種子・苗市場に関する調査 

2018年11月12日

矢野経済研究所は、国内における農作物の種子、及び苗市場を調査し、市場現況、参入企業の動向、および将来展望を明らかにした。

<種苗市場とは>
本調査における種苗市場とは、国内の農作物用の種子・苗をさし、野菜類、果樹類、穀物類、花卉類、その他芝類、飼料用作物などを対象とする。

<市場に含まれる商品・サービス>
農作物用の種子・苗(野菜類、果樹類、穀物類、花卉類、その他芝類、飼料用作物など)

1.市場概況

2017年度の国内総種苗市場規模はメーカー出荷金額ベースで、前年度比99.6%の2,363億円、このうち、種子市場は前年度比98.7%の1,252億円であった。日本の農業は、就農人口及び作付面積の減少と休耕地の増加、就農者の高齢化及び後継者不足などの影響により、種子市場は微減傾向で推移している。

一方、2017年度の苗市場は前年度比100.7%の1,111億円で、野菜類、花卉類等の農業園芸分野では省力化、機械播種化が進み、接ぎ木苗※1、セル苗※2、メリクロン苗※3等の増加が目立ってきている。

種苗業界は多段階で重層的な構造をなしており、①ほとんどの作物品種を網羅し、全国展開している総合生産卸会社、次いで②準大手種苗メーカー、③競争力のある特定品目については自社で育種・生産販売しているものの、他の品目については他社から仕入販売をしている中小生産卸会社、④育種や生産には携わらず、卸や小売に特化している多くの種苗卸小売会社で構成されている。

生産卸段階では、歴史的には野菜の主産地形成に伴う種苗の大量流通化や、産地間競争に伴う高品質種苗への要望の高まり、さらに種苗関連技術(育種、精選・調整・消毒・加工、袋詰、保管等)の高度化などの流れのなかで、資金的にも技術的にもこれに耐えうる種苗事業者による市場寡占化が進んでいる。

2.注目トピック

2018年4月主要農作物種子法が廃止に~今後の育種・種子生産・供給への不透明感が広がる~
主要農作物種子法は、戦後の食糧増産という国家的要請を背景に、国・都道府県が主導して、優良な種子の生産・普及を進める必要があるとの観点から1952年(昭和27年)に制定され、食糧の安定供給の一助となってきた。

長年に亘る育種や研究により、種子生産者の技術水準の向上は十分に図られ、種子品質は安定してきている。こうした中にあって、多様なユーザーニーズに対応するためには、むしろ民間ノウハウも活用し、品種開発を強力に進める必要があるが、現状では公的機関の開発品種が殆どを占める。こうしたなか、都道府県による種子開発・供給体制を生かしつつ、民間企業との連携により種子を開発・供給することが必要との政策判断から、同主要農作物種子法は2018年4月に廃止された。

一方で、今後の国と都道府県の役割や民間企業との連携の在り方・方向性について、具体的方策などが業界関係者、引いては一般消費者に明示されない中で、主要農作物種子法が廃止されたことに対して、民間事業者・育種研究者も含め、主要農作物種子法対象の米、麦類、大豆に関して、今後の価格高騰への懸念や、育種・種子生産・供給体制に対する不透明感もある。

3.将来展望

2018年度以降も野菜、花卉、果樹、穀物ともに作付面積は若干ずつではあるが減少傾向が継続していくと考える。一方、市況により価格変動の大きい農作物と異なり、種苗市場は比較的価格が安定している。ペレット種子などの加工種子や接ぎ木苗、メリクロン苗等の増加などの付加価値要因もあり、今後とも横ばい、あるいは微増傾向で推移し、2022年度の国内総種苗市場規模はメーカー出荷金額ベースで、2,388億円を予測する。

※1 接ぎ木苗とは、地下部の根の台木と地上部の茎葉の穂木を接ぎ合わせした苗のこと。双方の性質の長所を持ち合わせ、連作障害や病害虫に強く、生産性に優れた、育てやすい苗ができる特徴がある。なお連作障害とは、同じ土で同じ種類の野菜を何度か育てると次第に育ちが悪くなることである。
※2 セル苗とは、小さいくさび形のポットが連結して並んでいる育苗パネルを用いて生産した苗のこと(セル成型苗ともいう)。現在野菜や花卉の移植栽培の多くの場面でセルトレイが活用されており、例えばレタスやキャベツなどの葉菜類ではセル成型苗用の定植機が開発され、セルトレイから苗を抜き取って植付けるまでの作業を自動的に行うことができるようになり、野菜生産における省力化に貢献している。
※3 メリクロン苗とは、新しい芽の中から1ミリくらいの生長点を取り出し、無菌の培養基の中で増やす方法で生産された苗のこと。無菌的に培養・増殖された苗を意味しており、この技術によって、品質差のない同質の苗を大量に生産することができる。

調査概要


調査期間: 2018年4月~9月
調査対象: 種苗メーカー、種苗関連業界団体・官公庁等
調査方法: 当社専門研究員による直接面談、電話・e-mail等によるヒアリング調査および文献調査併用

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