テレワーク緊急実態調査【後編】(従業員規模300名以上の企業に勤務する一般社員、管理職対象) 

2020年05月19日

リクルートマネジメントソリューションズ組織行動研究所は、従業員規模300名以上の企業に勤務する、終日・半日・一部業務のみの少なくともいずれか1つの形態のテレワーク経験がある一般社員664名、管理職253名に「テレワーク緊急実態調査」を実施し、【テレワークの「ワークの質」「ライフの質」「業務ストレス」への影響と改善要因】【テレワーク環境下で、感謝や助け合いといった協働志向のケア的なコミュニケーションを促す方法】など、調査結果から見える実態について公表しました。今回は前編・後編に分かれた発表となり、前編では「テレワーク環境下において、管理職が不安に感じていること・逆に機会と感じていること」「テレワーク環境下でビジネスパーソンに必要なスキルと、それがすでに身に付けられているかどうか」などについて公表。

調査実施の背景


2020年4月は、働き方改革関連法が本格的に施行され、時間外労働規制の中小企業への拡大、ならびに大企業における同一労働同一賃金が適用されるタイミングでした。しかし今となっては、誰も想定しなかった要因によって、「働き方改革」がかつてないスピードで進展しています。「テレワーク(リモートワーク、在宅勤務)」の導入拡大は特筆されるべき変化の代表格であると同時に、さまざまな事情や懸念から「働き方」を変えられずにいる方々も大勢いらっしゃいます。本調査によって、テレワークの実態が少しでも明らかになることで、社会における適用範囲が広がることにも期待したいと考えています。

また、テレワークは、オフィス以外の場所を選択できる働き方ですが、実のところ、変化するのは働く場所だけではありません。テレワーク環境においては、オフィスという空間が促したり補ったりしていたもの、例えば、意思疎通や人とのつながりの実感、自律やセルフマネジメントの実感、安定した日常と所属の実感などがぽっかりと抜け落ちることとなります。本調査は、そのような「これまで当たり前のものとして確かにあったのに、失われてしまったもの」に光を当てることを通じて、「働き方改革」が個人や組織に促す心理的な改革への理解を深めることも目的としています。

調査結果のポイント


  • テレワーク環境下で、ワーク・ライフ・バランスはどう変化したかについて、1番多かったのは「変化しない」タイプで40.3%、次いで多かったのは「ライフの質のみ向上」するタイプで21.0%【図表1】
  • 「テレワークの習熟度」が、テレワーク環境下でのワーク・ライフ・バランスに影響を及ぼすことが明らかに【図表2】
    テレワーク歴が長く現在の実施頻度も高い群では、「ワークの質・ライフの質が共に向上、業務ストレス減少」タイプが増える。一方、テレワーク歴が浅く現在の実施頻度が高い群では、「ワークの質・ライフの質が共に低下」タイプが多くなり、この群には、新型コロナウイルス感染症対策のため、経験も準備もない中、急遽テレワークを余儀なくされている方たちが多く含まれていることが予想される。
  • 習熟度以外で、テレワークの「ワークの質」「ライフの質」を改善する要因は、大きく以下4つ【図5】
    (1)本人による「達成状態を描く」「自らゴールを設定する」「前提を見直す」等のセルフマネジメント
    (2)管理職層による「自律的な職務設計」
     本人の工夫に任せる部分があり、仕事の全体像や責任・成果が明確であること
  • (3) 管理職層による自律支援型のマネジメント
     部下が自律的に働けるよう必要な情報を提供し仕事を任せたり、部下の心の支えになろうとしたりするマネジメント
  • (4)主として人事部が行う「柔軟性志向のHRM(Human Resource Management)*」
    異動配置を通じた幅広い能力開発や、異動後の迅速な活躍に資する経営情報の開示など
    *人的資源管理、人材マネジメントなどと訳され、人材を経営資源として捉え、有効活用するための仕組みを体系的に構築・運用することを意味する。具体的には企業戦略を実現するために必要な人的資源の需要を予測し、予測に基づいた採用、教育・育成、配置を行う。さらに配置した人材を動機付けていくための人事制度も含まれ、一般的にはHRMの多くは人事部の業務となる。
  • テレワーク環境下で、感謝や助け合いといった協働志向のケア的なコミュニケーションを支えているのは、「管理職のきめ細かいマネジメント」「柔軟性志向のHRM」【図表6】
    感謝や助け合いなどのコミュニケーションが「管理職のきめ細かいマネジメント」に支えられているという結果から、管理職の業務負荷の高まりが懸念される。その結果、組織における協働が滞ることも推測される。「柔軟性志向のHRM」も、一般社員・管理職いずれにおいても上位であり、幅広いスキルを身に着けることを意図した異動配置や情報開示のポリシーが、協働志向コミュニケーションを支えている可能性が見られた。
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[リクルートマネジメントソリューションズ]
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