生命保険領域における国内InsurTech市場に関する調査(2017年) 

2017年05月29日
矢野経済研究所は、国内のInsurTech(インシュアテック)市場の調査を実施した。

<InsurTech(Insurance Technology)および InsurTech(インシュアテック)市場とは>
InsurTech(インシュアテック)とは保険(Insurance)と技術(Technology)を掛け合わせた造語である。従来の生命保険会社では提供できなかった新たな保険商品・サービスの開発や業務の効率化・高度化などにおいてIT技術を活用して提供する生命保険関連サービスを意味する。
本調査におけるInsurTechは次のように分類し、「個人ごとの(健康増進型)保険商品の開発」「疾病管理プログラム」「AIやチャットボットなどを活用した保険見直しコンサルティングや保険相談サービス」「AIを活用したアンダーライティング(引受)の自動化」「受診勧奨から受診、異常告知を受けた場合における診療までのトラッキング」「アプリなどによる契約者および契約者の家族向けアフターサービス」「AIやBRMS(ビジネスルール管理システム)などを活用した支払査定の自動化」「インフラとしてのブロックチェーン※の活用」の8領域を対象とする。(※ブロックチェーンとは利用者同士をつなぐP2P(ピアツーピア)ネットワーク上のコンピュータを活用し、権利移転取引などを記録、認証するしくみ)
国内InsurTech市場規模は従来の生命保険会社が提供していなかった新しい保険商品・サービスの開発や業務の効率化・高度化をサポートするベンダーやベンチャー企業に焦点を当て、当該参入事業者の売上高ベースで算出している。

【調査結果サマリー】

◆ 2016年度の国内InsurTech市場規模は460億円の見込み
2016年度の国内InsurTech(インシュアテック)市場規模(参入事業者売上高ベース)は、460億円の見込みである。特にAIなどを活用した業務の効率化・高度化ソリューションが市場をけん引したほか、従来にはない生命保険会社による健康増進型保険や疾病管理プログラムの開発に向けたデータ収集などが進んでおり、徐々に盛り上がりを見せ始めている。

◆ 特にAIなどを活用した業務の効率化・高度化ソリューションが市場を牽引
2016年度は、特にAI(人工知能)などを活用した業務の効率化・高度化ソリューションが市場を牽引した。現在、引受査定や保険金・給付金の支払などの領域に限定してAIなどの導入が進んでおり、業務プロセス改革も併せて取組むことで成功事例も生まれている。2017年度以降も引き続き、AIなどを活用した業務効率化・高度化の範囲が広がっていくとみる。

◆ 健康増進型保険や疾病管理プログラムの開発が進むほか、APIの公開を含めベンチャー支援体制の整備などを背景に、2020年度には1,100億円に拡大すると予測
中央省庁や地方自治体が保有する公共データのオープン化が進むことで、健康増進型保険や疾病管理プログラムの開発が進むことが期待されるほか、特に現在、活発化する銀行API(Application Programming Interface)の公開に続く、保険領域におけるAPIの公開に向けた議論が進むとみる。更にベンチャー企業の育成・支援に向けた環境が徐々に整っていくと考える。こうしたことを背景に2020年度には1,100億円に達すると予測する。


【調査概要】
調査期間:2017年3月~5月
調査対象:国内の生命保険会社、少額短期保険事業者、SIer、InsurTechベンチャー企業等
調査方法:当社専門研究員による直接面談、電話・e-mailによるヒアリング、ならびに文献調査併用

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[矢野経済研究所]
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