<第3回>担任の先生に聞く、小学生の防犯に関する意識調査 

2018年07月25日

ALSOKは、2004年から社会貢献活動として取り組んでいる出前授業「ALSOKあんしん教室」を実施したクラスの担任教諭を対象に、小学生の防犯や生活に関する記入式アンケート調査を実施し、「第3回担任の先生に聞く、小学生の防犯に関する意識調査」として、以下の通りにまとめました。

調査結果


児童の防犯意識
■約4割の先生が、児童たちの危機意識が高まっていると感じている

クラス担任の先生に、現在担当しているクラスの児童たち自身の「安全・安心」への危機意識の変化について聞いたところ、昨年(41.7%)、一昨年(42.7%)とほぼ同率の40.7%の先生が、児童たちの危機意識が高まっていると感じていることがわかりました。

■重大事件が発生した地域ほど児童の危機意識の高まりが見られる

本アンケートの調査期間直前の2017年3月末、千葉県松戸市の小学3年生が登校中に連れ去られ殺害される事件が発生し、大きく報じられました。この事件が起きた千葉県に勤務する先生の回答結果を抽出すると、「児童の危機意識が高まっている」と回答した先生の割合が、全国の集計値と比べて10.9%多くなっていました。

昨年のアンケートでは、誘拐・監禁されていた女子中学生が2年ぶりに保護されたという事件が起きた埼玉県でも同様の回答傾向が見られました。重大事件の発生は、周辺地域の児童の危機意識に変化を及ぼすと言えそうです。

■児童へ防犯指導をする機会は「集会・ホームルーム」が最多
防犯指導のための「授業」をしているクラスは約3割

児童の防犯意識を高めるための取り組みとして最も多かったのは、「集会・ホームルームでの注意喚起」で、7割以上のクラスで実施されていました。「学校だより」など紙媒体での注意喚起がこれに次いで多く、防犯に特化した「授業」の形式で指導を行っていたクラスは全体の3割程度という結果となりました。

警察庁は、子どもへの指導方法として、「参加・体験型の被害防止教育等により具体的な危険回避行動を繰り返し教え、習慣化させる」ことを推奨しています。家庭でも、言葉での注意喚起だけではなく、体験や考察を伴った実践的な教育を反復して行うように努めましょう。

■防犯ブザーの所持率は学年が上がるとともに減少

防犯ブザーの所持率について尋ねたところ、1年生では6割以上のクラスで全児童が防犯ブザーを持っていましたが、4年生以上に進級すると、所持率は4割を割り込んでおり、学年が上がるにつれて所持率が下がる傾向が見られました。

自治体によっては小学校入学時に、全員の児童に防犯ブザーを配布していますが、日常生活を送る中で風雨や衝撃をうけて壊れたり、紛失してしまうことも少なくないようです。
子どもに危害を加えようとする人物は、ほかの大人に発見されることを嫌います。大きな音を出す防犯ブザーは、子どもでも相手をけん制できる上に、被害抑止効果が期待できます。保護者は、防犯ブザーが壊れたり音が小さくなったりしていないかを定期的に確認するようにしましょう。

児童の被害状況
■クラスに「危険な目に遭ったことのある児童がいる」と回答した先生は約1割
被害を防ぐために、日頃から誘い文句に対応する訓練を!

現在担当しているクラスの中で、過去に声かけや連れ去り未遂など危険な目に遭った経験のある児童の有無について聞いたところ、「過去に危険な目に遭ったことのある児童がいる」と回答した先生は、約1割(8.8%)でした。

「危険な目に遭った児童がいる」と回答した先生のうち4割は、「声掛けにより連れていかれそうになった」(42.9%)児童がいると答えており、その手口は、子どもが興味・関心を持つ物事で誘おうとする「興味系」(47.4%)や、子どもの親切心につけ込む「親切系」(31.6%)の誘い文句が使われることが多かったことがわかりました。

