国内医療用ディスポーザブル製品汎用品市場調査 

2018年10月15日

矢野経済研究所は、国内医療用ディスポーザブル製品汎用品市場を調査し、市場規模推移、セグメント別動向、参入企業別動向、将来展望を明らかにした。

<医療用ディスポーザブル製品 汎用品とは>
本調査における医療用ディスポーザブル製品汎用品とは、病院、クリニック、検査センター等で使用される単回使用の医療機器を指し、薬剤注入関連や輸液ライン、手術関連製品などを対象とした。注射針や翼状針などの針類、輸液などで使用される輸液セット、医療用フィルター、三方活栓や連結管など栄養ラインシステム、人工呼吸器・麻酔器で使用されるマスク、回路、ECG電極などが該当する。
但し、同じく単回使用のカテーテル、チューブ製品は含まない。

<市場に含まれる商品・サービス>
注射針、シリンジ、翼状針、留置針、生検針、輸液セット、延長チューブ、三方活栓、高カロリー輸液用カラバック、連結管、医療用フィルター、排液システム、酸素マスク・カニューラ、呼吸回路・麻酔回路、自動吻合器・縫合器(MIS)、尿バッグ、尿失禁装具・尿失禁デバイス、血液バック・輸血セット、自己血輸血システム、替刃メス、キット製品、インフューザー、真空採血管、血液ガス測定用採血キット、ECG電極、床ずれ防止パッド、Safety(安全機能付き)製品

1.市場概況

 医療用ディスポーザブル製品汎用品については、医療施設側のDPC(診療群分類包括評価)やSPD(院内物流管理システム)導入により適切な在庫管理が推進されることで、マイナスや横這いで推移している製品が一部あるものの、採用施設数と使用量の増加により、透析用留置針やサクション排液システム、酸素マスク・カニューラ、呼吸回路・麻酔回路、自動吻合器・縫合器、尿失禁デバイスなどで右肩上がりの状況が続いている。
 特に、針刺し事故防止や血液飛散防止、誤接続防止(閉鎖回路)などの感染防止対策製品であるSafety(安全機構付き)製品、排液処理システムなどの各種吸引製品、あるいは事務方を含む医療従事者の作業効率を向上させるキット化・セット化製品は今後も導入や使用量の増加が続く可能性が高い。
 2017年度の国内医療用ディスポーザブル製品汎用品市場(メーカー出荷金額ベース)は、前年度比2.1%増の2,479億6百万円となった。また、製品別にみると、全52製品中23製品で前年度実績を上回った。

2.注目トピック

単回使用医療機器(SUD)の「再製造」に関する制度がスタート
 厚生労働省は、2017年7月に再製造単回使用医療機器に係る制度の導入に関する施行規則等の改正等及び通知等を発出している。
これは、単回使用医療機器(SUD ; Single use device)使用後に「医療機器の製造販売業者」が回収し、検査・洗浄・滅菌等の処理(再製造)を行い、同一の使用用途の単回使用医療機器として再び製造販売する制度であるが、米国では既に制度として導入・確立されているため、日本国内でも導入する運びとなった。
2018年1月には単回医療機器再製造推進協議会が発足し、国内ではオリンパス株式会社や株式会社ホギメディカル、外資系では日本ストライカー株式会社、ジョンソン・エンド・ジョンソン株式会社など9社が参加しており、国の許認可後、2019年度中には再製造医療機器の販売開始を目指すと明らかにしている。

3.将来展望

 医療用ディスポーザブル製品汎用品については、日常的に使用される製品が多いため、使用機会も多くなり、医療従事者、患者双方の安全・感染管理を踏まえた上で、ディスポーザブル化が進み、注射針やシリンジなどは早くから対応がなされてきた。
 しかし、一方でディスポ化が進展していなかった分野もあり、呼吸器関連製品や排液を吸引し貯留する容器(バッグ)などはリユース製品の比率が依然高いが、近年徐々にディスポ化が進むことで市場は拡大傾向にある。高齢者人口が増加する中、リユース製品のディスポ化、および単回使用が徹底されることにより、今後も市場拡大が期待できるマーケットとなる見通しである。
 また、国の政策として地域包括ケアシステムの構築が推進されており、家庭内における介護体制、介護施設と家庭でのインフラ整備、診療報酬以外の補助制度の充実などの支援体制が整えば、医療用ディスポーザブル製品汎用品の在宅分野での需要が上乗せされる事が期待される。

調査概要


調査期間: 2018年4月~9月
調査対象: 医療機器メーカー(製造業・製造販売業)
調査方法: 当社専門研究員による直接面接取材、および電話取材、郵送アンケート併用

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[矢野経済研究所]
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