国内MaaS市場に関する調査(MaaSサービス関連事業者対象) 

2019年02月22日

矢野経済研究所は、国内MaaS(Mobility as a Service)市場を調査し、MaaSサービス分野別の動向、参入企業動向、将来展望を明らかにした。

<MaaS(Mobility as a Service)市場とは>
MaaS(Mobility as a Service)とは、近年ICTを活用して、公共交通か否か、また運営主体に関わらず、マイカー以外のすべての手段によるモビリティを1つのサービスとしてとらえ、シームレスにつなぐ新たな「移動」の概念である※1。

本調査におけるMaaSとは、オンラインアプリまたはプラットフォーム(ウェブサイトまたはスマートフォンアプリ)を用い、スマートフォンやICカードなどのモバイル機器を利用して予約・決済ができ、1台のモビリティ(自動車などの移動手段)に対して、複数のユーザが利用(共用)できる、あるいは1人のユーザが異なる事業者にかかわらず、複数のモビリティを連続して利用できるサービスをさす。その対象分野は米国SAE(Society of Automotive Engineers)の分類に準じ、①カーシェアリング、②共用モビリティサービス、③バイクシェアリング(自転車を含む)、④CNS(Courier Network Services)※2、⑤P2P(Peer-to-Peer;個人間の車両共有)、⑥ライドシェアリング、⑦タクシー(オンデマンドタクシー配車)、⑧その他(駐車場シェアリング等)、⑨関連アプリ(乗換案内などに予約・決済が付加されたアプリなど)、⑩マルチモーダルモビリティ(自動車、公共交通、自転車などの複数の交通機関を連続して利用可能とする)サービスの主要10分野とする。本調査における国内市場規模はMaaSサービス事業者売上高ベースで算出し、車両などのハードウェアやメンテナンス費用を除くものとする。

※1. 出典:国土交通省国土交通政策研究所報第71号(2019年)
​※2. Courier Network Services(クーリエネットワークサービス)とは、オンラインアプリまたはプラットフォーム(ウェブサイトまたはスマートフォンアプリ)を用い、個人用車両、自転車、またはスクーターを利用して、パッケージ荷物や食料品を配送するサービス。

<市場に含まれる商品・サービス>
①カーシェアリング、②共用モビリティサービス 、③バイクシェアリング(自転車を含む) 、④CNS (Courier Network Services)、⑤P2P(Peer-to-Peer;個人間の車両共有) 、⑥ライドシェアリング ⑦タクシー(オンデマンドタクシー配車) 、⑧その他(駐車場シェアリング等)、 ⑨関連アプリ(乗換案内などに予約・決済が付加されたアプリなど) 、⑩マルチモーダルモビリティサービス

1.調査結果概要

MaaS(Mobility as a Service)とは、近年ICTを活用して、公共交通か否か、また運営主体に関わらず、マイカー以外のすべての手段によるモビリティを1つのサービスとしてとらえ、シームレスにつなぐ新たな「移動」の概念である※。※出典:国土交通省国土交通政策研究所報第71号(2019年)

​2018年の国内MaaS市場規模はMaaSサービス事業者売上高ベースで845億円を見込み、2030年には6兆3,600億円に達するものと予測する。2016年から2030年のCAGR(年平均成長率)は44.1%で推移するものとみる。今後、ゼロから立ち上がるサービスの多いことが想定されることから、CAGRは高い値になるものと考える。

2.注目トピック

「my route(マイルート)」が日本初の本格的MaaSサービスになる可能性
2018年11月、トヨタ自動車は西日本鉄道と組んで移動のルート検索と予約・決済が一貫して可能な移動サービス「my route(マイルート)」の実証実験を福岡市で開始した。この移動サービスは公共交通(バス、鉄道、地下鉄など)、自動車(タクシー、レンタカー、自家用車など)、自転車や徒歩など、様々な移動手段を組み合わせてルートを探索し、必要に応じて予約・決済までを行なうことで、ユーザの移動をサポートするものである。

これはユーザにとって利便性の高いサービスを提供することを目的としたマルチモーダルモビリティの実証実験であり、福岡市を含む、8事業者・団体が参加する。当該事業者・団体とは①駐車場予約アプリのakippa、②サイクルシェア検索のメルカリグループ(自転車シェアサービス)、③タクシー配車・予約・決済のJapanTaxi、④子どもとお出かけ情報サイト「いこーよ」のアクトインディ、⑤レジャー・遊び・体験の予約サイトの「asoview!」のアソビュー、⑥情報アプリ「NEARLY」のipoca、⑦情報サイト「ナッセ福岡」のサンマーク、⑧福岡市(公式シティガイド「よかなび」)である。

このような形で「my route(マイルート)」が実用化されれば、複数の移動手段を連続して利用できるマルチモーダルモビリティである点や、スマートフォンで予約・決済ができる点、駐車場検索サービスも可能な点、そのほか、当該地域における店舗やイベントや情報とも連携できる点などを考慮すると、地域限定とはいえ、本格的なMaaSサービスになる可能性が高いものと考える。

また2018年10月にトヨタファイナンスはOrigamiと提携していることから、将来的にはMaaSサービスの一環として、トヨタ自動車グループがスマートフォン決済サービスを提供することも可能であるものとみる。

調査概要


調査期間: 2018年8月~12月
調査対象: MaaSサービス関連事業者等
調査方法: 当社専門研究員による直接面談、ならびに電話・電子メール等によるヒアリング、文献調査を併用

詳しいリサーチ内容はネタ元へ
[矢野経済研究所]
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