000億円台の規模に急成長し、ここ数年における国内eラーニング市場規模の拡大を牽引している。2017年度は、学習塾・予備校の映像授業が引続き堅調であったほか、主要通信教育事業者では、サービス体系の見直し、サービスラインアップの拡充が奏功し、ユーザー数を着実に増加させた。なお、BtoC市場では、学習アプリをはじめとする無料のサービスも多く、市場規模の拡大以上にサービス数、ユーザー数は増加しているものと推測する。また、学習理解を深めるためのツールとして、学習コースの一部に動画解説やオンラインによるコーチングを組み込む、あるいは、eラーニングとリアルのコーチングを融合させるなどの学習サービスは増加傾向にあり、提供形態の多様化はますます進む環境にある。

2.注目トピック

AI(人工知能)を活用した学習サービスの登場
ここ数年においてパイロットケース(試験的な取り組み)も含めてAI(人工知能)を取り入れた学習サービスの登場が散見される。今後については、学習者個々のレベルに応じた学習の提供(アダプティブラーニング)を目的に、AIを活用した、習熟度合いに応じた学習サービスの増加が予見される。

3.将来展望

2018年度の国内eラーニング市場規模は、前年度比3.6%増の2,071億円を予測する。BtoB市場は良好な雇用環境を背景とする顧客企業の人材育成投資の活発化によって、堅調推移を継続させるものとみる。BtoC市場は参入事業者間の業績に好不調が生じる可能性はあるものの、総じて当該領域における大半のサービスの伸長を予測する。

調査概要


・調査期間: 2018年1月~3月
・調査対象: e ラーニングシステム開発・構築・販売事業者、e ラーニングコンテンツ開発・製作・販売事業者、 e ラーニングを介した研修や講義を提供・運営する事業者(学習塾、語学学校、研修事業者等)、 学習ソフトウェア開発・製作・販売事業者等
・調査方法: 当社専門研究員による面接取材及び、電話・FAX・電子メールによるヒアリング、文献調査併用

詳しいリサーチ内容はネタ元へ
[矢野経済研究所]
 マイページ TOP