調査レポート:自動車関連企業がスマートファクトリーのポテンシャルを最大化するためには 

2020年03月27日

キャップジェミニ・リサーチ・インスティテュートの最新レポートによれば、自動車産業はスマートファクトリーの採用において他の業界よりも進んでおり、今後3年間で投資を60%以上増額して、1,600億ドル以上の生産性向上を目指しています。

今回のレポート、『How automotive organizations can maximize the smart factory potential(自動車関連企業がスマートファクトリーのポテンシャルを最大化するためには)』では、2019年の自動車OEMおよびサプライヤーによるスマートファクトリーの展開を、2017/18年に実施した同様の調査と比較しながら追跡しています。今回の調査によれば、スマートファクトリーに関連して計画された投資レベルと生産性の向上はいずれも非常に大きなものではありますが、大規模展開を通じてアドバンテージを得る準備が整っている自動車関連企業は少数にとどまっています。当社の分析の結果、自動車関連企業の72%が「初心者」ランクにあり、スマートファクトリーの大規模展開のポテンシャルをフルに実現する準備が整っている「フロントランナー」にランク付けされた自動車関連企業はわずか10%(OEMでは18%がフロントランナー、これに対しサプライヤーは8%)にとどまりました。

自動車産業は、スマートファクトリーの開発において、前回の期待を上回る成果を出した

過去18~24か月間で自動車業界のファクトリーの30%がスマート化されました。これは2017/18年の調査でエグゼクティブたちが言及した24%を上回っています。また、エグゼクティブのほぼ半数(48%)が、自社のスマートファクトリーのロードマップの進捗について「うまくいっている、または予想以上」と考えています(18ヶ月前の調査で「うまくいっている、または予想以上」と回答したエグゼクティブは38%でした)。

自動車業界は他業界よりも速く動いている

自動車業界は、今後5年間でさらにファクトリーの44%をスマート施設に転換する積極的な計画を立てています。自動車業界に続いて、ディスクリート製造で42%、プロセス産業で41%、電力・エネルギー&ユーティリティで40%、そして消費財で37%がスマート化を計画しています。この積極的な拡大は、全収益におけるスマートファクトリー向け投資の割合を62%増やすという計画に反映されています。自動車関連企業は、グリーンフィールド施設とブラウンフィールド施設の組み合わせに投資していくようで、44%がハイブリッドなアプローチの採用、31%がブラウンフィールドファクトリーの建設(トップテンOEMの場合、1施設あたりのコストは推定400万~740万米ドル)、25%がグリーンフィールド(1工場あたりのコストは推定10億~13億米ドル)を予定しています。グリーンフィールド施設のコストはかなり高額ですが、設計による効率化の実現は他より容易です。

スマートファクトリーへの投資は生産性の大きな機会をもたらす

今回の調査では、スマートファクトリーは2023年までに1,350億ドル(平均的シナリオ)から1,670億ドル(楽観的シナリオ)の範囲で生産性の向上を実現できるはずだと予測しています。業界全体として年間2.8%から4.4%の改善、さらに全体的な生産性の向上が15.1%から24.1% - このような利益の可能性は、Mercedes-Benz Cars社などの企業によってすでに実証されています。Mercedes-Benzは、高度なデータ分析を使用して自己学習および自己最適化生産システムを構築することにより、一部の主要コンポーネントの不良品発生率を4分の1に削減しました。

いまだ利益の実現には至らず・・・

自働車業界は、スマートファクトリーに厳しいKPIを設定しており、その達成までは長い道のりとなります。今回の調査では、35%の生産性向上の目標に対し、達成されたのはわずが15%のみです。総合設備効率(OEE)の改善(目標:38%)、在庫/仕掛品の削減(目標37%)もそれぞれ11%にとどまっています。これらの結果は、多くのイニシアチブの規模の拡大がいまだフルに実現されていないことを実証しています。

今回のレポートでは、自働車業界がスマートファクトリーを大規模展開するために、ビジョンを設定しそれにコミットし、ITソリューションの統合に懸命に取り組み、IT-OTの融合を強化することを勧めています。さらに、企業は将来のために人材ベースを構築し、データ駆動型オペレーションの文化をはぐくむ必要があると示唆しています。

調査方法


今回のレポートを作成するにあたり、キャップジェミニ・リサーチ・インスティテュートは以下を実施しました。

  • 大手自動車OEMおよびサプライヤーの自動車関連エグゼクティブ100名を対象に調査を実施。100名のうち98名は、11か国で既存のスマートファクトリーオペレーションを展開し、10億米ドル以上の収益を上げています。
  • スマートファクトリイニシアチブを監督する自動車関連シニアエグゼクティブたちと掘り下げたインタビューを10回実施。
詳しいリサーチ内容はネタ元へ
[キャップジェミニ]
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