2015年のアロマ市場の構造と市場規模に関する調査 

2016年11月01日
日本アロマ環境協会(AEAJ)は、2016年6月~8月に、2015年のアロマ市場の構造と市場規模に関する調査を実施しました。

AEAJは、公益的観点から、アロマ市場の構造とその規模を把握するとともに、今後の課題や展望を明らかにすることによって、アロマ関連産業の健全な発展に寄与することを目的に、2012年に初めて「アロマ市場に関する調査レポート」を発表。4年が経過し、アロマ市場にも変化がみられることから、第2回となる本調査を実施しました。その結果、2015年のアロマ市場規模は3,337億円(前回調査比126%)で、香りを楽しむライフスタイルがさらに広がっていることが明らかになりました。
AEAJは、有意なデータの蓄積を目指して、今後も定期的にアロマ市場調査を実施していく予定です。

【調査結果(抜粋)】

2015年のアロマ市場規模は3,337億円に
2015年のアロマ市場規模は3,337億円で、そのうち、アロマテラピー製品・サービス等による市場規模は609億円、精油を配合した製品等による市場規模は2,728億円と推計されました。

「アロマ化粧品」が市場を牽引
ナチュラル志向の高まり、より簡単に香りを楽しみたいという生活者のニーズなどを背景に、アロマ市場の39%を占める「アロマ化粧品*市場」が、前回(2011年)比131%となる1,294億円に成長。今後もアロマ市場を牽引する大きな要因になるとみられます。
*天然の精油を配合した自然派化粧品(オーガニック化粧品を含む)

既存の大市場へと外縁が広がり、市場が活性化
アロマ市場は、トイレタリー業界や家電業界などの既存の大市場へとさらに外縁を広げており、今後も市場の活性化が期待できると考えられます。また、日本特有の植物から抽出した“和精油”が全国各地で生産されるなど、ヨーロッパ発祥のアロマテラピーが日本に浸透し、独自の発展を遂げていることが見えてきています。

<アロマ市場の定義と範囲>
本調査では、アロマ市場を、「アロマテラピー市場と精油配合製品等市場で構成される市場」と定義し、対象範囲を定めた。
① 【アロマテラピー市場】 : 生活者が天然の精油を利用してアロマテラピーを楽しむ、あるいはアロマテラピーを学ぶことなどによって創造される市場
② 【精油配合製品等市場】 : 天然の精油を配合した化粧品、入浴剤、衣類洗剤、芳香剤などの日用品、アロマも利用できる機能が付加された製品などによって創造される市場
※「アロマ市場」には、「アロマ」と謳っていても天然の精油が含まれていない製品やサービスは含まない。

【調査結果】

1. アロマ市場規模の内訳 ~市場規模は3,337億円に~

2015年のアロマ市場全体の市場規模は、3,337億円(事業者小売売上高ベース)と推計され、2011年と比較し126%伸長した。

2.個別アロマ市場の動向 ~より簡単にアロマを楽しみたいというニーズの高まり~

1) アロマテラピー市場(609億円)

アロマテラピー製品市場(238億円)
[対象] 精油、基材、芳香器具、アロマ活用グッズ・クラフト

・アロマテラピー製品市場は前回比4%減。「精油」が5割強(133億円)を占めている。
・「精油」の市場は、2008年頃からのミスト式ディフューザーの普及に伴い大きく伸張。現在は新規参入ブランドが増加し、競争が激化しているとみられる。また、ユーザー層の拡大とともに、植物単体の精油から、目的別にあらかじめ複数の精油がブレンドされた“ブレンド精油”に人気が移行しつつある。
・市場規模としてはまだ小さいが、ユズやヒノキなど、日本特有の植物から抽出した“和精油”に注目が集まっている。精油を販売する今回の調査回答企業のうち4割が“和精油”を取り扱っており、特にユズ精油の生産量は増加が見込まれている。
・植物油(キャリアオイル)などの「基材」の市場規模は27億円で、前回比13%減。 「より簡単にアロマを楽しみたい」というニーズの高まりから、手間や時間を惜しむ傾向が強くなっているとみられる。

アロマテラピー教育・資格市場(142億円)
[対象] 資格認定団体の事業、アロマスクール、通信教育、アロマ関連書籍・DVD

・アロマテラピー教育・資格市場のうち、「アロマスクール」が約7割(99億円)を占めている。
・各団体が認定する資格取得者や認定スクール数などは厳しい状況が続き、アロマテラピー教育・資格市場は2011年と比較し約14%減となった。

アロマテラピーサービス市場(229億円)
[対象] アロマトリートメントサービス、アロマ空間サービス、その他サービス

・アロマテラピーサービス市場のうち、「アロマトリートメントサービス」が9割強(209億円)を占めている。
・「アロマトリートメントサービス」の市場規模は、前回比100%と横ばい。介護・福祉施設やスポーツ・フィットネス施設など幅広い分野で導入が広がっているものの、単価が下がっているため、市場規模は横ばいになっていると想定される。
・「アロマ空間サービス」の市場規模は15億円で、前回比136%と大きく伸長。前回調査時はホテルなど非日常的な空間での香りの演出が中心であったが、今回はオフィスビルや医療施設など日常的な空間にも広がっており、一層の市場拡大が見込まれる。

2) 精油配合製品等市場(2,728億円)

