2019年ゴールデンウィークの旅行動向調査(15歳以上79歳までの男女対象) 

2019年04月04日

JTBは、「ゴールデンウィーク(以下GW)<4月25日~5月5日の11日間>に1泊以上の旅行(帰省含む)に出かける人」の旅行動向の見通しをまとめました。

この調査は、2,060人(事前調査20,000人)から回答を得た旅行動向アンケート、JTBグループの販売状況、航空会社の予約状況、業界動向などから推計したもので、1969年に調査を開始して以来今年で51回目となります。調査結果は以下の通りです。

2019年GWの旅行人数、旅行平均費用、旅行消費額

(2019年GW/2018年GW)
●総旅行人数 2,467万人 +1.2% / 2,437万人 +0.8%
 ・国内旅行人数 2,401万人 +1.1% / 2,375万人 +0.6%
 ・海外旅行人数 66.2万人 +6.9% / 61.9万人 +6.5%

●国内旅行平均費用 36,800円 +1.7% / 36,200円 +1.7%
●海外旅行平均費用 268,000円 +1.5% / 264,000円 +2.7%

●総旅行消費額 10,610億円 +3.7% / 10,232億円 +3.4%
 ・国内旅行消費額 8,836億円 +2.8% / 8,598億円 +2.3%
 ・海外旅行消費額 1,774億円 +8.6% / 1,634億円 +9.4%

<社会経済環境と生活者の動き>

1.旅行やレジャー消費をとりまく社会や経済の環境

 5月1日、新天皇陛下の即位に伴い、元号が「令和」に変わります。新元号に込められた「心を寄せ合う中で文化が生まれ育つ」という意味合いは、人々に新しい時代の幕開けを感じさせ、自粛ムードに包まれた平成の時とは違い、街なかは歓迎ムードに包まれました。今年は、新元号で迎える初めてのGWで、皇位継承に伴いカレンダー上では10連休となります。

 足元の日本経済は緩やかな回復が続いています。懸念材料はあるものの、政府は3月の月例経済報を「輸出や生産の一部に弱さも見られるが、緩やかに回復している」とし、景気判断を据え置きました。雇用に関しては、2月の有効求人倍率は、1.63倍で前月と同水準で、完全失業率は前月比0.2ポイント低下の2.3%と改善していますが、上場企業の2019年3月期の決算は3期ぶりの減益が予測され先行きの不透明感はぬぐえません。

 日銀が実施している「生活意識に関するアンケート調査」(1月9日発表)によれば、現在の暮らし向きについては、「ゆとりがなくなってきた」は、昨年3月から連続して減少しています(図1)日常生活では、ガソリン代は前年並みですが(図2)、4月からは、乳製品や麺類など生活に身近な商品が値上げとなります。10月には消費増税が予定されていますが、食料品などへの軽減税率の設定や、プレミアム商品券など、影響の緩和のための様々な負担軽減策が検討されています。

 旅行については、JTBが実施した旅行動向アンケートにおける「今後1年間の旅行支出に関する意向」では、「支出を増やしたい)」が16.1%、「支出を減らしたい」は34.3%、「同程度」は、49.6% です。旅行支出の意向としては、様々な要因により先行きの不透明感があり財布の紐は固そうです(表2)。

2.GWはじめての10連休。旅行意欲は高く、複数回の旅行をする人が51.2%

 今年のGWは、暦上では4月27日(土)~5月6日(月・振)の10連休です。人々は、どのように10連休を過ごすのでしょうか。旅行動向アンケートで、休暇の取り方や、連休の過ごし方などについて聞きました。

(1) 旅行意向は昨年より1.1ポイント増加。複数回の旅行に行く人は51.2%
 期間中に帰省を含めて旅行に「行く(12.1%)」、「たぶん行く(14.2%)」と回答した人の合計は、26.3%となり、昨年より1.1ポイント増加しました(表3)。旅行に行く回数については、「国内旅行1回(45.2%)」が最多ですが、「国内旅行3回以上」が29.8%、「国内・海外旅行の両方」も4.5%ありました(図3)。一方、旅行に行かない理由では「GWは混雑する」「GWは旅行費用が高い」「家でのんびりしたい」が多く、この傾向は例年と変わりありませんでした(図4)。

(2) GWの休暇の予定は、「自分自身は10連休以上」が31.5%
 10連休の休暇がある人はどのくらいいるのでしょうか。自分の休暇と家族の休暇について聞いてみたところ、「自分も家族も10連休以上」は、21.7%、「自分は10連休以上だが家族は10連休未満」は、9.8%で、自分自身が10連休以上の休暇がある人は、合計で31.5%でした(図5)。

(3) 昨年と今年のGWの違いは、「昨年より収入が増えた」、「昨年より遠距離の旅行に行く」
 旅行に「行く」「たぶん行く」と回答した人に、「昨年と今年のGWの違い」を聞いたところ、「収入」については、「昨年より収入が増えた(18.1%)」が「昨年より収入が減った(16.3%)」より多くなりました。「旅行先」に関しては、「昨年より遠距離の旅行に行く」は、14.5%、「昨年より近距離の旅行に行く」は、7.1%です。また、「旅行日数を増やす」は15.2%、「旅行日数を減らす」は、3.7%でした。はじめてのGW10連休に関わる質問については、「今年は10連休なので旅行に行く」は8.3%。「10連休なのでいつもより早く(2018年中)に申込みをした」が3.2%、「10連休なのでいつもより早く(2019年1月~)に申込みをした」は3.8%と例年よりも早く申し込みをした人は合計7.0%でした。そのほか「10月に消費税が上がるのでGWに旅行に行っておこうと思う」2.2%、「10連休なのでクルーズ旅行に行こうと思う」0.6%などの回答もみられました(表4)。

