生活意識に関するアンケート調査(第73回) 

2018年04月05日

日本銀行では、政策・業務運営の参考とするため、本支店や事務所を通じた広報活動のなかで、国民各層の意見や要望を幅広く聴取するよう努めており、その一環として、1993年以降、全国の満20歳以上の個人4,000人を対象に「生活意識に関するアンケート調査」を実施しています。この調査は、日本銀行が別途行っている「企業短期経済観測調査(短観)」のような統計調査とは異なり、生活者の意識や行動を大まかに聴取する一種の世論調査です。

調査結果


1-1. 景況感等

1-1-1. 景況感
景況感のうち、現在(1年前対比)については、「良くなった」との回答が増加したものの、「悪くなった」との回答も増加したことから、景況感D.I.は若干悪化した。先行き(1年後)については、「良くなる」との回答が増加したことから、景況感D.I.は若干改善した。
なお、現在の景気水準については、「良い」、「どちらかと言えば、良い」との回答の合計が増加し、「悪い」、「どちらかと言えば、悪い」との回答の合計も増加した。

1-1-2. 景況判断の根拠
景況判断の根拠については、「自分や家族の収入の状況から」との回答が最も多く、次いで「勤め先や自分の店の経営状況から」、「商店街、繁華街などの混み具合をみて」といった回答が多かった。

1-1-3. 金利水準
金利水準についての見方は、「金利が低すぎる」との回答が増加し、「金利が高すぎる」との回答が減少したことから、金利水準D.I.はマイナス幅が拡大した。

1-2. 暮らし向き、消費意識

1-2-1. 現在の暮らし向き
現在の暮らし向き(1年前対比)については、「ゆとりが出てきた」との回答が減少し、「ゆとりがなくなってきた」との回答が増加したことから、暮らし向きD.I.は悪化した。

1-2-2. 収入・支出
収入については、実績(1年前対比)は、「減った」との回答が減少したものの、「増えた」との回答も減少したことから、現在の収入D.I.は横ばいとなった。先行き(1年後)については、「増える」との回答が減少し、「減る」との回答が増加したことから、1年後の収入D.I.はマイナス幅が拡大した。

支出については、実績(1年前対比)は、「増えた」との回答が減少したことから、現在の支出D.I.はプラス幅が縮小した。先行き(1年後)は、「増やす」との回答が増加したことから、1年後の支出D.I.はマイナス幅が若干縮小した。

1年前と比べて、支出を増やしたものについては、「食料品」との回答が最も多く、次いで「家電」、「保健医療サービス」が多かった。
1年前と比べて、支出を減らしたものについては、「外食」との回答が最も多く、次いで「旅行」、「衣服、履物類」が多かった。

今後1年間の支出を考えるにあたって特に重視することは、「収入の増減」との回答が最も多く、次いで「今後の物価の動向」、「余暇・休暇の増減」といった回答が多かった。
商品やサービスを選ぶ際に特に重視することは、「価格が安い」との回答が最も多く、次いで、「安全性が高い」、「長く使える」、「信頼性が高い」、「機能が良い」といった回答が多かった。

1-2-3. 雇用環境
1年後を見た勤労者(注)の勤め先での雇用・処遇の不安については、「あまり感じない」との回答が増加したことから、雇用環境D.I.は若干改善した。
(注)勤労者:会社員・公務員(会社役員を含む)およびパート・アルバイトなど。

1-3. 物価に対する実感

1-3-1. 現在の物価
現在の物価(注1)に対する実感(1年前対比)は、『上がった』(注2)との回答が増加した。
1年前に比べ、物価は何%程度変化したかについて、具体的な数値による回答を求めたところ、平均値は+5.8%(前回:+4.5%)、中央値は+5.0%(前回:+3.0%)となった。
(注1)「あなたが購入する物やサービスの価格全体」と定義。
(注2)『上がった』は「かなり上がった」と「少し上がった」の合計。

1-3-2. 1年後の物価
1年後の物価については、『上がる』(注)との回答が減少した。
1年後の物価は現在と比べ何%程度変化すると思うかについて、具体的な数値による回答を求めたところ、平均値は+4.5%(前回:+4.3%)、中央値は+3.0%(前回:+3.0%)となった。
(注)『上がる』は「かなり上がる」と「少し上がる」の合計。

1-3-3. 5年後の物価
5年後の物価(注1)については、『上がる』(注2)との回答が減少した。
これから5年間で物価は現在と比べ毎年、平均何%程度変化すると思うかについて、具体的な数値による回答を求めたところ、平均値は+4.0%(前回:+3.9%)、中央値は+2.0%(前回:+2.0%)となった。
(注1)消費税率引上げの影響を除くベース。
(注2)『上がる』は「かなり上がる」と「少し上がる」の合計。

1-3-4. 物価上昇・下落についての感想
1年前と比べて物価が『上がった』(注1)と答えた人(7割台前半)に、その感想を聞くと、約8割の人が「どちらかと言えば、困ったことだ」と回答した。
1年前に比べて物価が『下がった』(注2)と答えた人(2.2%)に、その感想を聞くと、「どちらかと言えば好ましいことだ」との回答が4割台後半、「どちらかと言えば、困ったことだ」との回答が2割台後半となった。
(注1)『上がった』は「かなり上がった」と「少し上がった」の合計。
(注2)『下がった』は「かなり下がった」と「少し下がった」の合計。

1-4. 先行きの地価動向

先行きの地価については、「上がる」との回答が減少したことから、地価見通しD.I.はマイナス幅が拡大した。

1-5. 日本経済の成長力

日本経済の成長力については、「より低い成長しか見込めない」との回答が減少したことから、経済成長力D.I.はマイナス幅が縮小した。

1-6. 日本銀行の金融政策に関する認知度

日本銀行が、消費者物価の前年比上昇率2%の「物価安定の目標」を掲げていることについては、「知っている」との回答が3割弱となった。
積極的な金融緩和を行っていることについては、「知っている」との回答が3割弱となった。
「長短金利操作付き量的・質的金融緩和」を行っていることについては、「知っている」との回答が1割台後半となった。

1-7. 税金や年金保険料の支払い方法に関する認知度等

1-7-1. 税金や年金保険料の支払い方法の認知度
税金や年金保険料の支払い方法の認知度については、「金融機関の窓口」との回答が最も多く、次いで「口座振替」、「コンビニ、スーパーでの支払い」が多かった。

1-7-2. ペイジー(Pay-easy)の利用状況
「ペイジー(Pay-easy)を知っている」と答えた人(8.5%)の中で、「ペイジー(Pay-easy)を利用したことがある」との回答は、2割台後半となった。「ペイジー(Pay-easy)を利用したことがない」と答えた人に、その理由を聞くと、「自分で税金や年金保険料を支払う機会がないから」、「コンビニ、スーパーや金融機関に行く用事がありそのときにあわせて支払っているから」との回答が多かった。

1-8. 家計の決済行動

日常生活の支払いに現金を使う理由については、「その場で支払いが完了する」、「多くの場所で利用できる」との回答が多かった。

調査概要


調査実施期間:2018年2月8日~3月6日
調査対象:全国の満20歳以上の個人
標本数:4,000人(有効回答者数2,092人<有効回答率52.3%>)
抽出方法:層化二段無作為抽出法
調査方法:質問票によるアンケート調査(郵送調査法)

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