アロマ化粧品市場(1,294億円)
[対象] 天然の精油を配合し、化学合成成分はできるだけ排除している自然派化粧品(オーガニック化粧品を含む)のうち、スキンケア化粧品、ヘアケア化粧品、メイクアップ化粧品、ボディケア化粧品

・アロマ化粧品市場は前回比131%と大きく伸長。うち、約3割を占める「オーガニック化粧品」*が381億円(前回比200%)と飛躍的に成長している。
*自然派化粧品のうち、原料としてオーガニックで栽培された植物を中心に採用し、化学合成成分はできるだけ排除しているもの
・大手アロマ関連企業では、精油を使用した自社ブランドの化粧品開発・販売を成長分野として注力している。
・精油と基材を使用したアロマトリートメントをスキンケア提案の中心としていたアロマ専門店でも、精油と基材をあらかじめブレンドした化粧品の開発が進められている。「より手軽に、簡単にアロマを楽しみたい」というニーズの高まりがここでも示されている。

アロマ入浴剤市場(191億円)
[対象] 天然の精油が配合されている入浴剤

・アロマ入浴剤市場は前回比120%と堅調に推移。入浴剤市場全体が765億円*と推計されているため、その25%をアロマ入浴剤が占めていることになる。
*「トイレタリー市場の展望と戦略2015版」をもとに推計
・トップシェアは大手トイレタリーメーカーで、約3割のシェアを占めていると推定される。入浴のリラックス効果を高めるものとしてアロマに着目した商品開発が行われている。
・自然派化粧品メーカーの入浴剤は、ギフト需要への訴求で成功。アロマの効用よりも香りを楽しむことに主眼を置いている。

アロマ衣類洗剤市場(600億円)
[対象] 天然の精油が配合されている衣料用液体洗剤、柔軟剤

・アロマ衣類洗剤市場のうち、「柔軟剤」が585億円を占め、前回比115%とやや拡大している。
・大手トイレタリーメーカー各社は、アロマを訴求した商品を相次いで投入しており、競合状況も激化している。

アロマ芳香剤市場(508億円)
[対象] 天然の精油が配合されている室内芳香剤、衣類・布製品消臭剤

・アロマ芳香剤市場のうち、「室内芳香剤」が492億円を占め、前回比203%と2倍以上市場が拡大している。
・芳香に消臭をプラスした芳香消臭用品が主流となっており、精油など天然のほのかな香りを発するものへのニーズが高まっている。

アロマ住居用洗剤市場(1億円)
[対象] 天然の精油が配合されている住居用洗剤

・今回対象としたのは大手トイレタリーメーカーの3製品。まだ商品も少なく、これから伸長が期待される市場である。

アロマ加湿器・空気清浄機等市場(118億円)
[対象] アロマ専用ではないが、アロマも使用できる加湿器・空気清浄機

・アロマ加湿器・空気清浄機等市場は前回比103%と堅調に推移している。うち、「アロマ空気清浄機」が53億円と4割強を占めている。
・アロマ加湿器はパーソナル化・小型化が進行。オフィスなど乾燥が気になる環境下で自分だけの香りを楽しみながら使う女性ユーザーが増えており、年間を通じて一定の需要を獲得できるようになってきている。

その他アロマ製品市場(15億円)
[対象] 天然の精油が使われているアロママスク、防虫剤等

・「アロママスク」が11億円と市場の約7割を占めていると推計される。喉のケアや花粉症の時季のすっきり感など、ニーズが広がっており、今後市場の拡大が見込まれる。

3. アロマ市場の今後の展望 ~多角的展開による市場活性化と競争の激化~

・香りを楽しむライフスタイルは着実に浸透しており、ユーザーの裾野の広がりとともに「より簡単に手間なくアロマを楽しみたい」というニーズが高まっている。生活用品に天然の精油を取り入れ、簡単に香りを楽しめる「精油配合製品等市場」が大きく伸長していることからも、そういった生活者の傾向が顕著になっており、今後ますます需要が拡大していくものと思われる。
・安心・安全への意識や品質の向上はアロマ市場においても重視されてきており、精油を配合した「オーガニック化粧品」や国産の「和精油」への注目がさらに高まっていくものと考えられる。
・まだ市場規模は小さいが、「アロマ空間サービス」が商業施設やオフィスビルからパブリックスペースまで広がりを見せており、さらなる市場拡大が見込まれている。
・今後もさまざまなメーカーの市場参入が予想されることから、市場の活性化とともに、競争の激化が進むものと考えられる。


「(公社)日本アロマ環境協会(AEAJ)調べ」

<調査概要>
調査期間: 2016年6月~8月
調査対象:
 AEAJをはじめとするアロマ関連団体およびその会員企業
 アロマ関連商材・サービスを取り扱っている事業者
調査方法: 郵送アンケート調査(有効回答:167社)、訪問・電話ヒアリング調査(67社)
※アロマ市場は多岐にわたるため、その規模を画一的な方法で推計することは困難であることから、本調査では、アロマ市場を10市場に分類。それぞれの特性をふまえて最適な方法を検討し、事業者への郵送アンケート調査と訪問・電話ヒアリング調査に加え、売上データなどの既存資料を補完的に活用するなど、より実態に即した調査方法で実施

詳しいリサーチ内容はネタ元へ
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[日本アロマ環境協会]
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