インプレスのシンクタンク部門であるインプレス総合研究所は、電子書籍市場の動向を調査し、電子書籍に関する調査結果を発表いたします。また、本調査結果の詳細は、新産業調査レポート『電子書籍ビジネス調査報告書2018』として発行。

本調査は、「出版社」「電子書籍ストア」「取次事業者」「通信事業者」「ポータルサイト」「コンテンツプロバイダー」「インターネット広告事業者」等の主要な電子書籍関連事業者へのヒアリング調査、ユーザーへのアンケート等を分析したものです。なお、本調査報告書は電子書籍ビジネス黎明期の2003年に第1号目を発行し、今年で16年目を迎えます。

調査結果


■2017年度の電子書籍市場規模は前年比13.4%増の2241億円、電子雑誌市場規模は前年比4.3%増の315億円

2017年度の電子書籍市場規模(※1)は2241億円と推計され、2016年度の1976億円から265億円(13.4%)増加しています。電子雑誌市場規模(※2)は315億円(対前年比4.3%増)と推計され、電子書籍と電子雑誌を合わせた電子出版市場は2556億円になりました。2018年度以降の日本の電子出版市場は今後もゆるやかな拡大基調で、2022年度には2017年度の1.4倍の3500億円程度になると予測されます。

※1 電子書籍の市場規模の定義:電子書籍を「書籍に近似した著作権管理のされたデジタルコンテンツ」とし、配信された電子書籍(電子書籍、電子コミック等)の日本国内のユーザーにおける購入金額の合計を市場規模と定義。購入金額には、個々単位の販売に加え、月額課金モデル、月額定額制の読み放題、マンガアプリの課金を含む。ただし、電子雑誌、電子新聞や、教科書、企業向け情報提供、ゲーム性の高いもの、学術ジャーナルは含まない。また、ユーザーの電子書籍コンテンツのダウンロード時の通信料やデバイスにかかわる費用、オーサリングなど制作にかかわる費用、配信サイトにおける広告も含まない。

※2 電子雑誌の市場規模の定義:電子雑誌を、紙の雑誌を電子化したものやデジタルオリジナルの商業出版物で逐次刊行物として発行されるものとし、日本国内のユーザーにおける電子雑誌の購入金額の合計を市場規模と定義。購入金額には、個々単位の販売に加え、定期購読、月額課金モデル、月額定額制の読み放題を含む。ただし、学術ジャーナル、企業向け情報提供、ゲーム性の高いものは含まない。また、ユーザーの電子雑誌コンテンツのダウンロード時の通信料やデバイスにかかわる費用、オーサリングなど制作にかかわる費用、配信サイトにおける広告、コンテンツ中の広告も含まない。

■2017年度の電子コミック市場規模は1845億円に増加、コミックが市場の8割を占める

2017年度の電子書籍市場規模のうち、コミックが前年度から228億円増加の1845億円(市場シェア82.3%)、文字もの等(文芸・実用書・写真集等)が同37億円増加の396億円(同17.7%)となっています。

■有料電子書籍利用率は17.7%、昨年比+0.1ポイントで横ばい

モバイル(スマートフォン・タブレット)ユーザーに対して、電子書籍の利用率を調査したところ、有料の電子書籍利用率は17.7%となり、昨年から横ばいとなりました。一方で、「無料の電子書籍のみを利用している」は23.3%となり、昨年からは0.5ポイント増加しています。

有料電子書籍の利用率が高いのは男性30代の22.9%、女性30代の22.6%、男性20代の21.7%、男性40代の20.2%であり、男女とも30代の利用率が最も高い。最も低いのは女性60代以上の7.9%、次いで女性10代の9.6%で、高齢者ほどデジタルコンテンツ全般に詳しくないことと、自由に使えるお金が限られている若年層での利用率が低いです。

なお、利用率はほぼ横ばいとなりましたが、ベースとなるスマートフォンユーザーは増加していることからスマートフォンでの電子書籍ユーザーは引き続き拡大しています。 

■2017年度の無料マンガアプリ広告市場は100億円、2018年度は120億円に拡大

無料でマンガを読めるアプリやサービスの利用が拡大しています。無料マンガアプリの利用率は前年比0.8ポイント増の28.4%、2017年度の無料マンガアプリ広告市場規模は100億円になりました。また、2018年度は1.2倍の120億円程度に達すると予測しています。

無料マンガアプリの利用頻度は、「1日に1回以上」が36.1%、「週に1回以上」利用するユーザーは合計で69.1%と高い結果となっており、利用頻度は昨年度調査よりも高まっています。

利用している無料マンガアプリやサービス名は、「LINEマンガ 無料連載」(26.9%)、「少年ジャンプ+」(19.7%)、「comico」(17.9%)、「ピッコマ」(13.8%)、「マンガワン」(13.6%)、「pixivコミック」(12.5%)の順となっています。

調査概要


■電子書籍の利用率調査
調査対象 :コロプラ スマートアンサーの保有するモニター
有効回答数 :12,040サンプル
サンプリング :性年齢階層別スマートフォンでのインターネット利用人口構成比(総務省 通信利用動向調査)に可能な限り整合するように抽出。ただし、年代により回収率が異なっており母集団との乖離がみられるため、比重調整を行った上で分析している
調査手法 :スマートフォン・タブレットのアプリ上でのアンケート
調査期間 :2018年6月22日(金)~6月29日(金)

■有料電子書籍利用実態調査
調査対象 :上記の利用率調査で有料の電子書籍を利用していると回答した人
有効回答数 :1,477
調査手法 :スマートフォン・タブレットのアプリ上でのアンケート
調査期間 :2018年6月29日(金)~7月3日(火)

■無料マンガアプリ/サービス利用実態調査
調査対象 :上記の利用率調査で無料マンガアプリ/サービスを利用していると回答した人
有効回答数:1,083
調査手法 :スマートフォン・タブレットのアプリ上でのアンケート
調査期間 :2018年6月29日(金)~7月3日(月)

詳しいリサーチ内容はネタ元へ
[インプレス]
 マイページ TOP