音楽聴取方法と音楽配信サービスに関する意識・実態調査(15歳~49歳男女対象) 

2015年06月08日
生活者の意識・実態に関する調査をおこなうトレンド総研は、音楽聴取方法と音楽配信サービスに関する意識・実態調査を実施。
“音楽”に対する人々の実態と動向を探るべく、15歳~49歳の男女500名を対象とした調査をおこないました。

【調査結果】

◆ 自宅でも外出先でも「毎日」視聴が多数、30・40代は「運転中」の聴取が多い傾向に

まず、音楽を聴く頻度とシーンについて調査をおこないました。
頻度について、「自宅」で音楽を聴く頻度としては「毎日」(37%)がもっとも多く、次いで「週に2~3回程度」(17%)、「週に4~5回程度」 (15%)。「外出先」についても「毎日」(33%)が最多で、「週に4~5回程度」(19%)、「週に2~3回程度」(15%)となりました。「毎日」 聴いている人の割合が多く、音楽が人々の生活の中で欠かせない要素になっていることがうかがえます。
音楽を聴くシーンとしては、「自宅でくつろいでいるとき」(75%)、「通勤・通学中・移動中」(66%)が上位に並び、「運転中・車に乗っているとき」 (44%)にも回答が集まりました。ここでも年代別に大きな差が見られ、10代でもっとも多かったのは「自宅でくつろいでいるとき」(82%)で、「通勤・通学中・移動中」(79%)も全体に比べて多く、20代も同様の傾向に。対して30代、40代は、「運転中・車に乗っているとき」が全体と比較して高 く(30代 57%・40代 49%)、年代によって異なるライフスタイルが、音楽を聴くスタイルにも影響を与えていることが如実に現れています。

◆ 「スマートフォン」での視聴がメインでも他も健在?テレビ、ラジオ、コンポ…年代差が見られた使用デバイス

そこで、音楽を聴くシーンを「自宅」と「外出先」に分けて、音楽を聴く際に使用しているデバイスについても調べると、いずれのシーンでも全年代を通して利用率が高かったのは「スマートフォン」。シーン別に見ると、「自宅」で利用率1位だったのは「パソコン」(56%)で、「スマートフォン」(42%)、「デジタルオーディオプレイヤー(ポータブルプレイヤーを含む)」(24%)、「テレビ」(21%)などが続いています。特徴的だったのは40代の聴取方法で、「テレビ」利用者が30%とパソコンに次いで2位に。「ラジオ」での聴取も20%と高く、「ラジオ」での聴取方法としては全年代でもっとも多くの人が活用していることが分かりました。また、30代では「コンポ(ミニコンポ・セットコンポ含む・音楽のデータ形式は問わず)」(21%)での視聴が全年代で 1位となりました。

ポータブル性が重視される「外出先」に関しては、「スマートフォン」(46%)の利用がトップ、「デジタルオーディオプレイヤー(ポータブルプレイヤーを含む)」(39%)が続き、「カーオーディオ」(36%)も約4割が日常的に利用していると回答。10代は他デバイスに比べて、「スマートフォン」(67%)の使用率が圧倒的に高くなっています。
ちなみに、音楽を聴くデバイスとして、過去に日常的に使用していたもので、現在は使わなくなったデバイスを聞いたところ、「CDプレイヤー(ポータブルプレイヤーを含む)」(35%)、「MDプレイヤー(ポータブルプレイヤーを含む)」(34%)に加えて、「デジタルオーディオプレイヤー(ポータブルプレイヤーを含む)」(24%)に関しても約4人に1人が「使用しなくなった」と回答。特にスマートフォンの台頭により、音楽の聴取形態に確実に変化が起きていることが分かります。

◆ いまだ根強い“CD派”、購入は10代が最多に…求められるのは「利便性」と「音楽との接点の拡大」?

続いて、音楽の入手方法・経路についても調査をおこないました。普段取り入れていることが多い入手方法・経路としては、「レンタルしたCDからスマートフォンなどに取り込んで聴く」(55%)、「購入したCDからスマートフォンなどに取り込んで聴く」(50%)の2つが多く、「無料の動画アプリ・サービスで動画形式で視聴する」(28%)が続きました。

一方で、「購入したCDからスマートフォンなどに取り込んで聴く」と回答した人がもっとも多かったのも10代で、約6割がCDを購入しています。「レンタルしたCDからスマートフォンなどに取り込んで聴く」人が多かったのは20代 (65%)、30代(64%)と、デジタル形式で音楽を楽しむ一方で、依然として“CD派”も根強くいることが改めて明らかになりました。

