パーソナルデータの活用に関する一般消費者の意識調査(10代~60代男女対象) 

2016年11月22日
NTTデータ経営研究所は、「NTTコム リサーチ」登録モニターを対象に、「パーソナルデータの活用に関する一般消費者の意識調査」を実施しました。

これまで、SNS(ソーシャル・ネットワーキング・サービス)運営会社や大手ポイントカード会社などは、消費者からパーソナルデータ(個人に関わる情報)を用いて、顧客ターゲティング広告などのビジネスを行うなど、企業側がパーソナルデータを収集し、保有し、活用してきました。
しかし、企業などが、パーソナルデータを活用したビジネスを行う一方、消費者の意に沿わない活用の仕方によって、消費者は、インターネット上で欲しい情報にたどり着きにくくなることや不要な電話がかかってくることがありました。また、そればかりではなく、誤った情報による「格付け」などが行われ、消費者が損害を被ることすらあります。こうした中、欧米では、企業が顧客を管理するという従来の考え方から、消費者がパーソナルデータを企業から取り戻し、必要に応じて企業に情報提供し最適なサービスを得るといった、消費者が自ら企業との関係を管理する考え方へと転換がなされようとしています。

そこで、消費者主体でパーソナルデータをより安心安全に管理するとともに、パーソナルデータを活用することで、これまでにないサービスを消費者が享受することができる持続的な社会の実現に向けて、アンケートを実施し、「パーソナルデータに関する一般消費者の意識」を解明すべく分析を行いました。

【主な調査結果】

・企業が消費者のパーソナルデータを収集し、マーケティング活動や広告ビジネスなどに利用していることへの印象について、「知っており、不快である」及び「知らなかったので、不快である」の和が70.0%以上であるなど、多くの消費者が不快に感じている。

・趣味・嗜好、年齢・生年月日のパーソナルデータについては、74.0%以上の消費者が、金銭やポイント等の対価を得る条件でパーソナルデータを企業に提供しても良いと回答している。

・パーソナルデータを企業に提供する対価は、500円以上1,000円以下であるとの回答が最も多かった。

・利用ニーズについては、見守り安心・安全サービスの肯定計(「是非利用したい」と「どちらかと言えば利用したい」の和)が55.9%と最も利用ニーズが高かった。一方、人材マッチングサービスについては、否定計(「どちらかと言えば利用したくない」と「利用したくない」の和)が79.4%と最も利用ニーズが低かった。

・パーソナルデータを活用したいずれのサービスを見ても、利用したくないと回答した消費者の内45.0%以上は「自分の情報を知られたくない」、「情報漏えいした場合のリスクが怖い」と回答するなど、サービスそのものへの不満よりも企業による安心・安全なパーソナルデータの管理への課題があることが明らかになった。


【調査結果】

1. 企業が消費者のパーソナルデータを利用していることへの印象

◆企業が消費者のパーソナルデータを収集し、マーケティング活動や広告ビジネスなどに利用していることへの印象について、「知っており、不快である」及び「知らなかったので、不快である」の和が70.0%以上であるなど、多くの消費者が不快に感じている。

 企業が、WEB閲覧履歴や購入履歴などを収集した上で、マーケティング活動や広告ビジネスなどに利用していることへの印象については、「知っており、不快である」が48.9%と最も多く見られた。
 また、「知らなかったが、不快である」の回答が21.4%と2番目に多く、消費者は企業側がパーソナルデータをビジネス利用することについて不快感を持っている傾向が多かった。

2. 企業のマーケティング等の利用目的にて、パーソナルデータを企業に提供しても良いと思うデータの条件

◆趣味・嗜好、年齢・生年月日のパーソナルデータについては、74.0%以上の消費者が、金銭やポイント等の対価を得る条件でパーソナルデータを企業に提供しても良いと回答している。

 趣味・嗜好、年齢・生年月日については、74.0%以上の消費者が金銭や商品、ポイントなどを得られる場合に、企業側に個人を特定化又は匿名化したパーソナルデータを提供してもよいと回答した。また、この内パーソナルデータについては匿名化されることを条件に提供可能と回答している消費者の割合が高く見られた。
 一方、年収や金融資産(株、債券)、位置情報といったパーソナルデータについては、どのような条件であっても提供したくないとの回答が過半数以上見られた。

3. 企業のマーケティング等の利用目的にて、パーソナルデータを企業に提供する場合の対価

◆パーソナルデータを企業に提供する対価は、500円以上1,000円以下であるとの回答が最も多かった。

 いずれのデータにおいても個人を特定化又は匿名化したパーソナルデータを提供する対価は、500円以上1,000円以下と回答した割合が高く、趣味、嗜好以外のすべてのデータについては40.0%以上であった。特に住所、電話番号、病歴、年収、残高データについては、50.0%以上の消費者が、パーソナルデータを提供する対価を500円以上1,000円以下と回答している。
 一方、すべてのデータについて、対価としては低額な10円以下(5円未満および5円以上10円未満)の回答も一定割合見られた。

4.パーソナルデータを活用したサービスの利用ニーズ

◆利用ニーズについては、見守り安心・安全サービスの肯定計(「是非利用したい」と「どちらかと言えば利用したい」の和)が55.9%と最も利用ニーズが高かった。一方、人材マッチングサービスについては、否定計(「どちらかと言えば利用したくない」と「利用したくない」の和)が79.4%と最も利用ニーズが低かった。

 パーソナルデータを活用したサービスについて、見守り安心・安全サービス、電力・ガス最適提案サービス、各種申請手続き簡略化サービス、キャッシュバックサービス、就職支援サービス、商品レコメンドサービス、人材マッチングサービスの利用ニーズを調査した。
 高齢者等の心拍数や歩数、病歴、健康情報のパーソナルデータを活用し、見守り、不測の事態が発生した際に駆け付け対応ができるようなサービスが最も利用ニーズが高く、肯定計(「是非利用したい」と「どちらかと言えば利用したい」の和)が55.9%であった。
 一方、消費者の要望をシステムに登録すると、当該消費者のパーソナルデータを基に社会的信用度を分析し、ある程度信用力のあると判断された場合、個人や企業がその要望に対して機会提案をしてくれるマッチングサービスに関しては、否定計(「どちらかと言えば利用したくない」と「利用したくない」の和)が79.4%と利用ニーズが低い傾向にあった。

5. パーソナルデータを活用したサービスについて利用したくないと回答した理由

◆パーソナルデータを活用したいずれのサービスを見ても、利用したくないと回答した消費者の内45.0%以上は「自分の情報を知られたくない」、「情報漏えいした場合のリスクが怖い」と回答するなど、サービスそのものへの不満よりも企業による安心・安全なパーソナルデータの管理への課題があることが明らかになった。

 パーソナルデータを活用したいずれのサービスを見ても、利用したくないと回答した消費者の内45.0%以上は「自分の情報を知られたくない」、「情報漏えいした場合のリスクが怖い」との回答であった。自分自身のパーソナルデータを第三者に預ける、または流出するリスクに対して嫌悪感を抱いていると考えられる。また、いずれのサービスにおいて、そもそも「サービスに魅力を感じないから」と回答した人も一定数見られた。


【調査概要】
調査対象:NTTコム リサーチ クローズド調査(*1) 10代~60代の男女
調査方法:非公開型インターネットアンケート
調査期間:2016年8月16日~2016年8月19日
有効回答者数:1,059人

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[NTTデータ経営研究所]
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