ディスプレイ市場に関する調査 

2019年03月19日

矢野経済研究所は、ディスプレイ業界を調査し、国内市場規模、関連業界の動向、将来展望を明らかにした。

<ディスプレイ市場とは>
総務省「日本標準産業分類」によると、ディスプレイ業は「主として販売促進、教育啓蒙、情報伝達等の機能を発揮させることを目的として、店舗、博覧会々場、催事などの展示等に係る調査、企画、設計、展示、構成、製作、施工監理を一貫して請負い、これら施設の内装、外装、展示装置、機械設備(音響、映像等) などを総合的に構成演出する業務」と定義されている。
本調査におけるディスプレイ市場規模は、広範な業務を手掛けるディスプレイ企業の事業者売上高ベースで算出した。

<市場に含まれる商品・サービス>
商業施設や展示施設(展示会・ショールーム等)、博覧会施設、文化施設(博物館・美術館・水族館等)、イベント・催事、娯楽施設(遊園地等)、公共施設(公園・モニュメント・サイン等)などの企画・基本設計、内装・設備工事、什器・制作物等のディスプレイ工事など

1.市場概況

ディスプレイ業界では、商業施設をはじめとする各種の環境空間、イベント等の総合プロデュースから、店装業、マネキン業、及びハード面を担当とする店舗用什器等の製造、内装工事まで手掛ける。大手企業においては、企画提案、基本設計、内装・設備工事に加え、施設の運営管理やメンテナンス業務(プロパティマネジメント含)まで事業領域を拡大している。一方、企業規模が小さくなると、特定の分野に業務を特化したり、大手企業の下請け的な存在の企業も多い。

2017年度の国内ディスプレイ市場規模(事業者売上高ベース)を前年度比101.3%の1兆5,600億円と推計した。2017年度はユーザ企業の業績が比較的好調で新装改装の需要が順調だったこと、東京オリンピック・パラリンピック関連や訪日外国人客によるインバウンド需要によるホテル・宿泊施設からの受注が活況であった。但し、2015年度からの3年間を通して、主要な大手ディスプレイ企業の売上高はほぼ横這い状態である。
また、ディスプレイ企業の対象は、商業施設や展示施設、文化施設、遊園地、各種イベントなど多岐に渡るが、なかでも百貨店や専門店などの商業施設を専門としている企業が多く、商業施設が全需要分野の約6割を占めるとみられる。ここ数年、商業施設のリニューアル等が多く、商業施設の受注が多い各社の売上高、受注件数は総じて増加している。2018年度の同市場規模(同ベース)は前年度比102.6%の1兆6,000億円の見込みである。

2.注目トピック

新たに注力する分野
ディスプレイ業界の参入企業各社では、従来からの主力業務とする各種施設の設計や内装・設備工事、展示会・イベントの企画、施工業務に注力するとともに、安定した収益基盤を目指して、とくに商業施設完工後の運営管理やメンテナンス業務(プロパティマネジメント含)へ注力する企業が多くなってきた。また、各種商業施設及びイベント関連の主力分野に今後も注力するのは勿論であるが、さらなる成長を期して商業施設には属さない新規施設などの開発や、新規顧客の開拓を目指している。東京オリンピック・パラリンピック関連や訪日外国人客の増加に対してホテルの新築・改装需要が旺盛であり、2020年までは当分継続する情勢であるが、その他、業界では、政府が主導する働き方改革に対応したオフィスづくりにも注目が集まっている。

3.将来展望

主要ディスプレイ企業は、品質管理・安全管理・環境対応の体制強化を図りながら、コストダウンとの両立を目指している。
ディスプレイ企業の業務はマンパワーの資質に帰属する要素が非常に強い中で、現状では大多数の企業が人材不足の悩みを抱えており、主要各社においてもほぼ全社がソフト、ハード、営業の各部門にわたる人材不足と、優れた人材の確保・育成を最重要課題としている。​また、業界構造的に低収益性の体質があり、大手の有力なディスプレイ企業では企画、設計、デザイン、制作、施工等における差別化と総合プロデュースにより付加価値を高めることで、収益性の向上を目指しているが、全般的にはまだ低収益性からは脱却されておらず、今後の課題である。

調査概要


調査期間: 2018年10月~12月
調査対象: ディスプレイ企業、その他の関連業界
調査方法: 当社専門研究員による直接面接取材、ならびに文献調査その他データ収集併用

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[矢野経済研究所]
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