国内モバイル決済市場調査 

2018年11月22日

矢野経済研究所は、国内モバイル決済市場を調査し、現況、決済領域別の動向、および将来展望を明らかにした。

<モバイル決済市場とは>
本調査におけるモバイル決済市場とは、NFCを搭載したスマートフォン等を媒体として、リーダーライターにかざすだけで決済ができるモバイルコンタクトレス決済サービス、及びスマートフォンアプリを活用したQRコードを媒体としたQRコード決済サービスを対象とする。なお市場規模はモバイル決済サービス提供事業者における取扱高ベースにて算出している。

<市場に含まれる商品・サービス>
コンタクトレス決済サービス、モバイルコンタクトレス決済サービス、QRコード決済サービス、マルチ決済サービス等

1.市場概況

2017年度の国内モバイル決済市場規模(モバイルコンタクトレス決済、及びQRコード決済合算値)は、1兆円まで拡大した。日本市場でApple Payの導入やGoogle Payの本格展開により、モバイルコンタクトレス決済が急速に拡大していることに加え、QRコード決済の普及、及び利用拡大により市場は拡大基調で推移している。

QRコード決済は、中国で普及しているAlipayやWeChatPayの利用者を取り込むことを目的として、日本の加盟店の導入が進んできた。2018年に入り、日本国内でQRコード決済サービスを提供する事業者が急速に増加しており、QRコード決済サービス事業者は導入コストや手数料率の低さを訴求し、導入企業の拡大に取組んでいる。またQRコードはマーケティング施策との連携のしやすさにも特徴があり、決済(支払い)と連動したポイント付与など、スマートフォンアプリに組み込む形で導入されるケースが増えている。

2.注目トピック

カードレス化の機運の高まり
国内モバイル決済市場を領域別にみると、モバイルコンタクトレス決済は、2016年10月に日本市場でApple Payが導入され、2018年に国内の実店舗及びECサイトで利用できる決済サービスGoogle Payのサービスの本格展開が始まったことで、モバイルコンタクトレス決済拡大の機運が高まっている。今後、nanacoや楽天Edyに加え、SuicaやWAON、そして、QUICPay加盟店でもGoogle Payが利用できるようになる予定である。

一方、QRコード決済は既述のとおり、低コストでかつ低手数料率で導入できるサービスであることから、今まで、クレジットカード決済サービスを導入しなかった、もしくはできなかった中小事業者等での導入が進むことが期待されている。また、スマートフォンアプリにQRコード決済サービスを組み込むことで、ポイント付与や販促メールの送信など、顧客の利得性を高め、顧客の囲い込みを目的にマーケティング施策との連携が進んでいる。

​こうしたなか、主にハウスマネー領域においてカードレス化の機運が高まっており、また日本全体では、キャッシュレス化を推進する動きも出てきている。今後、キャッシュレス化の軸となっていくのは、スマートフォンを活用したモバイル決済領域であるものとみる。

3.将来展望

国内モバイル決済市場規模(モバイルコンタクトレス決済、及びQRコード決済合算値)は、2023年度までに4兆円を突破すると予測する。
モバイルコンタクトレス決済は、Apple PayやGoogle Payなどの更なる利用拡大や、LINE PayのQUICPay加盟店での利用など、利用範囲の拡大が寄与するものとみる。
一方、QRコード決済においては小規模事業者における導入および利用の拡大が期待されるとともに、今後は決済サービス単体での導入というよりは、ハウスマネー領域における顧客の維持獲得のためのマーケティング施策と連動した利活用が進むものと考える。

調査概要


■調査期間: 2018年5月~10月
■調査対象: 主要コンタクトレス決済サービス提供事業者、QRコード決済サービス提供事業者、マルチ決済サービス提供事業者等
■調査方法: 当社専門研究員による直接面談、電話・e-mail等によるヒアリング調査および文献調査併用

詳しいリサーチ内容はネタ元へ
[矢野経済研究所]
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