(4) 改元の日前後の過ごし方では、「神社やお寺にお参りをする」が27.5%
 今年のGW10連休は皇位継承に伴うもので、GW期間中に平成最後の日となる4月30日、改元の日の5月1日があります。改元にちなんだ旅行やおでかけをすると答えた人にどのような内容か聞いたところ、「お参りをする(27.5%)」、「改元を記念したツアーに参加する(20.3%)」などが上位になりました(図6)。

<2019年GW旅行動向予測>

1.海外旅行人数は、66.2万人(前年比+6.9%)、一人あたりの旅行平均費用は、268,000円(前年比+1.5%)、出発日のピークは4月27日(土)と予測

 日本人の出国者数は2018年に1,895万人と過去最高を記録し、2019年に入ってからも、1月、2月は前年を上回って推移しています。燃油サーチャージは昨年と比較して低くなり、為替相場はGWの海外旅行申込時期にあたる昨年の秋から年明けにかけて緩やかに円高に推移し、旅行意欲を押し上げる要因にもなっていると考えられます。(表5、表6)。

 アンケートによると、「旅行日数」は、「3泊4日(17.6%)」、「4泊5日(17.6%)」が同率で多く、5泊6日以上はすべて前年より増加しています。長い休みを利用した中長距離旅行が増えそうです(表8)。「旅行先」では、「ハワイ」の人気は根強く、地域でみると「東南アジア」、「ヨーロッパ」が人気です(表10)。「同行者」は、「家族連れ(56.8%)が最も多く、中でも「夫婦のみ(23.6%)」は減少し、「子供連れ(中学生まで)(16.2%)」が増加しています(表11)。「一人当たりの予定費用」は、「20万円~30万円未満」が18.2%と最多ですが、「30万円~40万円未満(14.9%)」は前年より9.4ポイント増加しています(表14)。「出発予定日」はアンケートでは、4月26日(金)、4月27日(土)が多く、4月中の出発が多くなっています(図7)。出発日のピークは、航空会社の予約状況や、業界動向などから総合的に判断し、4月27日(土)と予測します。

 JTBの海外パッケージツアー「ルックJTB」の予約状況をみると、出発日のピークは、韓国や台湾などの近距離のアジアは、4月27日(土)~5月2日(休)の間に分散しており、ハワイ、グアムなどは、4月28日(日)、米国本土や欧州などの遠距離は4月27日(土)、28日(日)がピークになっています。人気の行き先は、ファミリーに人気のハワイ、グアム、近距離のアジアでは、台湾、ベトナムなど、遠距離では、イタリア、オーストラリアなどとなっています。予約の総合ランキングでは1位ハワイ、2位グアム、3位台湾は昨年同様ですが、4位オーストラリア、5位韓国などは今年ならではの傾向となっています。昨年10月に観光ビザが1年間免除となったミャンマーも今年予約が増加している旅行先の一つです。

2.国内旅行人数は2,401万人(前年比+1.1%)、国内旅行平均費用は36,800円(前年比+1.7%)。

 今年のGWの国内旅行は、帰省やのんびりリラックスする旅など長めの家族旅行が多くなりそうです。
アンケートによると、「旅行日数」は、「1泊2日(36.9%)」が最多ですが、「3泊4日(16.1%)」「5泊6日(3.5%)」はそれぞれ前年より1.2ポイント増加しています(表8)。「旅行の目的」は、「帰省、離れて暮らす家族と過ごす(19.0%)」が 最多で、前年からは1.4ポイント増加しています。(表9)。「同行者」は、「家族連れ(66.6%)」、中でも「子供連れ(中学生まで)(28.8%)」が前年より4.6ポイント増加し、子供連れの家族旅行が多くなりそうです(表11)。「利用交通機関」は、「乗用車(63.6%)」が多く(表12)、「利用宿泊施設」は、「ホテル」が53.3%です(表13)。旅行の目的で「帰省、離れて暮らす家族と過ごす(19.0%)」と回答した人のうち、約3割は宿泊施設も利用すると回答しています。帰省であっても実家以外のホテルや旅館などを利用し周辺観光をする人も多そうです(図8)。「出発予定日」は4月27日(土)、5月1日(祝)が多く、複数回の旅行を検討される人も多いことからピークは2回となっています(図7)。

 JTBの国内パッケージツアー「エースJTB」の予約状況をみると、出発日は、4月28日(日)~30日(休)と4月中が多く、行先は、北海道や沖縄などの遠距離が人気となっています。また、皇位継承に関連して、伊勢・志摩を訪れるツアーや、赤ちゃんパンダ公開から人気が続く南紀、4月26日(金)から開催される「瀬戸内国際芸術祭2019」にも注目が集まっています。首都圏発の予約伸び率では、1位北海道、2位USJ、3位(伊勢・北陸を含む)中部、4位沖縄、5位京都となっています。

調査概要


<旅行動向アンケート調査方法>
■調査実施期間:2019年3月20日~22日
■調査対象:全国15歳以上79歳までの男女個人
■サンプル数:事前調査 20,000名、本調査 2,060名
 事前調査20,000名で「GWに旅行に行く」と回答した人の中から2,060名を抽出し本調査を実施
■調査内容:2019年4月25日から5月5日に実施する1泊以上の旅行
(海外旅行を含み、商用、業務等の出張旅行は除く)
■調査方法:インターネットアンケート調査
*今回より、これまでの「調査員による質問用紙を使った個別訪問調査」から「インターネットアンケート調査」に調査方法を変更しています。2018年のGWの市場調査より両調査を並行して実施し、前年比は昨年のインターネットアンケート調査との比較です。

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