酒類市場に関する調査 

2019年07月16日

矢野経済研究所は、酒類市場を調査し、酒類カテゴリー別の動向、流通ルート別の動向、参入企業の動向、および将来展望を明らかにした。

<酒類市場とは>
本調査における酒類市場とは、ビール類(ビール、発泡酒、新ジャンル)、清酒、甲類焼酎、乙類焼酎、ウイスキー、ワイン、低アルコール飲料、その他の10分野(カテゴリー)を対象としている。

<市場に含まれる商品・サービス>
ビール類(ビール、発泡酒、新ジャンル)、清酒、甲類焼酎、乙類焼酎、ウイスキー、ワイン、低アルコール飲料

1.市場概況

酒類総市場規模はメーカー出荷金額ベースで、2017年度が前年度比99.6%の3兆5,600億円、2018年度が同98.6%の3兆5,100億円の見込みである。

当該市場は縮小傾向にあり、底打ちがみられない状況が続いている。当該市場において約3割を占めるビール類が縮小し、清酒や焼酎といった和酒についてもマイナス基調であるなど、回復の兆しはまだみえていない。2017年6月に施行された取引基準の改正によって店頭販売価格が上がったことで、ビール類からより安価な低アルコール飲料など他カテゴリーへの流出が加速したことに加え、2018年度は夏場が記録的な猛暑であったことで、業務用チャネルを中心に需要がふるわなかったことも縮小要因となった。

2.注目トピック

清酒の輸出が過去最高を更新
低迷する清酒市場であるが、海外での和食ブームとともに清酒の人気も高まっていることで、輸出については好調である。財務省貿易統計によると、2018年の輸出は数量ベースで前年比109.6%の2万5,747KL、金額ベースで同119.0%の222億3,200万円となっている。2010年から9年連続で過去最高を更新し、輸出金額は初めて200億円を突破した。国別ではアメリカへの輸出が全体の3割近くを占め、そのほか、香港、中国、韓国、台湾といったアジア圏が続いている。近年は観光での来日などをきっかけに日本の食文化に興味を持つ人が増えていることから中国への輸出が増えており、2年前と比べ2.5倍の規模にまで増えている。

3.将来展望

酒類市場は長年減少が続いており、今後もその年によって好不調のカテゴリーはあるものの、将来人口の減少と若年層を中心とした酒離れが進んでいる状況を鑑みれば、長期的に見て縮小傾向に変化はないとみる。特に、2019年度は消費税率の10%への引き上げが予定されており、軽減税率が適用されない酒類については節約の対象になりやすいことで、市場の落ち込みが一段と強まるものと考える。

主要カテゴリーではビール類の動向に注目が集まる。2026年にかけて段階的に酒税が一本化される中、メーカー各社がビールの強化に注力しており、今後も基幹ブランドを中心として様々な強化策が実施されるとみる。また、クラフトビールにも大きな期待が寄せられる。
​一方で、消費税率の引き上げにより外食を中心に全体的に消費の冷え込みが予想されるなか、酒類についても節約志向が強まるとみている。メーカー各社では新ジャンルの強化も行われており、当面はビールと新ジャンルの両面での強化策が実施されるものと考える。

調査概要


■調査期間: 2019年3月~5月
■調査対象: 酒類メーカー、酒類卸、関連企業等
■調査方法: 当社専門研究員による直接面談、電話ヒアリング、アンケート調査ならびに文献調査併用

詳しいリサーチ内容はネタ元へ
[矢野経済研究所]
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