「専門医の取得理由やメリット」に関する調査(医師対象) 

2018年05月30日

メディウェルは、2018年3月~5月にかけて、会員医師向けに専門医の取得理由やメリットに関するアンケート調査を行ないました。

調査結果の概要


  • 他の医師を評価する際には6割以上が「専門医の有無は参考になる」と回答した。
  • 専門医以外に自身のキャリアアップや他の医師の評価において重要視していることで、多かったのは「他の医師からの評判」「経験年数」「症例数」だった。
  • 専門医を取得した理由は「自己研鑽」が最多で7割以上が挙げていた。
  • 専門医取得後のメリットは「自己研鑽」を除くと、「特にない」が28%と最多だった。
  • 専門医の取得や更新の労力・コストに対するメリットは「見合っていない」が53%と半数以上を占めた。
  • 自由回答では専門医のメリット・デメリット、専門医のスキルの指標の是非などについて医師間で意見が分かれた。診療報酬に反映して欲しいという声や、制度・運営上の問題を挙げている意見も多く見られた。

調査結果


回答者の属性

年齢別
回答者の年齢は下表のようになっています。厚生労働省の平成28年のデータ[1]と比較すると、30~50代の医師、とりわけ40代の医師の回答が多く、29歳以下や60歳以上の医師の回答が少ない傾向となっています。

性別
回答者の性別については、下表の通り、男性約8割、女性約2割と前掲の厚生労働省の調査とほぼ同じ比率になっています。

勤務先種別
回答者の勤務先については下表のようになっています。厚生労働省調査との比較では、開業医や大学病院に勤務する医師の割合が低く、大学病院以外の病院やクリニックに勤務する医師の割合が高くなっています。

診療科別
回答者の診療科別の内訳は下表のようになっています。
以前に実施した会員アンケート[2]と同様、厚生労働省のデータと比較してやや皮膚科、精神科、麻酔科などで多くなっているものの、おおむね全国の診療科別の医師数を反映した結果となっています。

専門医の取得状況
回答者全体の78%が専門医資格を所持しているという結果となりました。厚生労働省の調査では医師の約6割が資格取得者となっているため[3]、今回の回答者では全国平均に比べ専門医の取得率が高くなっているといえます。

専門医の取得を目指した理由は「自己研鑽」が7割以上

専門医資格を所持している医師(N=1283)を対象に、取得を目指したきっかけ・理由について調査した。

専門医を目指したきっかけ・理由
「自身のスキル・知識の向上」を理由として挙げた医師が7割以上を占め、大半の医師は専門医資格の取得を自己研鑽の機会と考えていることがわかります。その他には「給与や待遇、就職におけるメリット」、「患者からの信頼を得られる」、「職場や医局など他の医師が取得している」が3割以上と比較的多くなっています。
一方で、「患者向けの広告に活用できる」や「後輩医師などの指導に有用」は15%に満たない結果となりました。

専門医取得後のメリット、自己研鑽以外では「特にない」が最多

同じく専門医資格を所持している医師が、実際に専門医取得後に感じたメリット(複数回答)について。

専門医取得後のメリット
「取得の過程で自身のスキル・知識が向上した」が最も多く、専門医取得の理由でも多かった「自己研鑽」の面でメリットを感じている医師が多くなっています。
しかし、自己研鑽を除くと、「特にメリットはない」が最も多い結果となっています。給与・待遇・就職面のメリットや周囲からの信頼というメリットを感じている医師も一定数いるものの、多くの医師が専門医取得後のメリットを感じられていないことが窺えます。

取得や更新の労力・コストに対する専門医のメリット、「見合っていない」が半数以上

専門医資格の取得や更新には、特定の施設での研修や学会参加などの労力や費用が必要になります。そこで専門医資格所持者を対象に、専門医のメリットがその労力・コストに対して見合っているかどうかを調査した。

専門医が費用や労力に対して見合っているか
「あまり見合っていない」と「まったく見合っていない」を合わせて53%となっており、半数以上の医師が「専門医のメリットは取得・更新の労力や費用に対して見合っていない」と考えていることがわかりました。
最近では若手医師の9割以上が専門医資格の取得を希望するようになっていますが[4]、この現状を踏まえると、費用対効果に対して相反しているような動きにも見受けられます。

他の医師の能力の評価に専門医の有無は「参考になる」が6割以上

一方で、他の医師の能力の評価で専門医の有無がどの程度参考になるかについても調査した。

専門医は参考になるか
「参考になる」「どちらかというと参考になる」を合わせると、他の医師の能力の評価に際して6割以上の医師が専門医の資格の有無は参考になると考えていることになります。

自身のキャリアアップや他の医師の評価では、「他の医師からの評判」「経験年数」「症例数」の順に重要視

それでは専門医資格以外で、医師が自身のキャリアアップや他の医師の評価に関して何を重要視しているのでしょうか?

専門医資格以外で重視していること
最も多かったのは「他の医師からの評判」で半数以上が挙げていました。次いで「経験年数」「症例数」を重視している医師が多く、一方で「研究論文・学会発表の実績」が最も少ない結果となりました。

調査概要


調査内容:専門医の取得とメリットに関する医師へのアンケート調査
調査対象:株式会社メディウェルに登録している医師会員
調査時期:2018年3月20日~2018年5月7日
有効回答数:1,637件

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