歯科機器・材料市場に関する調査 

2019年04月16日

矢野経済研究所は、国内の歯科機器・材料市場を調査し、製品セグメント別の動向、参入企業動向、将来展望を明らかにした。

<歯科機器・材料市場とは>
本調査における歯科機器・材料市場とは、歯科診療所・病院、歯科技工所で使用されるクラスⅠ~Ⅳまでの医療機器・材料に加えて、一部の医薬品、医薬部外品を対象として算出した。但し、医薬品、医薬部外品はメーカー、卸、通販等の歯科診療所・病院、歯科技工所専門の流通を経由する製品であり、ドラッグストア等で販売されるコンシューマー向け流通製品は含まない。
歯科機器(チェアユニット[診察台]、パワーユニット、光重合レジン照射器、超音波スケーラー、デンタルX線装置、パノラマX線装置、X線CT、デジタル画像システム、マイクロスコープ、歯科用レーザ、高圧蒸気滅菌器、電子カルテ/医事会計システム、根管治療器具、CAD/CAMシステム)、歯科材料(複合レジン、ボンディング材、各種アイオノマーセメント、義歯床用材【アクリル系レジン・裏装材】、各種レジン歯、オールセラミックス、歯冠用硬質レジン、切削修復用レジン材料、金属焼付ポーセレン、接着用レジンセメント、各種印象材料、埋没材、硬質石膏、各種歯科用金属等)、歯科薬品(局所麻酔剤、フッ素物洗口材、歯周療法剤、ホワイトニング材)、歯科インプラント関連(再生医療製品含む)、予防歯科関連製品(歯ブラシ、歯間ブラシ、電動歯ブラシ、洗口液、歯磨き剤、食品[ガム・タブレット]、PMTC関連製品、フロス、家庭用フッ素塗布ジェル、義歯洗浄剤、水流式口腔洗浄器、義歯ブラシ)等54項目を対象とした。

<市場に含まれる商品・サービス>
歯科機器、歯科材料、歯科薬品、歯科インプラント関連、予防歯科関連製品

1.市場概況

 2017年度の国内歯科機器・材料市場規模(販売元出荷金額ベース)を前年度比2.2%増の2,700億31百万円と推計した。品目別に市場をみると、歯科機器は1,028億8百万円(前年度比1.1%減)、予防歯科関連製品が210億8百万円(同4.7%増)、歯科材料は1,187億50百万円(同5.4%増)、歯科薬品は64億37百万円(同0.8%増)、歯科用インプラント関連は210億27百万円(同0.6%減)であった。
修復などに用いられるCAD/CAMシステムや肉眼よりも緻密な治療が行えるマイクロスコープ、X線CTといった新しい技術が保険診療となる中で、その関連製品・材料が順調な伸びを見せている。また、患者の口腔ケアの認識が高まっている背景から予防歯科の分野についても拡大傾向が続いている。一方で、納入単価については歯科用金属を除き、前年度価格を下回る製品が多くみられた。

2.注目トピック

通販系企業の業績拡大
 歯科機器・材料を取り扱う通販系企業は、マスクや紙コップなどの比較的一般的な材料から技術志向の高いものまで幅広く取り扱うようになっている。これらの企業の中には、保険適用を受けた切削修復(加工)用レジン材料を自社で申請、販売するほか、X線CT、歯科用レントゲンなど重医療機器の販売を開始した通販系企業もおり、従来の歯科機器・材料の流通システムに大きな変革をもたらしていると言える。
これらの流通変革については、歯科医が使用する医療材料の数量は極めて限られており、流通コストを考えると、通販の方がごく小ロットな需要のニーズに合致しているという背景がある。

3.将来展望

 2018年度の国内歯科機器・材料市場については、納入単価の下落の影響などから減少する見通しである。
厚生労働省の調査によると、国内の歯科診療患者数は年齢階級別の推計患者数の推移が64歳以下で減少傾向にある一方で、65歳以上(特に75歳以上)で患者の増加が著しく、各歯科診療所にとっては「治療中心型」の歯科診療から、「治療・管理・予防・医科連携」への転換が今後必要とされてくると考える。

調査概要


■調査期間: 2018年3月~7月
■調査対象: 歯科機器、歯科材料、歯科薬品、歯科インプラント関連、予防歯科関連製品の製造・販売元企業
■調査方法: 当社専門研究員による直接面接取材、電話によるヒアリング、ならびに文献調査併用

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[矢野経済研究所]
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