世界の放熱部材市場に関する調査(2016年) 

2016年06月03日
矢野経済研究所では、次の調査要綱にて世界の放熱部材市場の将来需要に関して調査した。

<放熱部材市場とは>
電子機器では小型化・高密度化、高性能化の進展により、電子部品から発生する熱の処理が重要な課題になっている。機器内部で発生した熱は、伝熱・対流・放射・換気(物体移動による熱輸送)により、様々な経路を経て最終的には全て外気に放出される。
本調査における放熱部材市場とは、筐体への熱伝導を担うThermal Interface Material(以下、TIM)及び放熱基板、またTIMに放熱性を付与している熱伝導性フィラーを対象として、メーカー販売数量ベースで算出した。

【調査結果サマリー】

◆2015年の熱伝導性フィラー世界市場規模は8,377t と推計、2020年は10,882t と予測
2015年の熱伝導性フィラー世界市場規模(メーカー販売数量ベース)は8,377t であった。これらの熱伝導性フィラーは放熱シートやフェーズチェンジシート、グリース、放熱ゲル、接着剤等のTIMで使用されている。熱伝導性フィラーは、今後も各アプリケーション市場の成長及び各アプリケーションにおけるTIM需要に牽引されて、需要は増加傾向にあり、2020年の同市場規模を10,882t と予測する。

◆2015年の放熱シート世界市場規模は3,726千㎡、フェーズチェンジシートは510千㎡と推計、2020年の放熱シート世界市場規模は4,356千㎡、フェーズチェンジシートは横ばいと予測
2015年の放熱シート世界市場規模(メーカー販売数量ベース)は3,726千㎡、フェーズチェンジシート世界市場規模(同ベース)は510千㎡であった。放熱シートの主な需要先は、民生機器が30%、自動車向けが35%、産業機器は35%と推計した。各分野での放熱ニーズの増加から使用される箇所が増えている。2020年の放熱シート世界市場は4,356千㎡に増加すると予測するが、フェーズチェンジシート世界市場は放熱シートとグリースの中間品という特徴により用途が広がっていないことから2015年並みの横ばいになると予測する。

◆2015年の世界の放熱回路基板市場規模は1,894千㎡と推計、2020年は2,571千㎡と予測
2015年の放熱回路基板(アルミ基板、アルミナ基板、窒化アルミニウム基板、窒化ケイ素基板)の世界市場規模(メーカー販売数量ベース)は1,894千㎡であった。このうち、アルミ回路基板の構成比率が最も高く86.5%を占めているが、アルミ回路基板の70%がLED TV向けで利用されている。そのほかアルミ回路基板はLED照明向けや車載電装品向け、パワーモジュール向け等で使用されている。アルミナ回路基板、窒化アルミ回路基板や窒化ケイ素回路基板は主にパワーモジュール向け基板として利用されている。放熱回路基板は今後、民生機器、産業機器用途、自動車向け等での需要伸長により、2020年の同世界市場規模は、2,571千㎡と予測する。


【調査概要】
・調査期間:2015年12月~2016年5月
・調査対象放熱部材:
 熱伝導性フィラー(アルミナ、窒化ホウ素、窒化アルミニウム等)
 Thermal Interface Material[サーマルインターフェースマテリアル](放熱シート、フェーズチェンジシート等)
 放熱回路基板(アルミ基板、アルミナ基板、窒化アルミニウム基板、窒化ケイ素基板)
・調査対象企業:放熱部材メーカー、モジュールメーカー等
・調査方法:当社専門研究員による直接面談、電話・e-mailによるヒアリング、ならびに文献調査併用

詳しいリサーチ内容はネタ元へ
[矢野経済研究所]
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