国内AR/VR市場 企業ユーザー調査(企業にフルタイムで勤務する20~69歳の男女対象) 

2019年02月13日

IT専門調査会社 IDC Japanは、国内の企業にフルタイムで勤務する20~69歳の男女1,000名を対象に、Webアンケート方式で実施した「2018年 国内AR/VR市場 企業ユーザー調査」の結果について発表しました。

VR(Virtual Reality, 仮想現実)をビジネスで利用しているとの回答は全体の3.3%であり、前回(2017年)の2.7%より増加しており、トレーニング分野や不動産の内覧などの分野での利用が拡大している現状を反映した結果となりました。しかし今後VRを利用する意向であるとした割合は減少しており、VRの現利用者と今後の意向者も含めた割合は2017年とほぼ同様の状況にあります。業種別でみると、情報通信業に続いて製造業でのVRの利用が盛んという結果になりました。VR技術の利用目的については、現利用者では技術研究に続いて「動画コンテンツの開発/個人向け販売」が高く、昨今のVTuberブームなどを裏付ける動向となっているのに対し、今後のVR利用を検討しているケースではマーケティング用途での利用が高く、依然としてこの分野でのVRのニーズが高いことがうかがわれます。

他方、AR(Augmented Reality, 拡張現実)のビジネス利用は現在の利用者(2.1%)、今後の利用意向者(6.3%)ともに前回調査(それぞれ2.3%、6.5%)を下回っており、厳しい現状にあることがうかがえます。業種別では、情報通信業や製造業での採用がやや活発です。利用用途を見ると、ARではビジネスでの現在利用者、意向者の両方で「ARコンテンツ開発環境の開発と販売」に分類されるものが多く、実際の業務での活用は「遠隔業務支援/テレワーク」などにとどまっています。2019年は新しいタイプのARヘッドセットが多数登場することが期待されるためで、今後の伸びが期待されます。

また、現段階ではAR/VRを自社ビジネス利用していないとした回答者に、AR/VRの自社ビジネス利用での阻害/懸念要因をたずねたところ、VRではHMDの価格、ARではAR自体の消費者への普及等を挙げる声がトップとなり、いずれもAR/VRの一般化には価格の低廉化とそれに伴うより広い層へのリーチが課題であることが浮かび上がりました。2018年はOculus Goなどのコストパフォーマンスに優れた製品が多く発売されましたが、AR/VRの一般化に向けての価格の障壁は依然として根強いことがうかがわれます。また、従来VRの懸念材料であった「VR酔い」は下位に後退しており、ソフトウェアやコンテンツ開発上のノウハウの蓄積がVR酔いの抑止に貢献していると推定されます。

ただし、AR/VRをそれぞれ自社ビジネスにすでに利用/採用している層のこれらの技術に対する今後の投資意向は堅調であり、いずれも約4割が投資を増やすと回答しています。その点においては、AR/VRを現在すでにビジネスで採用している層がその利活用を加速させていく一方で、AR/VRの利用を行わない層は現在のままの水準でとどまるため、AR/VRをめぐるリテラシーの格差は今後拡大する可能性があります。

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[IDC Japan]
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