ALSOKでは、犯行の際によく使われるとされる誘い文句のパターンを、「興味系」、「ハプニング系」、「親切系」、「困惑系」の4つに分類し、注意を呼び掛けています。いざという時に対応できるよう、できるだけ多くの事例を児童に示して、自分だったらどうすればよいかを考えさせる訓練を、学校や家庭で日頃から行うようにしましょう。

興味系:「ペットを見せてあげる」、「タレントにならない?」など、子どもの興味や好奇心をそそる手口
親切系:「迷子の犬を一緒に探して」、「駅まで案内して」など、子どもの親切心につけこむ手口
困惑系:「雨が降ってきたので家まで送ってあげる」など、子どもが困っているところにつけこむ手口
ハプニング系:「お母さんが病院に運ばれたから、一緒に行こう」など、子どもを動揺させて平常心を奪う手口

児童の被害状況
■児童への被害が最も多かったのは春から夏にかけて
夏休み中も外出時には防犯ブザーを携帯し、日没前に帰る約束を!

現在担当しているクラスに「危険な目に遭った経験のある児童がいる」と回答した先生91名に、被害に遭った時期を聞いたところ、新学期シーズンにあたる「4月から6月」(36.3%)が最も多い結果となりました。時間帯別にみると、「下校中」(49.5%)が最多で、「外出中(日没前)」(36.3%)もこれに次いで多くなっています。

夏休みは子どもが自由になる時間が増えることに加え、日没時間も比較的遅いことから、外で過ごす時間が増えたり行動範囲が広がったりしがちです。「なるべく一人では行動しない」、「常に防犯ブザーを携帯する」、「日没前には帰宅する」、「危険な場所(※)」には近づかないといった約束を、この機会に改めてしておきましょう。

※危険な場所
人の視線が少なく死角が多い道路や公園など「まわりから見えにくい」かつ「誰もが入りやすい」場所は、怪しまれることなく標的に近づくことができ、犯行を目撃されるリスクも少ない、犯行者にとって都合のよい場所になります。日が落ちて暗くなるにつれて「見えにくい場所」は増えますので、子どもには日没前に帰宅するよう約束させましょう。また、駐車場は、車にひかれるリスクに加え、車内に潜んでいた犯行者に連れ込まれてしまう恐れもありますので、子どもだけで近づかないように約束しておきましょう。

留守番時の注意点
■子どもだけで留守番する機会が増える夏休み前には留守番する前の約束「いいゆだな」など親子で確認を!

共働きの家庭や核家族化の進行により、留守番をする機会が増えたという児童も少なくないと思われます。
過去に留守番中に不審者が訪問してきたり、不審な電話がかかってきた経験のある児童の有無を聞いたところ、10クラスに1クラスの割合で「留守番中に不審な電話や訪問者が来たことのある児童がいる」という回答がありました。

インターネットのリスク教育
■8割以上の先生が以前より教育の必要性を感じている
 インターネットのリスク教育は、年々低年齢化が進む

インターネットのリスクについて、以前(昨年)より教育が必要と感じるか聞いたところ、84.8%の先生が、「以前よりも必要性を感じる」と回答しました。担当するクラスで実際にインターネットのリスク教育をしているかどうかについては、前回同様に学年が大きいほど指導をしているというクラスの割合が高い傾向が見られました。一方、前回と比べ、低学年のうちから指導を行なっているクラスの割合が増えていました。

■「個人情報や顔写真の公開」や「ネット内いじめ」など「情報を発信する立場」としての注意点について指導するクラスが多い

担当しているクラスの児童にインターネットのリスクについて指導を行なっているという先生に、どのような内容の指導をしているのかを聞いたところ、「個人情報や顔写真の公開・送信」という回答が最も多くなりました。全般的に、「情報を受信・閲覧するとき」に比べ、「情報を発信するとき」の注意点について指導を行なっているクラスのほうが多い傾向が見てとれます。

調査概要


調査期間:2017年4月1日から2018年3月31日まで
調査対象:「ALSOKあんしん教室」を実施した全国の小学校のクラス担任教諭
調査方法:アンケート用紙に記入していただいたものを、ALSOKにて集計
回答数:1,031人

詳しいリサーチ内容はネタ元へ
[ALSOK]
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