子どもの難関突破経験と子育ての実態に関する調査(20歳代の社会人の子どもを持つ親対象) 

2014年01月15日
プレイフルラーニング~幼児の「遊びと学び」プロジェクトは、20歳代の社会人の子どもを持つ全国の親1,040名を対象に、「子どもの難関突破経験と子育ての実態に関する調査」を実施。海外には追跡調査で似たものがありますが国内では少なく、今回のさかのぼり調査により、難関突破経験と小学校就学前(3~6歳)の遊ばせ方との相関性について明らかになりましたので、ご報告いたします。

昨年末に、OECDによる生徒の学習到達度調査(PISA)2012年の結果が発表され、日本は、前回の09年調査から順位を上げ、「脱ゆとり教育」の成果がみられました。その一方で、「学習意欲の低迷」や「応用力の低さ」が浮き彫りになり、受け身の子どもが多く、「自ら学ぼうとする主体的な学び」が大きな課題として残っています。
 そこで本プロジェクトでは、高い学習意欲で大学受験や資格試験などの狭き門を突破したり、憧れの職業に就いたり、何らかの分野で活躍するなど努力を実らせた「難関突破経験者」の親の子育ての実態について調査し、難関突破経験のないお子さんの子育てとの差異について検証しました。その結果、難関突破経験には、幼児期の「遊ばせ方」が大きく関わっており、遊びに対する子どもの「自発性」や「意欲」を大切にする「共有型」子育てスタイルの親が多いことがわかりました。また就学前の遊びにおける熱中体験が、子どもの「集中力」を高め、小・中・高のクラブ活動等への取り組む力を育み、難関突破へつながっていると本プロジェクトメンバーの内田伸子先生は分析しています。

【調査結果】

1.難関突破力と「就学前の遊び」には相関関係あり。難関突破経験者の親ほど遊びを重視。
とても意識して取り組んだのは「思いっきり遊ばせること」(35.8%)、毎日一緒にしていたのは「一緒に遊ぶ」(55.7%)

「難関突破経験を持つ子どもの親(以下、難関突破経験者)」は、「難関突破経験を持たない子どもの親(以下、難関突破未経験者)」に比べて、「遊び」を重視する傾向があることがわかりました。
「就学前のお子様の子育て」で「とても意識して取り組んだ」こととして、「思いっきり遊ばせること」が難関突破経験者(35.8%)、難関突破未経験者(23.1%)間で差が大きくなっています(図1)。また「遊びの時間を子どもと共に過ごすこと」(26.3%)や「子どもの趣味や好きなことに集中して取り組ませること」(24.1%)でも大きな差がみられました。さらに「毎日一緒にしていたこと」で、差が大きかったのは「一緒に遊ぶ」(55.7%)、「絵本の読み聞かせをする」(39.9%)でした。難関突破や夢実現の原動力と、就学前の親の関わり遊びが関係していることがみてとれます。

2.難関突破力は遊ばせ方にある。難関突破経験者の親の子育ては3人に2人が「共有型」。
「遊びに対する自発性を大事にした」(28.8%)、「子どもの意欲を大切にして遊ばせるようにした」(29.7%)

また、難関突破力を育む遊びには、親の関わりや遊ばせ方が関係していることも確認できました。
「就学前のお子様の遊ばせ方」に関する設問について、難関突破経験者は「遊びに対する子どもの自発性を大事にした」(28.8%)、「子どもの思いや意欲を大切にして遊ばせるようにした」(29.7%)を「よく当てはまる」と答えるなど、子どもに遊びの主導権を渡す項目で難関突破未経験者と比べて高くなりました。
また内田伸子先生が長年にわたり研究してきた「子育てスタイル」で分類したところ、難関突破経験者の3人に2人が、子ども自身が考える余地を与えるような援助的なサポートをする「共有型」であり、逆に難関突破未経験者の半分以上が大人目線で介入し子どもに指示を与えてしまう「強制型」の子育てスタイルであることがわかりました。

3.小学校就学前の遊びが、「集中力」「学びに向かう姿勢」「学習意欲」を高める。
難関突破経験者は「集中力」が21.3ポイント高い。小学校時代は「我慢や感情の抑制ができる子」(34.5%)

さらに、難関突破経験者は就学前の遊びを通じて、「集中力」を身につけており、その力は就学後も継続していることが示唆されました。
「就学前の遊びを通じて身につけた力」に関する設問では、難関突破経験者が5つの指標全てで難関突破未経験者を上回っており、特に「集中力」は約20ポイントも高い結果になりました。就学後の小学校のお子さんの姿を聞く設問では、難関突破経験者は「我慢や感情の抑制ができる子」(34.5%)、「失敗してもくじけず、それを糧に再挑戦する意欲があった」(20.9%)、「勉強しなさい、と言わなくても自分で勉強に取り組んでいた」(16.8%)となり、感情コントロールができ、学習意欲も高い小学校時代の姿勢が浮き彫りとなりました。就学前の遊びが「集中力」「学びに向かう姿勢」「学習意欲」を高めていると推察されます。

4.難関突破経験者は就学前の「熱中体験」が多く、小学校、中学校、高校への持続性も高い。
難関突破経験者の熱中体験は「たくさんあった」(26.3%)、難関突破未破経験者を10ポイント上回る

最後に、難関突破経験者の方が、就学前の熱中体験がたくさんあり、このひたむきな姿勢は小学校、中学校、高校と就学後も続いていることがわかりました。
「就学前の時期に時間を忘れて夢中になるコトやモノはありましたか」という設問に対して、難関突破経験者は「たくさんあった」26.3%と、難関突破未経験者を10ポイント上回りました。就学後も「それなりに成績もよかったが、勉強ばかりしていたわけでもなかった」(37.3%)と難関突破未経験者よりもスコアが高くなっています。
また「学生時代(小学校、中学校、高校時代)、勉強以外のクラブ活動にどのくらい一生懸命取り組んでいましたか」という設問に対しても、難関突破経験者は「とても一生懸命」率が高く、逆に難関突破未経験者は高校で大きく減少しています。このことから就学前の熱中体験が、子どもの意欲やがんばりぬく姿勢を育み、難関突破につながったのではないかと、内田先生は考察しています。


【調査概要】
調査主体:プレイフルラーニング~幼児の「遊びと学び」プロジェクト
調査機関:2013年12月13日(金)~15日(日)
調査方法:インターネット調査
調査対象:20歳代の社会人の子どもを持つ親1,040名(難関突破経験者の親316名、難関突破未経験者の親724名)本調査における難関とは、以下に示す難関大学突破、または難関資格取得、難関職業への就職、スポーツ・芸術・文化領域での活躍を指します。

その他、詳しいリサーチ内容はネタ元へ
[プレイフルラーニング~幼児の「遊びと学び」プロジェクト]
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