また、特に10~30代はシーンにあわせて使い分けをしている人が非常に多く、「家にいるときは購入した好きなアーティストのCD、外出時や家でも動きまわるときはスマートフォンの無料アプリに入っている音楽を聴く」(17歳・女性)、「普段は無料サイトで聴き、その中で気に入ったものをダウンロード購入する」(35歳・女性)などのコメントが目立ちました。また、「音楽の制作者への感謝を込めてお金を出して音楽を聞きたいが、CDで買うと置き場所に困るので有料の音楽配信サービスを利用することが多い」(29歳・男性)といった、音楽コンテンツへの課金について触れたコメントが見られたのは20~30代。40代は、「(無料動画サービスでは)古い曲も無料で手軽に聴けるのがいい」(40歳・男性)など、過去の曲との“再会”がその方法を選んでいる理由として挙げられていたのが特徴的でした。

CDなど従来の物理型の形式に対して、ダウンロード購入型や、音楽・動画配信サービス視聴型などのデジタル形式は、聴きたいと思った音楽へのアクセスの速さ、手間がかからないことが大きな特長であると言えます。加えて、多くの音楽配信サービス、動画配 信サービスが関連楽曲・動画表示機能、あるいは、リコメンド機能を実装しており、そこから新たな楽曲やアーティストに出会えることもメリットとして挙げられるでしょう。
実際に、「(ダウンロード購入は)曲を聴くまでが速く、手間がかからないからいい」(17歳・男性)や、「動画サイトだと関連動画が横に挙がってくるので、そこから新しい音楽を知ることができる」(25歳・女性)などのコメントも集まり、多くのユーザがデジタル形式での音楽視聴スタイルのメリットを享受していることが分かります。
言い換えると、新たな音楽サービスがユーザに受け入れられる条件として、「速さ」と「手軽さ」という利便性をクリアし、同時に「音楽との接点の拡大」を実現することが求められているとも考えられます。日本ではまだ馴染みが薄く、今後の各企業の参入、発展が期待されるサブスクリプション型音楽配信サービスに関しても、その普及やユーザのライフスタイルへの定着の鍵は、これらの条件にある可能性も浮かび上がります。

◆ サブスクリプション型音楽配信サービスを選ぶポイントは「楽曲の数」、同時にクオリティも重視される傾向に

これをふまえ、サブスクリプション型音楽配信サービスを使用するとしたら、サービスを選ぶ際にどのような点がポイントになるかを調査しました。その結果、 「楽曲の数」(73%)を重視する人が大多数で、「好きなアーティストの楽曲が配信されているかどうか」(62%)、「月額の利用料金」(58%)、「楽曲の種類の豊富さ(ジャンルの幅)」(53%)などが選定にあたってのポイントになる人が多い様子。同時に、「楽曲の音質」(42%)や、「動画の画質」(26%)など、クオリティ部分についても重視されており、ここでもサブスクリプション型音楽配信サービス普及・定着の条件が垣間見える結果となりました。

音楽の楽しみ方が多様化する一方で、音楽・動画配信サービスにおいてかねてより問題視されているのが、違法アップロード(配信)コンテンツの存在です。2012年の著作権法改正より数年が経過し、違法アップロード(配信)コンテンツの 違法性、罰則についての認知度や、ユーザのリテラシーは向上したように感じられますが、違法アップロード(配信)コンテンツを流用したスマートフォンアプリやサービスは現状、依然として多く見られます。

そこで最後に、音楽・動画サイトやアプリなどで視聴できる音楽コンテンツ(動画を含む)のうち、違法アップロード(配信)されているものがある(可能性がある)ことを認識しているかどうかを調査すると、82%が「認識している」と回答。過去数年にわたるレコード会社、レーベルなど関係各社の啓蒙活動により、多くの人が認知している結果となったものの、依然として約2割、約5人に1人は違法性を「認識していない」状況であり、今後もしばらくは課題として残り続けることが想定されます。
違法性をユーザが正しく認識することが第一に重要ですが、利便性やコンテンツの数、質など、ユーザが求める音楽配信サービスが提供されていないことも、違法アップロード(配信)サービスの利用が食い止められない一因として考えられます。今回の調査結果を見ると、これらの問題に歯止めをかける打開策としては、ユーザのリテラシー向上のための啓蒙だけではなく、利便性、数、質のいずれも優れている、違法性のない正規サービスの登場、普及が挙げられるのかもしれません。


【調査概要】
調査名:音楽聴取方法と音楽配信サービスに関する意識・実態調査
調査対象:15歳~49歳 男女 500名 ※年代・性別に均等割付 ※月に1回以上、音楽を自発的に視聴する方
調査期間:2015年5月27日(水)~2015年5月29日(金)
調査方法:インターネット調査
調査実施機関:楽天リサーチ株式会社

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