第21回「中堅企業経営者『景況感』意識調査」~世界34カ国同時調査~ 

2014年09月03日
太陽ASGグループ(グラント・ソントン加盟事務所)は、2014年5月に実施した非上場企業を中心とする中堅企業経営者の意識調査の結果を公表した(従業員数100人~750人)。この調査は、グラント・ソントン加盟主要34カ国が実施する世界同時調査の一環である。

【調査結果】

■世界34カ国の景況感平均DI 46。調査開始以降の最高値に。

世界34カ国の自国経済の今後一年の見通しに関する2014年第2四半期(調査実施期間2014年5月、以下今回)景況感平均DIは46で、前期(同2014年1月~2 月)から2ポイント増、前年同期(同2013 年1月~2 月)から19ポイント増となり、これまでの最高値2007年調査のDI 45を上回り、2003年の調査開始以降の最高値となった。

■米国および英国が引き続き高い景況感を示す。日本の景況感も3期連続でプラスのDIを記録。

【日本、中国、米国、英国比較】
日本の景況感DIは、調査開始以来の最高値を記録した前期から12ポイント低下したものの3期連続のプラスのDIを示し、前年同期比7ポイント増となるDI 5であった。
中国における同DIは、前期比8ポイント低下したものの、前年同期比26ポイント増となるDI 30であった。また、英国の同DIは前期から3ポイント低下したものの、前年同期比46ポイント増のDI 80と高い値を示し、2013年第3四半期以降DI 70以上の高い値を維持し続けている。一方、米国では前期比8ポイント増、前年同期比19ポイント増となるDI 74となり、2004年(DI 78)に次ぐ、調査開始以降2番目に高いDIを示した。

■G7の景況感平均DI53。ドイツの景況感DI79。G7およびドイツの景況感DIは調査開始以降の最高値。

今回の調査で、調査対象国34カ国(左表)のうち景況感DIが高い国はインド86、アイルランド 84、英国80、ドイツ79、米国74など。ドイツのDI79は、前期比14ポイント増、前年同期比34ポイント増で、これまでの最高値2011年1月調査のDI 75を上回り、調査開始以降の最高値となった。他方、景況感DIが低くマイナスのDIを示した国は、アルゼンチン-16、フランス -14、エストニア-4であった。

同DIが大きく改善した国は、マレーシア(前期比45ポイント増)、トルコ(同24ポイント増)、タイ(同23ポイント増)、ギリシャ(同22ポイント増)、オランダ(同22ポイント増)など。一方、メキシコ(同 30ポイント減)、インドネシア(同30ポイント減)、ボツワナ(同26ポイント減)、ポーランド(同20ポイント減)などでは景況感DIが大きく悪化した。

地域別に景況感DIを比較すると、EU 加盟国平均(DI43、前期比6ポイント増)、G7平均(DI53、同5ポイント増) では改善。G7平均のDI53は、調査開始以来最高値。一方、 アジア太平洋地域(日本を除く8カ国)平均(DI42、同4ポイント減)BRICs平均(DI36、同4ポイント減)では悪化した。

【今後一年間の自社の見通し・日本では販売価格以外の全項目が改善】

日本の中堅企業の今後1 年の自社の見通しについて、売上高はDI39 から49 へ10 ポイント増加。販売価格は、DI15 から5 と10 ポイント減少。輸出は、DI8 から14 へ6 ポイント増加。雇用はDI37 から41 へ4 ポイント増加。収益性は、DI1 から15 へ14 ポイント増加。新築建物はD12 から26 へ14 ポイント増加。設備投資は、DI32 から42 へ10 ポイント増。研究開発費は、17 から35 と18 ポイント増加となった。販売価格は減少傾向であるが、売上高と収益性が増加の見通しである。また、輸出、雇用、新築建物、設備投資、研究開発費も増加の結果となった。
日本経済の今後1年の見通しに関しては、日本はDI17から5へ12ポイント悪化しているが、今後1年自社の見通しについては販売価格以外の項目全てで改善を見込んでいる。

日本における動向:
「楽観的」と考える理由として「現政権の政策」「個人消費の回復」などが挙げられた。
「悲観的」と考える理由として「消費税の増税」が前期に引き続き最大の要因に挙げられた。


