電力小売市場意識調査結果 2016 自由化直前編 

2016年02月26日
プライスウォーターハウスクーパースは、今春から電力の小売全面自由化が実施されることに先立ち、日本全国の一般家庭における消費者を対象に実施した「電力小売市場意識調査 2016 自由化直前編」の結果を発表しました(調査期間:2016年1月13日‐1月25日、Webによるアンケート形式、有効回答件数:1,100件)。

【主な調査結果】

「電力小売市場意識調査 2016 自由化直前編」

本調査の結果、月平均の電気料金が現在より安い電力会社を見つけた場合に、電力の購入先の変更を検討する消費者の割合は、現行電気料金より5%の割引率で7.0%であり1割に満たない結果となりました。さらに、10%の割引率では32.3%、15%の割引率では45.6%の消費者が変更を検討するという結果でした。

過去の調査結果(2013年‐2015年)と比較すると、電力購入先である電力会社変更の検討意識は、10%割引以上で上昇しています。これは、具体的な自由化メニューが発表されたことにより消費者がより安価な料金メニューを期待していることが考えられます。2015年と比較して、5%割引率で低下したポイント数が10%割引におけるポイントに上乗せされた形で拡大しており、数%程度の差額では消費者を変更させるのが難しいことがうかがえます。

これらに加えて、月額料金別の電力会社変更の検討意識は、料金が高額になるほど高い割引率を提示しないと変更しないことが読み取れます。これは1月に発表された料金メニューが高額消費者に対して優遇されているため、より高額な割引率のメニューの出現を期待しているのではないかと考えられます。

一方で、電力会社変更の決め手のうち「電気料金の低減」を除く上位5項目についての集計は、「料金プランのシンプルさ」、「サポート、アフターサービスが良い」、「料金プランの選択肢が多い」、「ポイント提携サービスがある」、「契約手続きが簡単にできる」の順番となり、各ポイント数は若干低下したものの2015年と比べて順位の変化はありませんでした。各ポイント数が低下した要因については、既存電気事業者からも新料金メニューが発表されたため、電力会社を変更せずに期待するサービスを享受する消費者が含まれたためと考えられます。

さらに、今回よりガス自由化におけるガス会社を変更する可能性についても調査を開始しました。全体の傾向としては、電気と同様となりましたが、10%以上の割引率において電気よりも変更の意向の割合が低い数値となっています。本来であれば、電気と同様に変更を検討することが考えられますが、ガスに関しては電気とのセット料金が先行して提示されていることや、そもそも具体的な料金メニューが提示されていないことから消費者の判断にばらつきが出たのではないかと考えます。

本調査は、当社内の専門組織「電力システム改革支援室」が、電力の小売全面自由化を前に、一般家庭における電力会社の乗り換えに関する意識を把握することを目的に実施したものです。2013年から4年連続で実施し、電力需要家の住環境、年齢、家族構成、世帯年収などの属性を背景として、「電力料金割引率」と「電力会社乗換率」に関する相関関係や、原子力発電を利用しない供給サービスへの関心、クリーンエネルギーのみによる供給サービスへの関心、電力小売自由化後の契約変更や契約変更ルート、料金メニューの利用意向などを調査しています。

2016年4月から電力の小売全面自由化が実施されることに先立ち、1月より各社から自由化向け料金メニューが発表され、事実上の小売自由化開始となりました。2月8日現在で、小売電気事業登録企業は169件に上っており、引き続き各事業者間の競争を意識した料金メニューが発表されることが見込まれ、今後消費者はさまざまな情報の中から選択を迫られることになります。


プライスウォーターハウスクーパース株式会社「電力小売市場意識調査結果 2016 自由化直前編」

【調査概要】
本調査は、電力の小売全面自由化を前に、一般家庭における電力会社乗り換えに関する意識を調査したものです。電力需要家の住環境、年齢、家族構成、世帯年収などの属性を背景として、電力料金割引率と電力会社乗換率に関する相関関係などを明らかにしています。
・調査期間: 2016年1月13日‐1月25日
・調査対象: 日本全国の一般家庭における消費者
・調査方法: Webによるアンケート方式
 男女均等割付
 20代、30代、40代、50代、60代以上の5段階で均等割付
 電力会社10社各社に対して110件ずつ割付
・有効回答件数: 1,100件(総配布件数: 142,270件、総回収件数: 6,836件)

詳しいリサーチ内容はネタ元へ
[PwC]
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