不動産私募ファンドに関する実態調査 2016年7月 

2016年09月02日
三井住友トラスト基礎研究所は、2003年より不動産投資市場調査の一環として、「不動産私募ファンドに関する実態調査」を行っている。本調査は今回で22回目となり、54社の不動産運用会社から回答を得た。

調査対象:国内不動産を対象に不動産私募ファンドを組成・運用している不動産運用会社
アンケート送付先数:108社
回答社数:54社(回収率:50.0%)
調査時期:2016年7月~8月
調査方法:郵送およびEメールによる調査票の送付・回収

上記アンケート結果およびヒアリング・公表情報をもとに、当社では、2016年6月末時点の不動産私募ファンドの市場規模(運用資産額ベース)を15.5兆円と推計した。この数値は、当社が把握しているグローバルファンド(※)の国内不動産運用資産額を含めている。前回調査(2015年12月末時点)の運用資産額(14.8兆円)から約6,600億円(4.4%)増加し、2013年1月調査以降減少傾向にあった国内不動産私募ファンドの市場規模は、4年ぶりに増加に転じた。

(※)グローバルファンド・・・日本以外の国も投資対象とするファンドとして、当社が定義

<不動産私募ファンドの市場規模は、グローバルファンドを含めて15.5兆円と推計>

・2016年6月末時点での不動産私募ファンドの市場規模を、運用資産額ベースで約15.5兆円と推計した(グローバルファンド(※)による国内運用資産額を含む)。前回調査(2015年12月末時点)から約6,600億円増加し、2013年1月調査(2012年12月末時点)以降減少傾向にあった国内不動産私募ファンドの市場規模は、4年ぶりに増加に転じた。

・運用資産額が増加した運用会社数が、減少した運用会社数を大きく上回り、全体として前回推計結果から約4.4%増加した。ここ数年外資系運用会社を中心に物件売却を進めてきた動きが一服し、積極的な物件取得活動により取得が売却を上回り、資産規模が増加した運用会社が多いものと思料する。

・日銀のマイナス金利政策導入後初の調査となったが、デット資金の調達環境に関しては、これまでの調査においても極めて良好であると捉える運用会社が大半を占めており、今回調査でも大きな変化はみられなかった。一方、エクイティ投資家の投資意欲に関しては、「高くなっている」との回答割合が4期ぶりに増加に転じ、マイナス金利政策によりエクイティ投資家の不動産への投資意欲が高まったと考える運用会社が一定数あることがわかった。

・オープンエンド型私募ファンド(いわゆる私募REIT)への取り組み状況に関する調査では、14社が既に運用を開始していると回答した。また、今後のオープンエンド型私募ファンド市場の発展に必要な内容についての調査では、「ファンドに投資する投資家層の拡大」との回答数が最多となり、前回(2016年1月)・前々回(2015年7月)調査で最多回答であった「銘柄数や資産規模の拡大」を上回った。私募REITの市場規模が一定程度拡大してきており、規模だけでなく質の安定を目指していく第二ステージに入りつつある状況ともいえる。


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[三井住友トラスト基礎研究所]
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