スカパーJSATは、東南アジアの3ヶ国(インドネシア・タイ・シンガポール)を対象に、それぞれの国で日本の文化や日本のテレビ番組がどのように受容されているかを探る調査「現代テレビ考2015『東南アジア』編」を実施。

今回の現代テレビ考はWAKUWAKU JAPANが放送されているインドネシアの他、コンテンツの重要な輸出先であるタイ、シンガポールの東南アジア3ヶ国で、日本の文化に魅力を感じている男女15~29歳(各国200名、合計600名)を対象に、それぞれの国において日本文化および日本のテレビ番組はどのように受け入れられているのか、日本のテレビ番組のどのようなところが魅力として受け止められているのかを調査しました。

調査結果には、株式会社三菱総合研究所 情報通信政策研究本部ICT利活用戦略グループ安江憲介主席研究員の協力のもと、各国の文化や市場特性などの観点から分析を加えています。

【調査結果】

「日本の魅力」は3ヶ国とも「日本のアニメ・マンガ」「日本食」

まず、全回答者に日本の魅力について質問したところ、3ヶ国平均では「日本のアニメ・マンガ」が79.7%で最も高いという結果になりました(インドネシア:88.5%、タイ:80.0%、シンガポール:70.5%)。アニメ・マンガの次には、「日本食」(平均:66.8%)、「日本の自然・季節」(平均:55.0%)、「日本の都市」(平均:52.5%)、「日本のテレビ番組」(平均:50.3%)が続きました。

日本政府はクールジャパン政策として、日本のコンテンツ・食・観光サービスなどを国内外に情報発信し、需要開拓を行っていますが、インドネシア・タイ・シンガポールでも、こういったクールジャパンを体現するアニメ・マンガやテレビ番組といったコンテンツ、日本食や自然・都市といった「衣・食・住」の魅力が高いということが分かりました。

国別に結果を見ると、インドネシアでは88.5%と9割近くの回答者が「日本のアニメ・マンガ」を日本の魅力と受け止めていることが分かります。3ヶ国の中でインドネシアは「テレビゲーム・携帯ゲーム」(42.5%)、「日本の音楽(J-POP)」(41.0%)を選ぶ人の割合が最も多く、今回の調査からは「日本のポップカルチャーを最も魅力と感じているのはインドネシア」と言えそうです。

タイでは「和服・着物・浴衣」(50.0%)、「日本の若者ファッション」(40.0%)、「コスプレ」(42.0%)を選ぶ人が多く、日本のファッションを魅力と考えている人が多いようです。

シンガポールでは他に比べて「日本の都市」(54.0%)、「温泉」(47.0%)、「寺社・仏閣」(28.5%)を選ぶ人が多くいました。日本の観光地としての要素が魅力として受け止められているようです。

日本のテレビ番組の魅力は「日本について学べる」「おもしろい・笑える」
「映像がきれい」「出演者がきれい・かっこいい」


多くの人が「日本の魅力」として受け止めているテレビ番組ですが、次にどのようなところが魅力とされているのかを聞きました。

3ヶ国平均では、「日本の文化や生活、または日本語が勉強できるところ」(平均:50.0%)、「おもしろい(笑える)ところ」(平均:48.5%)、「映像がきれいなところ」(平均:45.2%)、「出演しているタレントがきれい・かっこいいところ」(平均:45.2%)を選ぶ人が多いという結果になりました。今回の調査が日本に関心を持つ人を対象にしているということもあり、テレビ番組は日本について知り、学ぶ手段として受容されていることが伺えます。日本のテレビ番組を「おもしろい・笑える」と考えている人も多く、日本人にとっての笑いのツボは東南アジアの人々にも通じているようです。

「映像がきれい」を魅力として選んだ人は、特にインドネシアに多くいました(インドネシア:63.0%)。一方、英語を公用語とし、世界有数の商業都市であるシンガポールでは23.0%という結果でした。その国ごとのテレビ視聴環境との関連で、日本のテレビ番組への評価も変わってくるということが示唆されます。

「出演しているタレントがきれい・かっこいいところ」を魅力に挙げる人が最も多かったのもインドネシアでした。この3ヶ国の中では、日本人と容姿の好みが近いのはインドネシアの方々なのかもしれません。

日本のドラマやアニメ、87.8%が「これからも見たい」

日本のドラマやアニメへの視聴意向を聞いたところ、全体で87.8%の回答者が「今後も日本のドラマやアニメを視聴したい」と考えていることが分かりました(「ぜひ視聴したい」:66.8%と「やや視聴したい」:21.0%の合計)。「ぜひ視聴したい」という強い意向を示している人も70%弱で、日本のドラマ・アニメへのニーズは非常に高いということが分かります。。特に、WAKUWAKU JAPAN放送中のインドネシアの視聴意向は93.0%、未放送のタイはそれを超える95.5%という日本コンテンツへの期待感、渇望感の反映ともとれる結果です。

日本のテレビ番組を通して知る「自国と日本の文化の違い」
「リアリティがある」「独創的」「おもしろい」と好評価多数
“Anime is Really Good!”と、日本アニメへの愛を表現する人も


日本とそれぞれ自国のテレビ番組を比較したときにどのような点が異なるかを自由記述で質問したところ、「自国との文化の違い」を挙げる人が多くいました。日本のテレビ番組の魅力に「日本の文化や生活、または日本語が勉強できるところ」を挙げた人も多くいましたが、テレビ番組を通して「自国と異なる日本の文化」を楽しんでいる人も多いということが伺えます。