【今後一年間の日本経済の見通し】

日本の調査対象者に、今後一年間の日本経済の見通しについて尋ねたところ、「たいへん楽観的だ」「少し楽観的だ」の合計は、30.6%で、前期比6.5ポイント減。一方、「少し悲観的だ」が前期比5.1ポイント増加し、「たいへん悲観的だ」「少し悲観的だ」の合計は25.3%で前期比5.3ポイント増加した。

このうち「たいへん楽観的だ」「少し楽観的だ」と回答した人に「楽観的だ」と考える理由(複数回答)を尋ねたところ、「現政権の政策」(72.7%)が最も多く、続いて「個人消費の回復」(40.9%)、「デフレの解消」(31.8%)、「設備投資の回復」(31.8%) が挙げられた。前期と同様「現政権の政策」を挙げた人が最も多かったが、前回2番目に多く挙げられた「株価の上昇」は大きく後退した(前期比-43.3)。

他方、「たいへん悲観的だ」「少し悲観的だ」と回答した人に、その理由(複数回答)を尋ねたところ、最も多かった回答は、前期と同じく「消費税の増税」で、前期比で13ポイント低下したものの63.2%と依然として高い数字を示している。次に多かった回答も前期同様「内需縮小」で47.4%だった。

【経営課題】


自社の事業で過去一年間において達成された事項(複数回答)について尋ねたところ、前期と同様「5%以上の増収」(63%)、「職員(人員)水準が5%以上増加した」(37%)、「市場における新製品・新サービスの開発」(24.1%)などが多く挙げられた。 また、もっとも大きく減少したのは「重要な再編、リストラが行われた」で前期比で7.2ポイント減少し11. 1%となった。

今後一年間の主な経営課題について尋ねたところ、最も多かった回答は前期と同様「5%以上の増収」(54.9%)だが、前期比では12.4ポイント減少した。一方で「職員(人員)水準を5%以上増やす」(22.5%)は前期比で7.2ポイント増、「M&A、吸収合併を行う(される)」(14.1%)も同比で5.9ポイント増となった。

理想の為替相場水準に関する質問では、「1ドル=100円以上105円未満」との回答が38.4%で最も多く、これに「1ドル=105円以上110円未満」(12.3%)、「1ドル=95円以上100円未満」(11%)が続いた。

さらに、TPP交渉で貿易の自由化が進むことによる収益への影響について尋ねたところ、回答が最も多かったのは「わからない」(57.3%)だが、前期より14.8ポイント減少しており、一方で「収益力が高まる」、「どちらかといえば収益力が高まる」の合計は29.3%で前期(同合計19.2%)より10.1ポイント増加した。

また、政府に実施してもらいたい経済活性化の推進施策について質問したところ、多くの人が「法人税の引き下げ」(80.0%)を挙げ、次いで「設備投資減税」(40.0%)が挙げられた。他方、「国家戦略特区の創設」(5.3%)、「女性の登用拡大」(1.3%)などの回答は少なかった。


【調査概要】
・実施期間: 日本:2014年5月8日~5月22日、インターナショナル:2014年5月
・参加国数: 34カ国
(アジア太平洋地域)
日本、オーストラリア、中国、インド、インドネシア、マレーシア、ニュージーランド、シンガポール、タイ
(EU加盟国)
 エストニア、フランス、ドイツ、ギリシャ、アイルランド、イタリア、ラトビア、リトアニア、オランダ、ポーランド、スペイン、スウェーデン、英国
(北中南米)
米国、カナダ、アルゼンチン、ブラジル、メキシコ
(その他)
トルコ、ロシア、グルジア、アルメニア、ボツワナ、南アフリカ、ナイジェリア
・調査対象: 3,300名の世界の中堅企業ビジネスリーダー、または経営トップ
・調査実施会社: 日本では株式会社日経リサーチが日本国内における調査を実施。34カ国同時調査の一貫性保持のため、国際的な調査会社であるExperian Business Strategies Limitedが取りまとめを行った。
調査方法: 日経リサーチ社所有の事業所データベースから、従業員数100~750人の全国の中堅・中小企業(上場および非上場)をランダムに2,000社抽出し、郵送によるアンケート調査を実施。188社の回答を得た。なお景況感の算出には188社の回答の中から75社のデータを使用。

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