また、日本のテレビ番組の方が「リアリティがある」「おもしろい・ユーモアがある」「独創的である」「ストーリー展開が優れている」と、評価する人も多くいることが分かりました。「日本の魅力」についての結果からは、日本の魅力としてアニメ・マンガが特に評価されているということが分かりましたが、ここでも「アニメ作品が優れている」と回答する人が多くいます。中には、「Anime is Really Good!」と、アニメへの愛を表現するシンガポールの女性もいました。

WAKUWAKU JAPANでも放映されていたことのある「TRICK」「ドクターX ~外科医・大門未知子~」「半沢直樹」などのドラマ番組を見たことがあると答えたインドネシアの男性は、

「インドネシアの番組では、昔放送されたドラマに対し、別の役者をキャスティングして放映することがよくある。しかし、日本のテレビ番組はいつも新鮮な内容や、新しいストーリーを放映している」

と自国との違いに触れ、日本のテレビ番組を高く評価していました。

Qあなたがこれまでにご覧になった「日本のテレビ番組」の内容で、自分の国の番組と違うなと思ったことはどのような内容ですか?(自由記述)

《インドネシア》
●日本の文化を知ることができる
・日本の旅行や料理番組は非常に素晴らしく、流れてくる言葉がとてもやさしく丁寧に聞こえる。番組名を忘れたが、日本の外国人向け旅行番組で、外国人観光客が日本文化を知るための観光番組もある(インドネシア女性)
・企業を題材としたドラマなどから、インドネシアにはない価値観や文化を見ることができる(インドネシア女性)

●日本のアニメはすばらしい
・アニメのコンテンツが非常におもしろい(インドネシア男性)
・家族で楽しめるものや、SF、医療アニメ等それぞれ多岐に渡る内容で非常に面白い。インドネシアでは、全ての年齢の人に適した番組はなかなかない(インドネシア女性)

●ストーリーが優れている
・ドラマ番組は、ストーリーが素晴らしく、映画の役者は、役をうまく演じている(インドネシア男性)
・映像アレンジ、ストーリー構成、声優の役作りが上手い。日本のアニメとインドネシアのアニメは違うが、自国のアニメも、日本のアニメのように高度な映画技術を駆使して素晴らしくなることを期待している(インドネシア男性)

●オリジナリティがある/独創的である
・インドネシアのテレビ番組はリメイクが多いが、日本のテレビ番組はインドネシアのものよりオリジナリティがあって魅力的(インドネシア女性)
・日常生活の中からテーマを見出すなど、コンセプトが本当に独創的で、オリジナリティがある(インドネシア男性)

《タイ》
●リアリティがある
・日本の番組は、よりリアリティがあり、面白く、続けて視聴したいと思う。タイの番組よりも質が高く、多くの人が興味深く思える内容になっている。司会者もゲストも美人で、作品内容も面白い。お金をかけてきちんと作られたものだということが感じられ、番組の出演者はそれぞれ自信を持っているように感じられる(タイ男性)
・日本の番組は、よりリアリティがあり、俳優の登場人物の役へのなりきり方がうまい。ストーリーは感動的で、タイのように男性を奪い合うというありきたりのものではなく、多様性がある(タイ女性)

●家族で見ることができる
・家族で見られて、新しい知識を増やしてくれるところがタイと異なっている(タイ女性)
・子どもも大人も見られて、楽しみながら社会の規範をおぼえられるので、ためになって面白い。日本のテレビ番組には内容があるのでとても好きだ(タイ女性)

●見続けたくなるおもしろさ
・日本のテレビ番組をいつも見ている。面白くてためになり、ずっと見続けていられる(タイ男性)
・ストーリー展開が早いので、一度見ると次をまた見たくなるくらい面白い(タイ女性)

《シンガポール》
●プロットが優れている
・ドラマは1話観るだけでキャラクターに心を動かされる(シンガポール男性)
・ドラマは刑事ものや恋愛ものなど、いずれもプロットがシンガポールの番組よりも面白くて、ミステリアスで先進的である。(シンガポール男性)

●自国に比べて、法律の規制が少ない
・シンガポール番組はより多くの法律で規制されている(シンガポール男性)
・日本のテレビでは、リアリティを出すために番組内で煙草を吸うことが許されるなど、規制が少ない(シンガポール男性)

●日本の自然・風景・文化
・日本の自然の風景や国の文化に焦点を当てている(シンガポール男性)
・文化(礼儀正しさや挨拶)、風景、雰囲気、演技(シンガポール女性)
・日本文化(他人に対して礼儀正しい)(シンガポール女性)


【調査概要】
・タイトル :現代テレビ考 2015「東南アジア」編
・調査目的 :WAKUWAKU JAPAN は 2 月 22 日に開局 1 周年を迎えました。WAKUWAKU JAPAN が放送されているインドネシアに限らず、東南アジアは日本のコンテンツ輸出先として存在感を増しています。そこで今回の現代テレビ考は、日本コンテンツの重要な輸出先である東南アジア各国において、日本の文化および日本のテレビ番組がどのように受容されているのかを調査し、そこに共通する傾向と各国ごとの相違点を明らかにします。
・調査期間 :2015 年 1 月 9 日(金)~20 日(火)
・調査対象国 :インドネシア・タイ・シンガポールの 3 ヶ国
・調査方法 :インターネット調査
・調査対象者 :日本の文化に魅力を感じている 15 歳~29 歳の男女
・サンプル数 :600 名(各国 200 名[男性 100 名/女性 100 名])

詳しいリサーチ内容はネタ元へ
リンク先リサーチPDF
[スカパーJSAT]
 マイページ TOP